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【刊行記念イベント】「英語で味わうシャーロック・ホームズ」柴田元幸×西村義樹

『シャーロック・ホームズで学ぶ英文法』の刊行を記念して、翻訳家の柴田元幸先生と、認知言語学の第一人者である西村義樹先生トークイベントを開催します。
シャーロキアンでもあるおふたりが、「ホームズの英語」の魅力を語り尽くします。
英文読解や英文法に興味がある方はもちろん、シャーロキアンの方にも楽しんでいただける内容です。

今日は、『シャーロック・ホームズで学ぶ英文法』の「はじめに」を参照しつつ、シャーロック・ホームズを英語で味わうことの魅力をお伝えします。

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【開催概要】

日時:3月25日(金)19時30分〜21時
開催方法:Zoomでの配信
チケットの購入はコチラから ↓↓↓

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0.シャーロック・ホームズって誰?

そもそも、シャーロック・ホームズとは誰なのでしょう。
ホームズについては非常に多くの研究があり、推測の域を出ないことも多いですから、ここでは基本的なことだけを簡単に紹介します。

シャーロック・ホームズは、イギリスの作家、アーサー・コナン・ドイル
(1859-1930)が生み出した、架空の探偵です。
ホームズが、ロンドンのベイカー街221Bで事件を解決していく様子を、相棒であるワトソンの視点から描写しているのが、『シャーロック・ホームズ』シリーズの小説です。

世界中にいる多くの熱狂的なファンは、Sherlockianシャーロキアン(イギリスではHolmesianホームジアン)と呼ばれています。

『シャーロック・ホームズ』シリーズは、全60編(長編4、短編56)もあります。
その中で発揮されたホームズの類い稀な観察眼と推理能力は、推理小説界に大きな足跡を残しました。

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1.『シャーロック・ホームズ』シリーズのおもしろさ

『シャーロック・ホームズ』シリーズは、なぜこんなにも世界中の読者を惹きつけるのでしょうか。
その理由を柴田先生は、本書の「はじめに」でこう書いています。

名探偵シャーロック・ホームズが見事に事件を解決してみせるわけですから、読者としてもホームズの推理能力を楽しむということはもちろんあるでしょう。しかしそれ以上に、多くの読者は、ベイカー街221Bでのホームズ=ワトソン二人組とさまざまな依頼人とのやりとり、その場を包む独特の空気、彼らが歩くロンドンの街の雰囲気等々に惹かれて、何度も同じ作品に戻っていくのではないでしょうか。

『シャーロック・ホームズで学ぶ英文法』はじめに より


たしかに、容姿を一目見て、その人の職業や生活の状況などを言い当ててしまうほどのホームズの推理能力には毎度驚かされます。
しかしそれだけではなく、ヴィクトリア朝のロンドンの空気を吸いたくなって、そして登場人物たちに会いたくなって、何度も読み返してしまうのですね。

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2.ホームズを英語で読むということ

『シャーロック・ホームズ』を読むだけなら、日本語でも楽しめます。多くの翻訳が出版されていますから、訳者による雰囲気の違いを味わうのも楽しさかもしれません。

しかし、今回は「英語で読む」ことに焦点を置いています。
それにはどんな魅力があるのでしょうか。柴田先生の説明を見てみましょう。

ホームズの作品を読む楽しみは、かなりの程度、言葉自体の楽しさだということがわかります。もちろんそれは翻訳でもだいたいのところは伝わりますが、やはり原文で読んで理解できることの楽しさは格別です。しかもコナン・ドイルの(というよりドクター・ワトソンの)書く文章は、すでに述べたようなホームズ的フレーズに彩られつつも、基本的にはおおむねシンプルで、外国人学習者が理詰めに考えていけば、だいたいのところは理解できるタイプの文章です。なので、英語・英文法の学習にはうってつけの素材と言えるでしょう。

