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#17 海を望むいつもの散歩道が、自分のお店に。「初めてのことばかり」を楽しむひき肉料理屋さん

ひき肉研究所”というネーミングに惹かれて訪れた赤いコンテナ。中を覗くと、エプロン姿にキャップがよく似合う店主松尾佳代さんが常連さんと楽しくお話をしているところでした。キッチンから漂うお肉の匂いが店内に広がり、どんなひき肉料理が出てくるんだろう?と想像が広がります。ひき肉を最大限に使った3種の料理と、夏井ヶ浜でお店を開業したきっかけ、芦屋港の活用についてお聞きしました!


ひき肉研究所
〒807-0141 福岡県遠賀郡芦屋町山鹿796−45
TEL: 080-3901-4781
営業時間:11:00~18:00
定休日:不定休(インスタグラムをご覧ください)

Q 店名にインパクトがありますね!ひき肉にこだわったのはなぜですか?

お店で出したい料理を考えていたら、たまたまひき肉を使ったものが多かったのでいっそひき肉料理に絞っちゃおう!と「ひき肉研究所」という店名にしました。数ある候補の中から、覚えやすくインパクトのある名前を選び抜きました。
お客さんに、「ごついネーミングだから、頑固な料理人が出てくるのかと思ったけど、柔らかい人柄の店主でよかった!」と言われたこともあります(笑)
出張先でいろんな飲食店を訪れる夫のアドバイスも頼りに、お店作りを進めました。海沿いなので「サンシャインカフェとかどう?」と相談した時は、「それはないやろ~」と一刀両断でした(笑)

Q どんなひき肉料理が楽しめるのでしょうか?

デミハンバーグとタコミート、キーマカレーの3種を丼・ハンバーガー・ホットサンドでそれぞれ楽しめます。最初は丼のみで始めて、ハンバーガーを出すようになってからはデミハンバーガーが人気になりました。とにかくボリューミーでインパクトがあるので、成人男性でもお腹いっぱいになって帰っていきます。女性に人気なのはハーフ丼で、3種の丼を半分強の大きさで提供しています。ぱぱっと食べられるので時間が限られたランチにもぴったりです。キーマカレーやタコミートは辛いイメージがあるみたいで、こどもさんに一番人気なのはデミハンバーグです。

Q 夏井ヶ浜で出店を決めたきっかけは何ですか?

隣の北九州市に住んでいて、犬の散歩でよく夏井ヶ浜に来ていました。ある夕方にこの場所を通って、とてもきれいな夕日に感動し、「ここで店を開きたい!」と思いました。それから「えいやっ!」と開業を決断しました。1年経っていないので、まだまだこれからです!

別業種の事務職だったので、「お店をしてみたい!」という気持ちだけでここまでやってきた感じです!最初の方はどれくらいストックを作ればいいかペースが掴めず、お客さんをお待たせしてしまいました。今は一人で営業するペースが掴めてきたり、事前予約をしてもらったりして、時間をかけずに提供できるようになりました。

お店の経営は未経験のことだったので、助成金をもらうための5か年計画を立てる中で、経営について勉強しました。コンセプトを固めてターゲットを絞り、数字を追うといったことは、全く未知の領域でした。
ツーリングに最適な道沿いのお店なので、当初は40代~60代のバイカーさんをターゲットにしていましたが、いざお店を開けてみると若いカップルがたくさん来ました。「そういえば、夏井ヶ浜は恋人の聖地に認定されていて、デートスポットなのか!」と認識しました。

Q 他にどんなお客さんが来ますか?

わんちゃん連れの方も多く来ていましたが、テイクアウトで車内で食べてもらっていました。しかし、私が犬を飼っていることもあり、飼い主とわんちゃんが一緒にいられる空間にしたいな、と思いわんちゃんOKにしました。フォロワーの多い方がインスタグラムで「ひき肉研究所は、わんちゃんOK」と拡散してくれたので、その後わんちゃん連れの方が増えました。そのほか、地元の方がリピーターになってくれたり、一人でやって来て海を見ながら食べて、その後ぼーっとして帰ったりするような方もいます。

Q 一人でお店をやっていく上での工夫はありますか?

そうですね、お店は11時オープンですが、朝早くから仕込みをしています。営業後も30食の仕込みを一気に5~6時間かけて作ったりします。3種類それぞれ作ったら、真空パックで保管しているので、実はそれを販売もできるんです。常連さんはそれでアレンジレシピを楽しんでくださっていて、ヒントをもらうこともあります。真空パックという方法にたどり着くまでは、本当に色々な調理法や保管方法を調べて試してみる、の繰り返しでした!

インスタグラムで公表しているのですが、実はがんが見つかり通院しています。日帰り治療で治る見込みがあるので、有難いことにお店はこれまで通り営業できています。発見した当初は「お店を開いたばかりなのに、続けられないのかな・・・」と心配になりました。しかし、家族が家事をしてくれたり、夫が店作りと土日祝の営業を手伝ってくれたりして、お店に立ち続けてられています。家にいるよりお店でお客さんと話している方が気が紛れるし、何より日々のモチベーションになるので、お店を開いてよかったな、と心から思います。新商品が出るたびに来店してくれる常連さんもいて、うれしい限りです!

Q 季節メニューや新メニューはありますか?

季節メニューとしては、冬は海からの北風で冷えるので、ひき肉を使ったスープを出し始めました。また、現在はランチ中心ですが、朝の需要が見込めるのでモーニングメニューも出したいです。ひき肉を混ぜた具沢山おにぎりとスープのセットがいいかな?と考え中です。冬の営業は厳しい?とお客さんからも心配されているので、いろんなアイディアで頑張りたいところですね!

デミハンバーグ ハーフ丼と、鶏団子のトマトスープ

新商品としては、以前イベントに出店した時に麺類に挑戦しました。甘辛のひき肉を和えた混ぜそばを出したら50食完売して、新たな可能性を感じました。ただ、麺類は回転の速さが求められるし、調理場が蒸し暑くて大変です!今あるメニューを大事にした上で、好評だった麺類もお店で出してみたいです。

Q 芦屋港レジャー港化についてアイディアを聞かせてください!

芦屋町は景色が売りなので、海を眺めながら食事する場所がたくさんあるといいと思います。ぼーっとするために海辺に来る方もいるので、芦屋港にもゆったりリラックスできるような空間があると長時間お客さんに滞在してもらえそうです。
また、こども向けのイベントを開催すれば、自然と家族が集まってきます。例えば、芦屋港で夏祭りを開催して、地元のお店を集結させるのもいいと思います。近隣に住んでいても知らないお店があるので、イベントをきっかけに各店舗を知ってほしいです。また、飲食店同士が交流ができて、町の賑わいにも繋がるのではないでしょうか。

お店の経営について分からないことばかりだけど、お店作りや日々の営業をとにかく楽しみお客さんとの会話を大事にする松尾さんに心を打たれました。丼だけでなくバーガーやホットサンド、さらに丼のハーフサイズまで展開し、お客さんの「あったらいいな」という声をダイレクトに反映させる松尾さんのお店は、みんなで作り上げているあたたかい空間でした!

キーマカレー ハーフ丼

ぱぁっとカラフルな野菜が彩る丼の下には、食欲をそそるカレーが敷き詰められています。「おいしー!」と思わず叫びたくなる味で、付け合わせのスライスにんじんからバターが香り、バランスがよく栄養満点なランチ。ごちそうさまでした!
                          (文―上田裕菜)


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