半田重工業 新美彰崇社長インタビュー(ASIA Link 社長LIVE2025)
留学生の就職支援をしております、ASIA Linkです。
2024年3月13日(水)に「社長LIVE2025」という25卒の新卒留学生対象の新卒採用イベント)を開催いたします!
「社長LIVE」とは、留学生の新卒採用、就職マッチング会です。留学生が企業のトップである社長と直接話せる、貴重な機会です。2024年はZoomオンラインで開催します。参加されたい留学生の方は、ぜひエントリーをしてください!
今回は半田重工業の新美彰崇社長のインタビューをお届けします。
半田重工業はフォークリフトの油圧シリンダーの国内シェアが60%の機械の部品メーカーです。近年では画像検査装置の製品化に成功されています。開発チームにおいては、多くの外国人社員の方が携わり、中心的な活躍をされています。
詳しくは、半田重工業社長の新美 彰崇さんのインタビュー記事をお読みください。
外国人エンジニアの力で新しい製品を生み出す。ニッチな分野でトップを狙う ~フォークリフトの油圧シリンダーの国内シェア60%の技術力~
多品種少量生産で年間5,000品種、高品質・低コスト・納期厳守でお客様のニーズに応える ー日本のフォークリフトの油圧シリンダーの国内シェアは60%、日本の物流を支える半田重工業
- 半田重工業の強みについて教えていただけないでしょうか。
ものづくりにおいて重要な品質とコスト、納期に関しては絶対的な自信を持っています。多品種少量生産で、年間5,000点作っています。大量生産ではなく、一点一点やっているんですが、それを量産に近いレベルのスピードで、生産できることが、うちの強みかなと思っています。
新しく参入した画像検査装置の強みも、一点一点、お客様の要望をフルオーダーメイドで作っています。検査装置の外側の物理的なハード部分だけではなく、ソフトの部分も作っています。お客様のかゆいところまで手が届く、という意味で、お客様の要望を本当にピンポイント、100パーセント要望を満たす、というところがうちの強みです。
- 御社の主力製品は油圧シリンダーで、新しく進めているのが画像検査機とのことですが、それらの製品の業界や社会的な役割は、どのようなものなのでしょうか。
まず、日本で作られているフォークリフトのうち、60%はうちの油圧シリンダーを使っています。シェアが高いので、そういう意味では社会におけるインフラ的な位置づけとして、陰で支えている、世の中になくてはならない存在だという風に自負しています。
さきほど、お話した画像検査装置については、業界には大きな企業が二社ありますが、大手が作るとなると、一番市場の大きなところで、ビジネスが成り立ちやすい市場だけを狙って開発していきます。そこから外れてしまうけれども、必要とされている画像検査装置が世の中にはたくさんあります。そういうところを我々が手掛けていて、ニッチな分野でトップを目指しています。そこがうちの社会的意義だと思っています。
- フォークリストの油圧シリンダーの国内シェアが6割ということでしたが、御社の製品が選ばれている理由は何だと思われますか。
価格、納期、品質に関しては、厳しい要求をお客様からされます。そのお客様の要望を満たせていることが大前提だと思っていますね。
やはり、フォークリフトというのは、車以上に多品種少量生産なんです。今の世の中、車も多品種少量生産だと言われている時代ではありますが、車の世界の生産量は年間8,500万台を超えていますが、逆にフォークリフトの生産台数は年間150万台ぐらいしかないんですよ。
その生産数のわりに、運ぶ対象が違えば、いろんなバリエーション、重さや長さ、形状の違うものを作る必要があります。本当に多品種少量で作っていかなければならない、ものづくりです。それに対応できていることが、選ばれている理由だと思います。
- 運ぶ物の重さによる違いで、油圧の圧力が違って、別のシリンダーになるのでしょうか。
そうですね。シリンダーの太さや長さが違ってきたりします。あとは材質ですね。錆びないように、合成をして機能を付加したりします。
たとえば、海で使うような場合は、絶対錆びないようにします。鉄ではなく、ステンレスを使ったりとか、いろんな工夫をします。お客様の要望に合わせたものづくりをしています。
