鏡(ショートショート)
鏡に映る私は酷い顔をしていた。
頬はこけ、目は落ち窪み、肌は青白かった。
私は鏡に向かって言った。
「どうしていつもこうなの?何をやっても結局はどこにも行かない…」
そして、私は涙を流した。慟哭。
泣き終えて、再び鏡を見る。
私は戦慄した。
なぜなら鏡に映った私は笑っていたからだ。
「どうして笑っているの?」
私は鏡に映った彼女に問う。
彼女は言った。
「それはあなたが一番良く知っているんじゃない?」
「うるさい!」
私は力に任せて鏡を殴った。
ピシャという音と共にヒビが入る。
歪んだ鏡と歪んだ私。
口元には狂気を孕んだ微笑み。
そして、私の両手は血まみれだった。
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