井穴刺絡療法で不調を治す①井穴刺絡療法(せいけつしらくりょうほう)とは?
みなさん、こんにちは。
今日は、当院で取り入れている井穴刺絡療法についてお話したいと思います。
井穴刺絡療法は、浅見哲男医師が発見した自律神経をコントロールする治療法です。
井穴とは
井穴(せいけつ)とは手足の指先の爪の生え際にあるツボを指します。
東洋医学では、身体には14の経絡が通っており、そのうち12の経絡は臓器(概念としての臓腑)とつながっていると考えられています。
井穴はそれぞれ12の経絡の始点・終点のツボです。
そのため、この井穴を刺激することで、各臓器(概念)に働きかけることができると考えられています。
刺絡とは
刺絡(しらく)とは、鍼の治療法のひとつで、鍼を刺して、少量の血液を出す中医学の伝統的な治療法です。
刺絡の中でも様々な治療法があり、井穴刺絡療法では、指先の井穴のツボに1ミリほど鍼を刺し、20滴ほど出血させます。
出血させるなんてなんだか怖いですよね?
個人差はあるものの、井穴刺絡に限って言えば、痛みが少なく、赤ちゃんから高齢者まで受けて頂ける優しい治療法です。
他の鍼治療だと、太い鍼を使用して1,2センチ刺入したり、部位によっては6センチ以上刺す場合もあります。
井穴刺絡では、1ミリほどしか刺さないため、刺した後にさらに鍼を深く刺入する際の痛み(ひびきの感覚)もありません。
この「ひびき」の感覚は好き嫌いがあり、わたしは大の苦手で(笑)、鍼灸学生時代の実技の授業は毎回恐怖でした、、。
そんな私でも井穴刺絡の鍼の刺激は平気なのです。
自律神経とは
自律神経とは交感神経と副交感神経のことですね。
試験前やプレゼン発表のときなど緊張しているとき、怒っているときは交感神経が働きます。
逆に、リラックスしているときや心地よい音楽を聴いているとき、ウトウトしているときは副交感神経が働いています。
自律神経は脳の視床下部でコントロールされており、意思とは関係なく、血圧、呼吸、体温、代謝、内分泌、排尿排便など、生体を維持するために必要な機能をとして、24時間働いています。
井穴刺絡療法の効果
井穴刺絡療法では、この自律神経をうまくコントロールして、どちらかの自律神経が異常に興奮している場合、それを抑制して症状を緩和させます。
簡単な例として便秘を取り上げてみます。
便秘にも色々あって、ここでは弛緩性便秘、いわゆる運動不足や寝たきりの方、高齢者の方に多くみられる便秘について説明します。
弛緩性便秘の場合、腸の蠕動運動が低下しています。
排便は、腸の蠕動運動が正常に動くことによって、便が上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸へと徐々に送られ、排便されます。
この蠕動運動は、副交感神経が働くことによって活発に動きます。
弛緩性便秘の場合は、交感神経>副交感神経の状態になっているため、蠕動運動が低下していると考えられます。
交感神経を抑制すれば、相対的に副交感神経が優位になりますので、蠕動運動も活発化し、排便を促すことができます。
井穴刺絡では、交感神経の抑制、副交感神経の抑制が可能なため、ここでは交感神経を抑制する井穴(手の人差し指、足の小指のツボ)を刺激して、副交感神経の働きを優位にもっていきます。
効果は個人差があり、刺激直後に便意を感じる人もいれば、翌朝便意を感じる人もいます。
交感神経を抑制しても便秘が解消しない場合は、弛緩性便秘ではなく、痙攣性の便秘である可能性があるため、副交感神経を刺激します。
どちらか一方を刺激して効果がなければ、もう一方を刺激すればよいので、誰でも簡単にできる治療法と言えます。
次回は井穴刺絡療法がおすすめな理由についてお話したいと思います。
西洋医学との違い、「なるほど~」と思っていただける内容にしていきますので読んでいただけると嬉しいです。
良い一日をお過ごしください!
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