画像検査装置を独自開発、製造コストを大幅削減、検出率96%を実現 ー臨機応変にスピーディーに動けることが半田重工業の強み
- さきほどの画像検査装置のお話では、大手はある程度マ-ケットが見込める大きな市場で製品を作っていく、というお話でしたが、大手企業がやらない部分というのは、どういったところなのでしょうか。
たとえば、うちの油圧シリンダーの場合、チューブという筒にロッドという棒を入れて蓋をします。この棒の部分の傷を見つけるための画像検査装置はこれまでに作れなかったんです。どうしてかというと、表面が丸くなっていて、鏡のように光を反射してしまって、白い部分が出てきてしまう。この白い部分が見られないという問題がありました。
カメラでこの撮影するとき、どうやって光を反射させないで、綺麗に映すか。そういった技術がかなり難しくて、さっきお話した油圧シリンダーのロッドの検査装置を作ることができなかったんですね。
やはり、他社にとっても、手間がかかるから避けられてきた分野であったと思います。そこに手をかけてやっています。
画像検査装置は、まず大手の会社に依頼をしたんです。すると、「できなくはないけれど、値段が5千万円ぐらいで検出率も90%ぐらいまでしかいけませんよ」と言われました。
だったら、自分たちで作ってみようとプロジェクトを立ち上げました。最終的には値段が800万円ぐらいで、検出率も95%とか96%ぐらいまで持っていくことができました。
ですから、手間をかけて自分たちで開発し、製品化することができると証明できたと思います。やはり、イレギュラーでみんながやらない、求めていないものは、一気に値段が高くなってしまう、というところがあるので、そのあたりを安くできたらと考えています。
自社の中で全部作ったからこそ、コストを下げられました。そこは臨機応変に動ける中堅企業の強みだと思います。
まずは国内の需要を満たし、その後は海外へ展開。外国人材の採用はこれからも継続 ー今後の展望は、5年後に海外拠点をつくること
- 今後の展望についてはいかがでしょうか。
まずは国内で仕事がたくさんありますので、外国人の採用を積極的にやっていきたいと思っています。新規事業の方ではもう外国人の社員のプログラマーが20人ぐらいいます。日本人が0人で外国人が20人みたいなそういう風になってきました。
国内の需要を満たすために積極的に外国人を採用して、ビジネスをさらに拡大して、チャンスがあれば海外にも展開していけるようにしたいですね。
- 海外へのビジネスに関して、何か展望や構想などはありますか。
三年から五年後ですよね。検討して出張所に駐在員を一人置くだけなら三年ぐらいでできると思いますが、拠点を作るとしたら、五年後ぐらいになりそうですね。
- 海外展開していく際、国やエリアによるニーズの違いというのはあるのでしょうか。
そうですね。結局、このビジネスはお客様の近くにいなければならないビジネスなんです。
たとえば、他社の製品のための画像検査装置を作るときは、お客様から。ワーク(仕掛品、部品)をもらって、実際に撮影をして、こういう見え方でいいですか。これが見えればいいですか、という細かい打ち合わせを何回も繰り返すんですね。そのやりとりがないと作れませんから、市場がある国に出なければならないので、一番市場として大きいのは中国、これからインドも発展してくるのであれば、そこに参入していくという考えはあります。オーダーメイドなので、お客様の近くで、かゆいとこまで手が届く開発をしていくことが必要になってきます。
- 国内で製造してから輸出は難しい、ということなのでしょうか。
そういう感じにはならないですね。実物を使ってのやりとりになりますから、海外から国をまたいで、国際郵便で送るとなると、スピードとお金の問題が出てきてしまう。国をまたいで、というのは難しいと思います。
- この画像検査装置はどのぐらいのサイズになるのでしょうか。
幅が1メ-トル、高さが1.5メートルぐらいのものもあります。検査したい物にもよるので、もう千差万別なんですが、本当に大きいものだと幅5メートル、高さ2メ-トルぐらいのものもあります。ですから、試作品を一回作ってみる、ということはあまりしないですね。実際に作る前、図面の段階で打合せは何回もします。
