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「不惜身命」を貫く4年目の右腕の話

今回はある選手のお話をしたいと思います。
過去のnoteでも何度か挙げてはおりますが、今季中にこのお話を取り上げたかった。

プロ4年目、石川ミリオンスターズ(以下、石川)の投手 近藤俊太郎(こんどう しゅんたろう)選手のお話です。

プロフィール

出身地 石川県
誕生日 1995年12月19日(26歳)
リーグ所属年数 4年目
身長/体重 185㎝/92㎏
血液型 B
投打 右投右打
経歴(高校以降) 野々市明倫高校-金沢星稜大学-石川ミリオンスターズ
50m走 6.2
遠投 105
セールスポイント 立ち振る舞い
球種 ストレート、カットボール、スライダー、カーブ、フォーク、ツーシーム
MAX球速 146
得意球 カットボール、ツーシーム
好きな食べ物 ひいおばあちゃんの梅干し
趣味・特技 日本舞踊、ゴルフ、釣り
ニックネーム しゅんしゅん

参考・引用:ルートインBCリーグ公式サイト

背番号は18。金沢星稜大学出身。
北陸大学リーグでは通算22勝をあげており、入団前からポテンシャルの高さを見せておりました。
現在、福岡ソフトバンクホークスで活躍中の泉圭輔選手も同大学出身です。

特技に「日本舞踊」とあるように、実は日本舞踊 孝藤流名取「孝藤俊太郎(たかふじ しゅんたろう)」としても活動されている「二刀流のプロ野球選手」でもあります。
「芸を極める」「余計な力を入れない」という点で野球と日本舞踊には共通点があると語り、どちらもとことん極め続ける姿勢を見せております。

孝藤俊太郎としての活動についてはこちら
(リンク:石川ミリオンスターズ 球団公式YouTube)

ちなみに、近藤選手の幼少期や日本舞踊に関するエピソードは濃厚かつ興味深い内容となっておりますので、詳細は本人のnoteをご覧ください。
ぐっと引き込まれる文章力と読み手に情景を伝える表現力の高さは一見の価値があります。

ファンに衝撃を与えた「名前」についての話も必見
(リンク:ぼくのおはなし|近藤俊太郎@地方のプロ野球選手|note)

ルーキーイヤーの怪我

入団会見後にリリースされた選手紹介動画
初々しい姿が懐かしく感じます…
(リンク:石川ミリオンスターズ 球団公式YouTube)

近藤選手は2018年に石川に入団。その年の本拠地開幕戦の先発を任されました。

この日は富山GRNサンダーバーズを相手に7回3安打無失点ピッチング。ルーキーとしては上出来すぎる内容でした。
当時石川の監督であった武田勝さん(現・北海道日本ハムファイターズ 1軍投手コーチ)からの評価も高く、NPBからのドラフト指名も既に期待されていた選手ですが、右肩を負傷し、そのシーズンのほとんどを棒に振ってしまうこととなりました。

そんな辛い状況の中、チケット売り場の手伝いをしている際のこの笑顔。
ファンの前だから当然なのかもしれませんが、心からの笑顔を絶やさない姿勢を見ると、どうか1日も早い復活をと、願いが強くなります。

復活 〜エースへの階段

「チームの流れを変える選手だと思いますから、本人もNPBを目標にしていますし、そこも見据えて(怪我を)しっかり治して頑張ってほしいなと思います」

2018年3月 テレビ金沢「となりのテレ金ちゃん」内コーナー「北陸三県イイトコどり〜」での武田勝さんへのインタビューより

2018年オフに右肩のクリーニング手術を行い、リハビリを重ねてきた結果がようやく形となる日がやってきました。

2019年5月12日。読売ジャイアンツ3軍との試合、7回表に登板。約300日ぶりの実戦復帰となりました。
この日は犠牲フライを打たれ失点し途中降板。悔しい内容ではありましたが、実戦で投げられるところまで戻せたというのは大きな一歩でした。
このシーズンは6試合のみの登板で終了となりました。
オフのラジオインタビューでは「次のシーズンこそ飛躍の年にする」という意気込みも聞かれ、トレーニングに勤しみ、フィジカルや球速アップを意識して肉体改造にも取り組まれました。

