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ストリームライン腕の位置どっちが速い?耳の横 vs 耳の後ろ!

どうも、足ひれ社長のヨシです!

ねぇ、ストリームラインってどうやって組んでる?

プールサイドで友達にこんな質問をされたこと、ありませんか?

耳の横に腕をピタッと挟むのが正しいのか、それとも後頭部の後ろで腕を組む方が速く泳げるのか…。

これ、昔からよく議論されていますよね。

結局、どっちの方が速くなるの?」って、みんな一度は気になりますよね。

今日はその論争に終止符を打つべく、ひとつの提言をしていこうと思います!(大袈裟)

ここでちょっと面白い話をしましょう。
筑波大学の名門水泳研究室にて、安藤先生という方が、この両者の違いによる抵抗やスピードの違いを、流水プールを使って研究していたんですね。

その研究の結果では、実はどちらの姿勢でも泳ぐ速さや水の抵抗にはほとんど差がないっていう結果が出ているんです!

え、どっちでもいいの?!」って思った人もいるかもしれません。

そうだったんです!

でも、ここがポイント。
単なる「抵抗」「速さ」だけじゃなく、実際の泳ぎやすさや力学的な身体の負担を考えると、話は少し変わってくるんです。

足ひれ社長的結論はこれ!

結論として、私は「腕を耳の後ろで組む」ストリームラインを、断然、強く、推奨します!

「でも、研究ではどっちでも速さは変わらないって言ってたよ?」と疑問に思う方も多いはず。確かに、泳ぐ速度や水の抵抗には大きな違いがないと研究結果は示しています。

しかし、実際の泳ぎの感覚や身体の使い方を考えると、この差は明確になってきます。特にフィンスイミングやドルフィンキックのような全身を使った泳ぎでは、その違いが如実に現れるんです。

身体全体がリラックスして連動するから

1. 流体力学的な視点からの分析

流体力学の観点から見ると、実は非常に興味深い現象が起きています。耳の横で腕を組む場合、確かに前方から見た時の身体の幅(前方投影面積と言います)が最小限になり、より流線型に近い形状となります。

一方、後頭部で組む場合は、前方から見ると腕より下に頭部が来るため、頭部全体が抵抗になるのではないかと考えられがちです。

しかし、実際の研究結果は私たちの直感を覆すものでした。水中での抵抗は、どちらの姿勢でもほとんど差が見られないのです。これは、水中での流れが私たちの想像以上に複雑で、単純な形状だけでは判断できないことを示しています。

2. 筋肉への負担と使い方の違い

ここで最も重要なポイントとなるのが、全身の連動性です。

ドルフィンキックやフィンスイミングでは、手指の先から足の先まで、身体全体が一つにつながったような動きで泳ぐ必要があります。体幹の筋肉をいかに効率的に使えるかが、パワーやテクニックの全てを左右するのです。

うねりは大体、手が先行して動き始めて、その後、肩、胸、お腹、腰、脚、足と、全身が同じ場所を通るようにうねっていきます。耳の横で腕を組む場合、一見シンプルに見えるこの動作に、実は大きな落とし穴が隠されています。

それは、手の先からうねりを作った際に、体幹だけでなく肩の力、特に三角筋などの余計な筋肉の動員が増えてしまうのです。さらに、腕を挙上した姿勢をキープするためにも、腕や肩、胸周りの筋肉を常に使い続けなければなりません。

対して、耳の後ろで腕を組む場合は、腕が頭に自然に引っかかることで、強制的に腕の挙上姿勢がキープされます。これにより肩の力や肩甲骨周りの筋肉をリラックスさせることができ、結果として胸周りや背中周りの柔軟性を維持したまま泳ぐことが可能になるのです。

3. 全身の連動性とリラックス効果

後頭部での組み方のもう一つの大きな利点は、身体全体の連動性を高められることです。胸郭・肩甲骨が自由に動けることで、体幹の力が効率よく伝わり、うねりの動きがよりスムーズになります。その結果、身体全体でのリズムが取りやすくなり、エネルギーロスも少なくなります。

フィンスイミングやドルフィンキックでの実感

私自身の経験からお話しすると、フィンスイミングを始めた頃は、私も耳の横とまではいきませんが、そこまでぎゅっと鋭いストリームラインを組むことを意識していませんでした。

その頃は、100〜200m続けて泳ぐと腕・肩がキツくなってきて、ストリームラインを組み続けているのが難しかったです。練習が続けば続くほど肩周りは硬くなり、フォームも崩れやすい状態でした。

ところが、耳の後ろで両腕を頭に引っ掛けられるよう、できる限り腕と腕を近い位置で組むように組み方を変えてからは、驚くほど泳ぎの感覚が変わりました。

「あれ?どれだけ泳いでも腕がキツくならない!」という感覚を今でも鮮明に覚えています。また、肩や胸の力が抜けて身体が楽になり、お腹(体幹)の力をうまく使えるようになりました。フィンや脚までスムーズに力が伝わり、タイムも安定し、長距離でも疲れにくくなったんです。

おまけ:柔軟性に難ありの方

ただし、ここで一つ重要な注意点があります。スイマーにとって当たり前のようなこのストリームライン姿勢も、肩周りの柔軟性が低い人にとっては非常に窮屈でキツい姿勢でしょう。

後頭部で腕を組もうとして無理に姿勢を作ると、かえって胸が反ってしまい、先ほど説明したリラックス効果が得られない、むしろ逆効果になってしまいますよね…。
そういった場合は、まずは耳を挟むような姿勢でストリームラインを組むことから始めるのが賢明です。

しかし、そこで立ち止まってはいけません。

なぜなら、ストリームラインを組めないほどの柔軟性の低さは、他の局面でもパフォーマンスを大きく制限していること確定だからです。

もしかしたら、肩が硬い状態のまま1時間の練習を10回するよりも、肩を柔らかくするために1時間のストレッチやエクササイズを10回した方が、タイムは速くなるかもしれないですよ…!

どんなエクササイズやストレッチをしたら良いか知りたければ、ぜひコメントで教えてください。たぶん5分あれば今より格段によくなる方法をお伝えできます。

まとめ:科学と実践知の融合から見えてくるもの

「研究では差がない」というデータと、「実践では違いがある」という経験。一見矛盾するように見えるこの結果は、実は水泳の奥深さを示しています。速さだけでなく、長時間の泳ぎやすさや身体への負担、そして個人差など、多くの要素を総合的に考える必要があるのです。

20年の競技経験と1,000人以上の指導実績から言えることは、「正しいフォームは、必ず結果につながる」ということです。ぜひ、次の練習で実践してみてください!

ということで、今回もここまで読んでくれてありがとうございました。

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また、これからも読者の皆さんに役立てるような発信をしていきたいので、「コメント欄」に質問や気になるエピソードを入力して教えてください。

それではまた次回お会いしましょう!
またね〜

フィンスイミングスペシャリスト
足ひれ社長 関野 義秀

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引用参考文献

https://tsukuba.repo.nii.ac.jp/records/29157

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