日本経済を立て直すには、付加価値のある「高くても買いたい」製品を生み出す必要がある ー社員に負荷をかけず、効率化を目指し、新しい製品を開発していく
- 社長ご自身についても、お伺いしたいんですけれども、普段お仕事されているときに大切にしていることはありますか。
そうですね。心がけていることは、「どうやって付加価値を生み出すか」というところですね。今の日本は海外と比べても安いと言われていますよね。
たとえば、私は1984年生まれですが、1990年代半ばから2000年代ぐらいまでは、日本の自動車や家電は世界一で、すごく豊かな国だと言われていました。
当時は、世界全体のGDPのうち、アメリカが30%、日本は15%でした。アメリカと日本を合わせると、半分に近い45%だったんですね。
そんなに日本はすごいのか、と思っていたんですが、今どういう状況になっているかというと、日本の世界のGDPに占める割合は4%ぐらいまでに落ちてきています。
逆にアメリカはどうなっているかというと、25%ぐらいあります。ですから、アメリカは30%からちょっとは落ちてはいますけれど、あまり変わっていないんですよね。
ほかの国もすごく成長をして、アメリカの割合も少し落ちてきてはいるんですけれど、今もアメリカは、巨大な存在感を発揮し続けています。なぜ、こんなに差がついてしまったのだろう、やはり、反省するべきところがあると思っています。
いかに安く作るかというよりも、付加価値の高い製品をどうやって作っていくのかが重要です。「安いから買う」のではなくて、「高くても買いたい」という風に思っていただける会社を目指したいですね。
ですから、極力、従業員に負荷をかけないようにするというのが、根本的な発想だと思っています。どれだけ人間がすごく頑張って働いても、すごく優れた人だとしても、一人一人がやれることは、それほど多くないと思っています。一日にタスクが20個あったら、20個やっておしまいみたいな世界だと思います。
その20個のタスクの中に何を入れるか、付加価値の高い仕事をどう入れていくか、ということが重要だと思っています。重要ではない仕事は減らせばいいし、重要な仕事だから自分たちでやるとか、そういう取捨選択が必要です。
- スタッフに負荷をかけない、というのは、価格競争に巻き込まれないようにする、ということなのでしょうか。
それもありますし、無駄な仕事はやらせないというのは大事なことだと思っています。本人がやらなくていいようなこと、ほかの人でもできる仕事は極力やらせない。本人の判断がつかなければ、相談してもらえればと思っています。自発的な申し出もいいと思いますし、こちらから言うケースもあると思います。
やはり、世の中、無駄が多いんですよね。どうしてもルール化をしてしまう。問題が起きたから、その問題を防ぐために、これからはこれをやるようにしよう、と毎回ルール化をしますよね。それで、いつのまにか、いろんなルールがたくさんできていて、気づいたら、意味のないルールが延々と続けられていたりする。それをなくしていくことが重要かなと思っています。
そういった無駄をなくして効率化することで、実際に売上になる商品開発を積極的にやっていこうと考えています。
社長としての品位を保ち、いい意味での緊張感を持ち、職場の公私混同を防ぐ ー新規事業の売上の30%は社員に還元
- 社内で何か目標として掲げてやっていることは何かございますか。
たとえば、新規事業の売上の利益は、三割ぐらいは従業員に還元しています。ですから、頑張ったら頑張った分だけ、自分の待遇も良くなっていきます。
- 社員さんとの関わりの中で、新美社長が大切にされていることはありますか。
難しいですよね。あまり馴れ合うのは良くないと思っています。社長のスタイルは、本当にいろいろだと思っていて、世界的に有名なイーロン・マスクは社員と基本的には絶対仲良くしないと言っていますよね。いい意味での緊張感は必要だなと思っています。
同じ目線で話すときもありますが、基本は経営者として品位を保つことを心がけています。従業員と打ち解けて、和気あいあいとやっている社長もいれば、そうではない社長もいます。従業員の人が働いてくれて、成果を上げてくれれば、どんなやり方でもいいのかなとも思いますが、品位は保ちたいですね。
