詩 _ 「おはよう」
月が輝くから目を閉じる
闇が濃くなっていく
深く潜って体を丸めていけば
雑音から遠のく
濃密な光でさえ届かないぐらいの場所
手のひらを広げてとじる
ペンキのようにどろりと動くのは
どこまでが自分なのかわからない
潜れば潜るほどのみこまれ
闇は一体化したいのだと知る
まわりにいる者たちは
きれいごとを重ね着しながら
近くにいるふりをしているだけ
それなのに闇はわたしを求めている
氷がとけていくようにゆっくりと
わたしを覆い尽くす
あとどのぐらいで
きれいな球体になれるだろう
安心にも似た感情で満たされていくのに
闇の色を変化させはじめたこの光はなんだろう
東から入り込む光を感じて
わたしの体は手足を伸ばしはじめる
この世界を知っている
みなの枕元でベルが鳴る
光はこの静かな世界を変えていく
目を閉じたまま
呼吸することを思い出した
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