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PMDDになって生理が他人事じゃなくなった話

私は生理に関心がない人間だった。

興味を持ったのはここ数年の話で、それまではこれといって生理について考えたことがなかったのだ。

生理痛とか生理前のイライラも生理不順もなかったので、思い悩むこともなく特に考えようと思ったこともない。

大変なことといったら下着が汚れることと、出先で何の予兆もなく始まって「あっやべっ」ってなる時くらい。

それ以外は大抵空気みたいに始まって自然消滅的に終わってる。

だから私にとっての生理って、「多少面倒なことはあるけど悪いやつじゃないよね」っていう月一で挨拶する程度のご近所さんみたいな距離感だったわけです。

だから「生理痛が辛い〜」とか言われても「わかる〜」とは返せず、「どうやら世の中には生理痛というものがあるらしい」ということ以上のものはほとんど知らずに、のほほんと過ごしてきた。

これは、そんな生理に無知すぎる状況だった自分が突然ウツになったのをきっかけに、生理について問題意識を持つようになり自分なりに生理にまつわる問題をまとめてみた話です。

長くなったので2つにわかれてます。

前半:生理に興味を持つようになった経緯とPMDD
後半:生理について無知すぎた私が自分以外の生理を知る/
   現在の生理についての問題と解決方法を考えてみた

突然のウツ症状


数年前の昼下がり。

ものすごく小さいことで、気分がものすごく落ち込んでる事に気がついた。
落ち込んでるを通り越して、涙が止まらなくなって「死にたい」「死んだほうがいい」とつぶやくレベルのうつ状態。

本来、うつはストレスがたまりきった時点で精神が出すSOSサインだ。

しかし自分の場合特にいやな出来事があったわけでも、寝不足だったわけでもなく人間関係で悩んでるわけでもない。
わりとお気楽にすごしてきたはずだ。

だから、最初はただの情緒不安定かな?と思った。

でも涙と嗚咽が止まらないわ、死にたい、気が狂いそうという絶望感で感情があふれすぎてロクに息ができない。
「そういう日もあるよね〜」で片付けようにも止まらない号泣&嗚咽で物理的に苦しくなってきたので、「時間がたてば治るんじゃね?」という思いは消し飛んだ。

いつもと違う様子にパートナーも心配して、
「自分、何かやった?理由があるならちゃんと話して!」
と何度も言ってきた。

それがわかればどんなにいいか。
自分でも説明がつかないから問題なのだ。

説明ができない、原因がわからないのは「きっと自分がダメなせいだ」
「そんなことすらわからない自分には生きてる価値がない」という思考回路に拍車をかける。


悲しすぎて吐きそうになってる中、
必死にストレス以外の原因について考えてみる。

「これは…ひょっとして何かの病気では?」

突然思考が飛躍したと思われるかもしれないが、そうではない。
私は普段、超健康体で風邪すらめったにひかないのだが、そのため病気を一番に恐れている。しかし病気になってからでは遅いので、何かの違和感を感じたら病気の予兆では?と思って即グーグルに聞くようにしているのだ。


しかし、一体何て聞けばいいんだろう…?
普段とちがうことといったら、生理前だということくらいしか
思いつかない。

生理が関係があるかも半信半疑だったけど、激しすぎる悲しみから逃れたくてワラにもすがる気持ちで「生理前 うつ 死にたい」でGoogle検索。

そして出てきたのが、PMDDだった。


PMDDという名のウツ症状

月経前不快気分障害
(げっけいまえふかいきぶんしようがい Premenstrual Dysphoric Disorder:PMDD)Premenstrual Dysphoric Disorder:PMDD)
・月経の7~10日前に症状が出始め、月経開始とともに症状は消える。
・だるさやむくみ、体の痛みといった症状のPMSに比べて、うつ病並みに
 精神的な症状が重い。国際的には鬱病の一種として認められている。
・暴言、暴力、ひどい抑うつなどが見られ、仕事もスムーズにできなくなってしまう。 


見たことも聞いたことない…!