- 社長が品位を保つことによって、どのような効果があるのでしょうか。
やはり、公私混同がなくなるんじゃないですかね。中小や中堅の会社だと公私混同が甚だしくなってしまうところもあって…。たとえば、古参の社員に、昔の昭和のような感覚があり、モーレツ(猛烈)サラリーマン、「会社が人生だ」みたいな人がいたとします。「会社で偉くなったから、オレの人生はすごいんだ。だから、何をやってもいいんだ」みたいな人がいると、今の職場では少し困ってしまいますよね。
ほとんどの従業員からしたら、職場はお金を稼ぎに来ているだけの場所なので、そういう感覚でいられると問題が起こります。会社にとってマイナスなことをさせてはいけないんだ、という意識はあります。
会社は、お金を稼ぐ場所である、という認識です。会社で稼いだお金で、自分の自己実現をしたり、プライベートを充実させることに干渉したりはしないです。仕事が終わった後に、飲み会に無理やり付き合わせるとか、そんなこともまったくしません。欧米はそうですよね。プライベートの時間で会社の人と食事したりしないですよね。
なぜかというと、これは終身雇用と関連している話なんです。アメリカも1980年代まで終身雇用だったんですよね。終身雇用制度はアメリカが作ったもので、結局、その後に何が起きたかというと、日本の製造業に競争力があり、アメリカの製造業がやられてしまった。
その後、アメリカではサービス業や金融、ITの業界でも、転職や解雇が当たり前になっていきました。日本は製造業が成功したことは良かったけれど、製造業が強すぎて、IT化に乗り遅れてしまった。今はその製造業も、新興国の中国や韓国、台湾に追い上げられ、抜かれてしまったような…。日本は当時のアメリカのようになっているわけです。
だから、終身雇用制度は崩れていてもおかしくなかった。モーレツサラリーマン、会社が人生とかそういう話ではなくなってきています。外国人も雇っていきますし、会社は会社のことだけで、それ以外のことはもう何も関知しなくなる。そういう世界にしていきたいと思っています。私自身がそれを好んでいるということもあります。
留学生・外国人材を社内の中核戦力として採用する理由は、「優秀」だから ー「大胆な人」と「慎重な人」を組み合わせると、新しいものを開発することができる
- 多様性ということで、どんどん外国人社員を増やしていきたいと考えている日本企業も多いと思いますが、御社では早くから採用されていらっしゃいますよね。
そうですね。本当に中核の戦力として採用しているというのは、結構珍しいかもしれないですね。
- 外国人社員の方が入社されて、日本人社員との違いなどはありますか。
彼らは、その人間に対して実力があるのか、この人はわかっている人間なのか、という目線でしか見てこないですね。だから、会社に長くいて偉い人だから敬意を払っておこう、とかそういう発想はほぼないですね。
まあ、ドライというか、「人を見る目は厳しい」という厳しい世界ですよね。ただ、それが問題というわけではないんです。うちの場合、外国人の中でもかなり高学歴で、大卒以上の方しか採用していないので、全然問題は起きないですよ。むしろ、真面目ですごく優秀な人たちが多いので、ここまでやってくれるのか、というぐらいにやってくれています。
適性検査で性格検査もできるんですが、今はその精度が正確になってきています。「大胆な人」と「慎重な人」をバランスよく採用することが大事で、同じような性格ばかりだと良くないんです。
「慎重な人」たちばかりだとミスは起きないけれど、新しいものを作ったり、一気に成長というのは難しい。逆に「大胆な人」は大きな成長はあるんですけれど、やはり、リスクもつきまとう。アクセルとブレーキをうまく組み合わせながら、採用しています。
- 適性検査が選考プロセスに組み込まれていて、精度も高いんですね。
かなり高いですね。というか、もうほぼほぼわかります。人間の性格は10パターンぐらいあって、日本人でも外国人でも、そのどれかに入るので、基本的な性格は大体わかります。それで、そこからプログラマー向きか営業向きか、わかってきます。
『キャリパー』という性格診断テストは、その人がどういう動機付けで人生を生きているのか、ということまでわかります。組織の中でポジションを得たいと考えているのか、そうでないのか、とか。モチベーションが一番大事で自分は面白い仕事がしたいとか、自分でモチベートしてモラルの高いことやりたいとか、そういう風に思っている人だとか、いろんなことがわかります。
