行く宛のないラブレター
一日の半分以上女性のことを考えている。
”いつも同じ電車ですね。”
それは20代前半の頃、毎朝同じ電車の同じ車両で見かけた女性に憧れていて、いつか渡そうと考えていたラブレターの冒頭である。
しかも、履歴書を送る時に使う【履歴書在中】が書かれた封筒に入れ、『これにラブレター?笑』と、相手の警戒心を和らげようとしていた浅はかなラブレターだ。
当然ながら手元にあるということは渡せなかったラブレターである。結局、私の気持ちはその女性に伝わらないまま、10年以上の月日が流れてしまった。
そのラブレターは、年末年始にクローゼットを整理した際に見つかった。引っ越す度に発見しては捨てるか迷うラブレターだが、なぜか捨てられずに今も持っている。
せっかくなので、この場を借りて公開することにした。当然ながらキモ成分多めになっているが、若さゆえの強がり含めて多めに見て頂きたい。
渡せなかったラブレター全文
いつも同じ電車ですね。
なので、はじめましてではありません(笑)
遅れましたが、私はアソ(本名フルネーム)と申します。
名前の知らない人にいきなり手紙なんて驚きましたか?でも、決して怪しい手紙ではないので、ご安心ください(笑)
早速本題を。
以前、電車が駅に着いて貴方の前の席が空いた時、貴方は私に『どうぞ!私は大丈夫ですので』と、言ってくださいましたよね。その時から貴方の優しさ、心強さ、そして自分よりも他人を優先する姿に心惹かれておりました。
また、当時もっと大きな声で『ありがとうございます!!!!』と言えなかったこと、今も後悔しております。
つきましては今度、私の行きつけのアジアンレストランでお会いして当時のお礼をさせてください。
よろしければ、ご都合の良い日時を5日間程決めて頂き、下記アドレスまでメールを頂けますでしょうか?
それでは、メールを待ってます!
P.S. 寒い日が続きますのでホッカイロの在庫切れにご注意ください(笑)
アソ(フルネーム)
(ドコモのメールアドレス)
という鬼キモなラブレターだ。本当に、本当に渡さなくてよかったと心から思っている。今ならTwitter上にアップされて公開処刑をされたいたことだろう。
途中に何度か入れている"(笑)”のキモさ、スケジュールを5日間も決めろという厚かましさ、”優しさと心強さ”という篠原涼子の歌?なセンスのなさ、ホッカイロの心配をするP.S.…。また、行きつけのアジアンレストランなんて一度しか行っておらず、常連感を出していることも非常にカッコ悪い。
ただ、気になることがある。それは「私は何を望んでいたのだろうか?」ということ。顔が可愛かったのは確かだど、名前も年齢も何をしているのかも分からない女性である。
そこでラブレターをもう一度見返してみた。
つきましては今度、私の行きつけのアジアンレストランでお会いして当時のお礼をさせてください。
お礼とは?日々の感謝だけでアジアンレストランに招くということは考え難い。となると理由は別にある。
簡単に考えられるのは、地元に出来たアジアンレストランへ女性と一緒に行き、知り合いに見られ『あれ?あれ?あれれ?彼女?いつ出来たの?』なんて言われたいダサかっこ悪い理由だ。
しかし、それだけだろうか???私だって暇ではない。もう一度見返し、必要部分を洗い出してみると、直ぐに答えが見つかったので、最後に紹介して終わりにしたい。
アジアンレストランでお会いして当時のお礼をさせてください。
当時のお礼をさせてください。
させてください。
させて
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