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「卒業式」で思い出される暗黒時代


卒業式は出ないみんな嫌いだ


これを俳句といっていいのかわからないけど

私にとっての「卒業式」はこんなのしか浮かばない。


私は中学校の卒業式に出ていない。

中2の3月から不登校になり、

中3の1月には埼玉から東京へ越してきた。

残り3ヶ月だったから転校にはならなかった。

行こうと思えば行ける距離だったのもある。

でも越してからは一度もあの場所には行っていない。


卒業式当日、母が部屋のドアをノックする。

「学校行かないの?」

私は布団にくるまっていた。

起きていたけど寝たふり。聞こえないふり。

母はひとりで埼玉の学校へ行き卒業証書をもらってきた。

校長室で証書を受け取った母は泣きたくなったという。

なぜ娘の居ない校長室で私が証書を受け取っているのかと。

それを聞いた私は、どうすればよかったのだろう。

一緒に行って卒業証書を受け取ればよかった?

あの日、身体は動かなかったのに。

心は悲鳴をあげていたのに。

誰にも会いたくなかった。

同級生にも下級生にも先生にも保護者にも。

高校生にもなれず、何者にもなれない自分を

誰にも見られたくなかった。


卒業式は出ないみんな嫌いだ



こんな自分がいちばん嫌いだ。






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麻生ツナ子
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