2020年は開幕が二度も遅れた影響でそもそも登板できる機会自体が減りましたが、14試合に登板し6勝3敗、防御率2.74とチームの勝ち頭として投げ切りました。
9月22日のオセアン滋賀ブラックス戦ではプロ初完投初完封勝利を記録。さらにレギュラーシーズン終了後には9月10月の月間MVP 西地区投手部門を受賞。
安定感のあるピッチングを武器に、石川のエースとしてようやく存在感を見せられたシーズンでした。

そして今シーズン、2021年はルーキーイヤーと同様、本拠地開幕戦(4月11日)の先発を任されました。

こだわり抜いてきた直球に加え、多彩な変化球により相手打者のタイミングをずらし打たせて取るピッチングを披露。
チームのシーズン初勝利に大きく貢献しました。

2021年7月9日現在で9試合に登板し4勝2敗、防御率2.82としっかり試合を作っております。チームもシーズン序盤と比べ調子を上げてきている状態。西地区の上位を狙える位置にいます。
これからも登板を重ね、エースに相応しいピッチングでキャリアハイの成績を残していくかと思います。

チームの為に身を捧げる

「不惜身命(ふしゃく-しんみょう)」

仏道をきわめるためには、身も命も惜しまないこと。身も命も捧げる覚悟で仏道に帰依すること。
転じて、自分の身をかえりみないで物事にあたること。

近藤選手が好きな言葉のひとつに「不惜身命」が挙げられたことがあります。

今季はチームの顔・中心選手として最前線に立ち、投手キャプテン、野球教室のコーチ、さらには登板日以外のホームゲームでは「DJ近藤」として場内アナウンスで盛り上げたり、カメラマンをやってみたりと、様々な役割を兼任しながらのシーズンとなっています。
まさに「チームの為に身を捧げている」のです。

守備機会のあった野手を毎イニングしっかりと称え、野手に助けられた試合の日のインタビューでは「次は自分が野手を助ける」と意気込む。
点を取ってくれる、守ってくれることを当たり前とせず、常に感謝の意を忘れない姿勢。
「不惜身命」という言葉を好きと話す近藤選手だからこそ、そして礼儀正しさと聡明さを兼ね備えているからこそ、チームの為にここまで動けるのだろうと私は考えています。

ただ、あまりに動きすぎてしっかり休めているかとお節介ながら感じることもありますので、こらからも無理のないように過ごしていただきたいものです。

ひとりの人間として憧れる存在

「誰よりも練習すれば絶対に精神的な部分はついてくる。どんなピンチになっても自分が一番練習したと思えば緊張することもない」

2019年12月 エフエム石川「MOVE」内コーナー「石川ミリオンスターズ きらっと通信」でのインタビューより

近藤選手の強い精神力の秘訣は、どんな状況でも前向きに物事を捉える力だと私は思います。
怪我や不調で約2年間ほとんど登板できなくても悲観するのではなく、己自身を強くする試練と捉えてまっすぐ生きていく。
この前向きな姿勢は、悲観的に物事を捉えがちな私にとっては、ひとりの人間として憧れる部分でもあります。近藤選手を言動や行動を聞くたび(見るたび)に少しだけでも前向きになりたい、と思えます。

私自身、今のご時世であまり現地に行くことができず、心が枯れそうになるのですが、こういう前向きな姿勢を見ていると、下を向いている暇はないなと思えてくるので、近藤選手に(勝手ながら)助けられている部分があります。
誰かの心の支えにもなる選手だなと感じますね。

運命の分かれ道

近藤選手は今シーズンを「NPBへのラストチャンス」としております。石川のユニフォームを着てのプレーが見られる期間も限られてきました。
早いうちに公言したことで、ファンにとってもこのシーズンは覚悟を持って応援しなければ、と思えるようになりました。

果たして、これからどのような道へと歩むのか。
このプロ4年間を見守ってきた私の勝手過ぎる想いを語るとしたら「この努力が最高の形で報われてほしい」と、そう思っております。


どうか、夢舞台の緞帳が上がりますように。



ルートインBCリーグ Future Project (ふゅーぷろ) No.7 あさ

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