ひとこと
ひとこといえたなら
知らないよ
君の気持ちなんて
私の優しい気持ちになれない
ゴミ箱の中はいつも生物で
綺麗にしただけ
汚くなる
鉛筆は濃い色だけうつす
いつも薄い色は無いものになる
消えたくなる夜に涙を流す
君の気持ちなんて
私の気持ちも分からない私に
分からないけれど
分かりたいとおもうのは
きっと生きていたいと今も思えているから
明日にならないでくれと
布団の中で静かに思うけれど
イヤホンが絡みついて
首を締め付ける
嘘ついてまで大人になりたくない
洗濯物は半乾きで
一人でいいと思うほど
生活がおろそかになって
顔はどんどん粘土みたいになる
取り繕うたびに笑顔がこわばって
消えてしまう大切なものが
私の中の声を聞かずして
君の声など聞けない
生ゴミになった言葉たちが
どこにもいけずに吹き溜まり
街灯に集まる虫たちのように
オレンジと白色の間
私の中には何も残らない
深夜のコンビニ
SNS
あったかいスープ
冷たい空気
ありがとうもごめんなさいも
言えない人間になりたくない
謝るほどに失われてしまって
嘘のやさしさに傷つけられて
もういいやと諦めて
誰かに依存できるほどの強さもなければ
逃げる強さもないのです
ひとこと
ここで言ってみよう
ひとこと
悲しい気持ちをかき集めて
鉛筆の代わりに
心の中に送信する