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吉野杉リポート①ファサードに吉野杉を取り付ける。

総合建設会社の淺沼組は現在、築30年の名古屋支店を GOOD CYCLE BUILDINGとしてリニューアル中。その現場では「人にも自然にも良い循環を生む」というコンセプトのもと、様々なことに取り組んでいます。このnoteでは、プロジェクトに関わる人の思いや、現場の様子をリポートします!

みなさん、こんにちは。GOOD CYCLE BUILDINGリポーターのさとうです。

初回のnoteではたくさんの方に読んでいただきどうもありがとうございました。

総合建設会社が作る、「人にも環境にも良い循環を生むビル」とは??

そんなことができるのか??と思った方も多いかもしれません。

実際には、「どんなプロジェクトになるか楽しみです!」とご声援も頂き、私たちもとても嬉しく、これから皆さんに名古屋支店のリニューアルが完成するまでの様子を少しずつお届けしていきたいと思います!

今回のリニューアルの大きな特徴は、できるだけ自然素材を使って「自分たちの手で作り上げる」ことです。
自分たちの手で、土壁を塗ること。(社員たちによるワークショップを計画中)
自分たちの手で、植栽を育て、自然循環を生むこと。
また、ビルを建設してしまうのにどうしても生まれてしまう端材を廃棄するのではなく、アップサイクルすること。
など、一つのビルをリニューアルする中にも、自然の素材と人の創造力を使って、様々な循環を生もうと挑戦中です!

それでは今回は、使用する自然素材の中の一つ、建物の外観に聳える吉野杉についてリポートしていきたいと思います。

ファサードに吉野杉を

今回の名古屋支店の外観には、吉野杉の大きな丸太を使用しています。
その丸太は、階層によって太さが異なります。下の階の柱は太く、上に上がるごとに少しずつ細くなっており、6本の杉の木が聳え立つようにデザインしています。

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また、外観だけでなく、内装にも吉野杉を天井や床にふんだんに使用します。

なぜ、吉野杉か

名古屋支店リニューアルのデザインに吉野杉をなぜ使用したのか?
それは、淺沼組と吉野に関する深い結びつきがあるためです。
淺沼組と奈良県は、300年以上にわたり関係を築いてきました。
淺沼組の歴史について、古くは、江戸幕府5代将軍徳川綱吉の側近・柳沢吉保の普請方の一人として、淺沼仁左衛門が仕えたという記録が残っています。柳沢吉保の息子、吉里の代に、居城の山梨県甲府から奈良の大和郡山藩に転封となり、淺沼仁左衛門も柳沢吉里に随伴し、それ以降、奈良の大和郡山を拠点に淺沼家は代々、郡山城の修繕や屋敷の建設に携わりました。
明治維新以降には、淺沼組の創業者となる淺沼幸吉が大工の棟梁として、奈良県下の社寺の造営や学校建築などに従事し、宮大工として建設を行うようになったのが、現在の淺沼組の起源となります。

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(淺沼幸吉により建立された大和郡山にある柳澤神社 明治13年創立)

寺社や城の建築には吉野杉は欠かせない建材です。
このようにして、古くから淺沼組と吉野は深い関係をつないできました。

ファサードに吉野杉を取り付ける

3月のとある日。名古屋の現場に吉野杉が運ばれてきました。

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丸太の太さがこんなに違うのは、前述のように、階層によって太さの違う木を使用するためです。
これは、端材が出ないように木を利用するにはどうしたら良いかと考えた結果、太さを統一せずに、一本の木を可能な限り使うことにしたからです。

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間近で見ると迫力のある丸太。これが、どうやって上へ・・・。

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このように上から吊らされて、空高く吉野杉が舞います。

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吉野杉が飛びました。

そして、上からビルの中へ。

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私たちも、吉野杉を追って慌てて中へ駆け上ると。

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こうやって、吉野杉が1本1本、取り付けられました。

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この吉野杉の建材は、全て色合いが異なります。これは人工的に作られた木材ではなく、自然界にある木を出来るだけそのままの風合いで使用したいという意図によります。それぞれ自然のままの異なる味わいを持つ柱が取り付けられました。

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それから、約1ヶ月後。

4月のとある日。再び現場を訪れた時には、

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吉野杉の天井の板が貼られ、

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杉の香りが空間に漂っていました。

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通常、節のある板は建材としては嫌がられますが、これも自然のデザインの一部として使用しています。

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年輪が細かいのが吉野杉ブランドの特徴です。
これが、今回使用されている吉野杉の用途です。

吉野杉の端材の使い途

そして、この吉野杉の端材を使って、新しいプロダクトが誕生します!
木材を使用するにはどうしても建築として使えない部位が出てしまいます。それを、廃棄することなく余すことなく使用するため、新しいプロダクトとして製品化するクラウドファンディングをスタートしました。
クラウドファンディングで得た収益は、吉野林業関係者と協議のうえ、持続可能な林業支援のために全額を寄付します。

樹齢130年の木に第二の人生を。

今回、既に非常に多くの方にご参加頂き、現時点で目標金額を10倍に上回る達成率が出ています。
この数字には、正直申し上げて私たちメンバー一同とても驚いています!これだけ多くの方に応援を頂き、大変嬉しく感謝申し上げます!

既に残り少なくなってしまった製品もありますが、建材を使って「あなたの部屋を100日間森にするプロジェクト」にご興味を持って頂けましたら、応援をぜひよろしくお願いいたします!

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次回以降は、この吉野杉がどこから来たのか。
吉野の山と淺沼組のルーツである奈良の旅へとご案内したいと思います。

text,photo by Michiko Sato

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