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血の涙 (短編小説)
僕の涙は赤い。
それは生来のものだった。
涙を流すと、瞳から血が流れているように見える。
しかし、赤い涙はただ赤いというだけで、それ以外の性質は普通の涙と変わりない。
だから、無理に治そうとはしなかった。
あるいは「治せなかった」と表現する方が正しいのかもしれない。
当然のことだが、赤い涙は僕の人格形成において多大な影響を及ぼした。
僕はほとんど泣かない子どもになった。
僕が泣くと、周囲
僕の涙は赤い。
それは生来のものだった。
涙を流すと、瞳から血が流れているように見える。
しかし、赤い涙はただ赤いというだけで、それ以外の性質は普通の涙と変わりない。
だから、無理に治そうとはしなかった。
あるいは「治せなかった」と表現する方が正しいのかもしれない。
当然のことだが、赤い涙は僕の人格形成において多大な影響を及ぼした。
僕はほとんど泣かない子どもになった。
僕が泣くと、周囲