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イチゴ牛乳と円周率の旋律~映画が教えてくれた『本当の賢さ』とは

Amazonプライムで公開されている2022年公開の韓国映画『不思議の国の数学者』を鑑賞しました。本当にいい映画で、寒い冬に心をほんのりと温めてくれるようです。

この映画は名門高校の夜間警備員として働くハクソンと、エリート校の落ちこぼれジウが出会うところから始まります。



数学を通した二人の交流は、韓国社会の学歴至上主義や階級格差の現実を浮き彫りにしながら、真の「美しさ」を追求していく過程を描き出していきます。

ところで、この映画には「いちご牛乳」がとても印象的に登場します。ハクソンは映画の中で数学を教える代わりにジウに「授業料」として「いちご牛乳」を要求するんです。



監督によれば、この飲み物は韓国で受験生によく飲まれるものなんだそうです。なので教育というものの一つのメタファーでもあり、またそれはジウの「数学的思考の甘さ」を比喩的に表現したものでもあるようでした。

「いちご牛乳」の授業からジウは、暗記中心の思考から「なぜその解き方に至るか」というプロセスへの興味へと導かれていくのです。

そしてそんな「いちご牛乳」はまた、ハクソンの心の一番奥の扉を開く鍵でもあったのです。



この映画には、音楽もまた象徴的に登場します。数式がピアノの旋律と同期する「πソング」の演奏シーンでは、数学者ラマヌジャンの円周率公式を音楽的リズムに変換。数学監修チームが実際に数値計算を行い、作曲家がその数値パターンを楽譜に落とし込むという異色のコラボレーションが実現したそうで、これはこの映画の名場面の一つになっています。数式の美しさと、芸術の調和が本当に見事に表現されていました。

数式を単なる計算ツールではなく「世界を解釈する言語」でもあると、その美しさを教えてくれる映画です。

私は数学があまり好きではないのですが、視覚、聴覚を通してその魅力が全力で伝わってくるような映画でした。

難しい問題にただ向き合い続けるだけではなく、明日また問題を解こうと思うことが勇気だなんて、皆さんそう考えたことがありますか?ぜひ映画をご覧になってみてください。





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