「教外別伝不立文字」~言葉の力~
「教外別伝・不立文字」という言葉を御存じでしょうか。
四年程前に知り、好きになったこの言葉、茶の湯の先生が教えて下さいました。
禅の特性を表す代表的な言葉で、「大切なことは言葉では表現できず、教えて伝わるものではない。自分で純粋に経験をして体感するしかないのだ」という意味です。
この言葉を初めて聞いた時は、衝撃を受けました。
思えば幼少期から、分からないことがあると自分で考えようとせず、直ぐ人に聞く子供でした。それが当たり前で、そんな己に何の疑いも持たずに。
この、人に考えてもらい判断を委ねるという悪い癖の為に、自分で物事を考え、判断し、決定する力が弱くなってしまったようにも思います。
年齢を重ね大人になってくると、徐々に自分の良くない所が分かってきます。
「やっぱり自力で考え、行動していかなきゃ」としていた時期にこの言葉と出会ったので、まさにタイミングがピタリでした。
言葉というものは、頭の中で靄のようになっていたものに輪郭を与える効果があると思います。この言葉と出会ったのを契機に、少しずつ少しずつ、変化することが出来ました。
茶の湯お稽古にしても、唯お点前を暗記するだけではなく、茶の湯の心のようなものを先生から学ぼうとするようになりました。
お仕事でも、分からない事が出てきたとき直ぐ人に訊ねたくなる気持ちを抑え、まず一旦自分で考えてみようとするようになっていきました。(まだまだ未熟者ですが…)
そのようにして、現在、自分で思考力を働かせ生きていくように努めています。
そのように生きていくのは、楽しいです。
これからも、そんな風に生きていきたい、と決意新たにする36歳でした。