昔の日本の会社だと、「オレがオレが」みたいな人が多かったと思いますが、本人のモチベーションが上がるんであれば構いませんが、そういう人たちばかりだと、どうなんだというところもあって…。この人の動機付けはどこにあるのだろう、といろんなテストをしながら分析している感じです。
- 毎年採用されていて、同じ適性検査を使われているんですか。
毎回、同じ適性検査をして、その差異を見ています。同じ傾向の人でも度合いが強い、弱いとか、いろいろあったりします。もちろん、プログラマーには経験も必要です。
うちの会社にはIIT(インド工科大学)を卒業した方がいますが、大学時代は金属の勉強していた人でAIやディープラーニングなんてまったく素人だったんですが、うちの会社入って一年ぐらい勉強してもらえば、それなりにはなります。もちろん、大学時代からAIやディープラーニングを勉強している人は、本当にすごいですよ。わかっている人はすぐに応用ができる。ですから、経験と性格のバランスが重要だと思っています。
これまでに会社に在籍していた人の性格と行動を照らし合わせることもあります。採用するとき、日本人だと雰囲気や話し方でこちらの勘が働くんですが、外国の方の場合、最初は判別がつかなかったんですね。だから、性格よりも学歴や勉強といった経歴だけで判断するしかなかった。
今は性格も判断材料の一つにしていて、性格的に「慎重な人」なのか、「大胆な人」なのかを見ます。この部門には「慎重な人」が足りないから、「慎重な人」をここに入れようとか判断をしています。
- 付加価値の高い製品や新しい製品、新規事業をやっていく上で、新しいことができる人は、どういう方たちなのでしょうか。
さきほど、お話をした「大胆な人」と「慎重な人」を組み合わせるんです。
たとえば、新しいことを積極的にやりたい人は、逃げないタイプです。何事からも逃げず、人を信頼する、という傾向があります。彼らは臆せず新しいことバンバンやっていきますね。ただし、詰めが甘かったり、周りが見えていなかったりする。「大胆な人」たちはまっすぐに進んでいきますね。
逆にリスク回避型、「慎重な人」もいます。リスクを取らない、リスクから逃げるタイプで、人を信頼しないタイプは非常に緻密にプログラムを作ることができます。
だから、その二つの組み合わせがすごく重要です。どんどん仕事を進める「大胆な人」は詰めが甘いから、「慎重な人」が緻密な仕事をしてカバーする。「慎重な人」はアイデアや推進力が足りないから、「大胆な人」がそこを埋める。その二者を組み合わせると、バランスの取れたものが作れるかなと思っています。
- 外国人社員の採用はどのようにスタ-トされたんですか。
最初はわからないことが多かったので、外国人の女性の採用からスタ-トしました。エンジニアは女性の方が多くて、今20人のうち、女性が13人、男性が7人です。
- 女性の採用が多い理由は何かありますか。
単純に応募が多いということがあります。やはり、「日本は安全」という印象があるからでしょうね。別に女性を選んでいるわけではなくて、単純に選考基準を満たしている優秀な人の母数が女性の方が大きい、ということです。
- 弊社で留学生の面談をしているときも、日本が安全だという話はよく出ますね。
そうですよね。親の気持ちからしたらそうだと思ですよ。やはり、危ない国に行ってほしくない、という気持ちはありますよね。
- 外国人社員の方を迎え入れるにあたり、気を付けている点などはありますか。
ちょっとした文化的な違いとか、食事の問題はありますよね。豚肉や牛肉が食べられないとか、そういったことはありますけれど、それ以外は実はほとんど変わらないと思っています。どちらかというと性格の影響の方が大きい印象です。ただ、専門性がなければ仕事では活躍できないので、性格と専門性が一番重要かなとは思っています。
あとは日本語ですかね。一、二年、日本語を国で勉強してきてはいるんですが、そんなに会話はできないということがあって、結局、入ってもらった後も日本語の勉強をしてもらいつつ、同時並行で仕事をしてもらっています。少し時間かかりますよね。即戦力ではないですね。