とはいえ、病名があることにちょっと救われた気分になった。
しかも、生理が始まったら終わるのだとかで、一安心。
終わりが見えるのと、見えないのとでは安心感が違う。

うつ病の一種なのでひどい人は精神科で見てもらえるらしい。
なるほどなー、と説明を読み進めていくと、

場合によってはひどい抑うつから自殺に至ることもある

って書いてあって、え?ってなった。
生理が原因で死ぬとか何それ、聞いたことないんですけど。

でも実際本当に目の前が真っ暗になって絶望のあまり死にたくなった。
いや、実際に死ぬまでいかなくてもあんな絶望感は二度と味わいたくない。
しかもPMSと同じく、PMDDもはっきりした原因はわかってないらしい。
つまり、予防しようにも予防できないってこと。

ひょっとして、これから毎月生理前に同じことが起きるの?
それは絶対に嫌だ!!

私はこの時点でPMSという言葉すら知らなかったので、治療法を求めて
PMDDとPMSを検索しまくった。

私、生理について無知ということを知る

しかし調べれば調べるほどこのPMDDってやつ、本当すごい。

これが生身の人間の仕業か?と思うほど人生狂わせる力の持ち主なのだ。

ホルモンの暴走が原因で心のコントロールがきかず、仕事場で暴言をいってしまいクビになったとか、PMDDが原因で彼氏と毎回破局するとか、衝動が抑えきれずに窃盗や暴力などの犯罪を犯してしまうとか、
「生理が原因でそんなことってあるの??!」という驚きの連続。

人を殺すくらい強力な力(ホルモン)が体で暴走するなんて…
まるでファンタジー(悪夢系)みたいじゃないか。


しかも、ホルモンに乗っ取られてる間、本当に心のコントロールがきかないから誰かに体をのっとられた気分だった。


そうして自然療法を調べてるうちにしゃっくりも治り、
なんとか平常心を取り戻したところで、しみじみ思ったのが

「生理って、めちゃくちゃ健康に関わってるじゃんか!!」

という驚きだった。

生理について知識がない私にとって、
「生理前に(肉体的、精神的)健康に支障をきたす可能性がある」
ってこと自体、青天のへきれきでしたよ。

それまで生理で問題が起きるのは、生理中だけだと思ってた。
生理前の10日から1週間前に症状が出るなんて、生理と関連づけて考える方が難しい気がする。生理が始まったら治るから、尚更だ。

生理とつきあってきて25年。
生理のことなら自分なりに知ってると思ってた。

フタを開けて見たら、もうびっくりするくらい知らない。

ショックだった。
女なのに生理のことを知らないことも、
自分の体の仕組みをわかってないことも、
それまで疑問すら抱くことなく生きてきたことも…。



PMDDは終わったけど

その後、ネットに書いてあった通りPMDDによる気分の落ち込みは、
生理が始まった同時にあっさりと治った。
生理初日はむしろ清々しさすら感じたほどだ。

そのあと再びウツっぽくなったり気分が異様に落ち込むことがあったけど、「あ、生理前だからだ」と気づくことで
「今日はおちこみやすい日だからゆっくりしよう」と備えることができてストレスも減った。

パートナーにもPMDDの知識を伝えることで相手も私の気分に備えることができるようになり、いつもと違う理由を説明する必要がなくなった。心の備え、大事!

もちろん、PMSもPMDDもまたいつ何時発症するかはわからない。
でも、原因であるPMSやPMDDが生理由来のもので、
生理がくれば終わるものだとわかると、むやみに落ちなくてすむ。


あと鉄分を余計に取ったり、砂糖をほとんど取らないようにしてたら、いつのまにか最初の頃のようなひどいPMDDは消えていた。


めでたしめでたし……



で終わったら苦労せんわ!!!!

こちとら、閉経まであと2、30年もあるんじゃ!!

その間、また別の問題が起きない保証はどこにもない。
25年間問題なく過ごしてきたのに、いきなりPMDDなんてものにかかってから生理に対する危機意識が芽生えた私だ。

あの時、検索しようなんて思わなかったらPMDDのことも生理のこともわからずに、単に気が狂ったと思っただろう。
そんな自分を責めてさらにウツ状態になったに違いない。
原因がわからないから対策もできず、毎月そんな状態になってたかもしれないのだ。

それを知った以上、もう知らないままではいられない。

そうして生理について調べてるうちに、
「生理が語られない」ことによる問題の大きさに気づいたのだった…。


続く。