『シャーロック・ホームズで学ぶ英文法』はじめに より

また柴田先生は、自身が責任編集を務める文芸誌『MONKEY』の中で、こうも述べています。

ドイルの英語って本当にノーナンセンスな英語です。

『MONKEY』 vol. 20 SPRING 2020「対談 ホームズの言葉」より

「ノーナンセンスな英語」ということは、余計な言葉や飾り気がなく、事実がまっすぐ伝わってくるということです。
そんな英語のおかげでドイルが描いた世界観により深く浸れるのでしょう。

つまり、文学作品を原文で読むときにありがちな「だいたい訳せるけど何を言っているかわからない」という状況にも陥らず、気持ちよく読み進められるのですね。

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3.「ホームズ的フレーズ」の魅力

上で柴田先生が触れている「ホームズ的フレーズ」とは何でしょう。

ドイルはそうした空気感を、ことさらに言葉をずらずら並べて作り上げるのではありません。ロンドンの具体的な地名を要所要所でさりげなく挙げたり、”Pray tell” ”Come, Watson”といった、シンプルなフレーズを効果的に使ったりすることで、ほとんど読者に意識させることなく巧みに浮かび上がらせるのです。

『シャーロック・ホームズで学ぶ英文法』はじめに より

例えば、"pray tell me…"というフレーズは、"please tell me…"という意味の表現で、ホームズシリーズにたびたび登場します。
これらが「ホームズ的」と言われる理由について、柴田先生は『MONKEY』でこう説明しています。

当時としては標準的な表現であって珍しいわけではないんだけど、ホームズの中で繰り返し使われているので、いまでは「ホームズ的」という感じがします。ドイルはホームズやワトソンにすごく個性的な英語を喋らせたわけではなく、むしろ普通の言い方の反復の仕方が上手だった。

『MONKEY』 vol. 20 SPRING 2020「対談 ホームズの言葉」より

ほかにも、『シャーロック・ホームズで学ぶ英文法』で取り上げられている例としては、

It is my business to know what other people don't know.

というフレーズがあります。この"know"という単語の訳し方が「ホームズらしい科白セリフ」にするためのポイントだと解説されています。
詳しくは、本書の「Scene 3 翻訳のポイント」をご覧ください。

このような「ホームズ的フレーズ」が、独特な雰囲気を生み出し、ベイカー街221Bを創っているいるのでしょう。
そして、これらのフレーズを、原文の世界観を壊さずに美しく訳出している柴田先生の翻訳術にも注目です!

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4.ホームズをふたりが語るということ

『シャーロック・ホームズで学ぶ英文法』では、翻訳家である柴田元幸先生が英文を解釈するポイントを、そして認知言語学者である西村義樹先生が、英文法のポイントを解説するという、非常に豪華なコラボレーションが実現しています。

そして何よりも、柴田先生と西村先生、実はどちらも相当な「シャーロキアン」。

本イベントでは、両先生のお気に入りのホームズ作品や、翻訳あるいは英語表現という観点から注目に値するシーンを紹介します。
いつもとはちょっと違った視点から、みなさんを「ベイカー街221B」にいざないます。

西村先生が本書の「あとがき」でこのような思いを綴っています。
イベントでも、この楽しさが味わえます!

類い稀な観察力と推理力によってホームズが事件の真相を突き止めることができるように、本書によって読者のみなさんが英語の文章の意味を深く正確に理解することができますように。

『シャーロック・ホームズで学ぶ英文法』あとがき より

英語好きの方、シャーロキアンの方、ぜひご参加ください!

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【質問をお寄せください】

「シャーロック・ホームズ」に関連して、柴田先生と西村先生への質問を募集します。
この投稿へのコメント、もしくはチケット購入時のコメントで、ぜひ質問をお寄せください。
みなさんの質問にもお答えしながら、楽しいイベントにしたいと考えております!
(時間の都合上すべての質問にはお答えできないことを、あらかじめご了承ください。)

それでは25日のイベントでお待ちしております!!


(文責:英語編集部 KK)

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