まあ、日本人でも新卒の学生は即戦力ではないので、外国人の方の場合、業務と日本語のダブルで教育カリキュラムが必要になってきますね。
- 日本語が多少できなくても採用されている理由は何ですか。
やはり、それは「優秀」だからだと思いますね。日本人の学生さんは大手志向ですが、優秀な外国人の方は、うちのような中堅・中小にも入ってきてくれます。
これから外国人社員に期待することは、管理職・マネージメントでの役割 ー外国人のエンジニアがさらに活躍できる組織を作っていく
- 今、エンジニアの外国人社員の方々を採用されていますが、今後はどんな活躍をしてもらいたい、とお考えですか。
これからは組織のマネジメント、管理職的なポジションになってもらえる人がどんどん増えてくれればいいなと思っています。今はまだ、いちプログラマーとして、自分のパートだけやっているみたいな感じなので、これからは部署によっては外国人の組織という風になってくると思います。
- マネジメント職や管理職になっていってほしい、ということはエンジニアの方たちにも伝えていらっしゃるんですか。
たまに言いますが、5年、10年で母国に帰りたい、という人もたくさんいるので、そこは難しいかなとも思っています。当面の5年ぐらいはいます、という方が多いので。長く日本にいたいと思える人が、ゆくゆくは管理職になっていくのはあり得ると思います。
半田重工業でエンジニアを希望する留学生に伝えたいこと ー覚悟はしなくていいから、気楽に応募してほしい。外国に住むのは大変なこと
- これから社会人になる留学生に向けたメッセ-ジいただければと思います。
うちの場合は、やはり、「仕事してなんぼ」だと思っているので、うちの会社に「ずっと勤めます」とか、そういう発想はなくても大丈夫です。まずは、気楽に入ってもらって、この会社で楽しく長く仕事できそうだなと思ったら、長く働いてもらってもいいですし、違うなと思えばやめてもらっても構いません。ハードルを上げて、すごい覚悟をする必要はありませんよ。
まあ、気楽に受けて、ずっと勤めたければ勤めてください。ちょっと合わないなと思ったら、ほかに行ってもいいです。5年働いてくれれば、もう十分だと思いますよ。それでね、次の若者たち、また新しく入ってくる人たちに引き継いでもらえれば、それで構いません。
- 5年という期間には何かお考えがあるんですか。
やはり、5年経つと仕事に慣れてきて、いろいろ新しいことに挑戦したくなってくるので転職を考える人がいても、おかしくないかなと思っています。私は新しい人が常に入ってきて、残りたい人は残っているという状態で、その状態で仕事が回っているのであれば、会社としては別にそれで構わないと思っています。どうしても日本の会社は、社員を長く囲うことをずっとやってきたと思うんですが、今後もそのやり方でいいのかどうかはわかりません。
人手不足の中、外国人採用を始めましたが、一つの会社にずっと勤める、という発想をする人たちが多いわけではありません。ですから、別にもうそこは気にしていないです。
- 外国の方の考えを尊重しますよ、というスタンスなんでしょうか。
もし、私が外国に行って、見知らぬ土地で、かつ親戚とか知り合いもいないのに、「ずっと勤めます」というのは、大変な決断だと思います。相当な覚悟が必要なことですから、自分ができないことを求められないと思っています。
ただ、優秀であれば5年でも、かなり成果上げてくれますよ。今の社員もそうですし、これまでにいた方もそうでした。
♦♢♦半田重工業の新美社長から留学生のみなさんへのメッセージ♦♢♦
ー 最後に新美社長から、留学生へのメッセージをお願いいたします。
常に新しいことにチャレンジしていきます。みんなでそれをチェックして、ミスが起きないように、大きな問題にならないような体制を作っています。自分一人だけで仕事を抱え込む必要はまったくありません。
半田重工業の開発には「大胆な人」と「慎重な人」が必要です。
みんなで面白くて大きな新しい仕事に、楽しく挑戦したい人は、半田重工業にぜひ応募してください!
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次回は半田重工業の外国人社員Sさんのインタビューをお届けします。