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自己肯定感の低いヒロインとラノベ作家が同居したら エイタツ/四ツ原フリコ「ギブギブの悪魔」1巻

「百姓貴族」のアニメは、時間が短くて(4~5分)自分のような動画は時間がかかって嫌じゃあ! なせっかち派でも気持ちよく見られます。

その「百姓貴族」目当てに、「Wings」を読んでいたら見つけたのが「ギブギブの悪魔」、1巻が発売されました。

原作つきは読みやすい

クレジットはエイタツと「原作」四ツ原フリコになっています。ふたりとも漫画家ですが、お互いの苦手部分を補ってできたのがこの作品。

それぞれの作品を読んでみると、エイタツ「カモナマイハウス」は真っすぐさがまぶしいBL。絵柄がすごくかわいい。

四ツ原フリコは「家政夫のナギサさん」がドラマ「私の家政夫ナギサさん」の原作になっているほか、「整形シンデレラ」は2巻まで読んだだけで、人間心理の描き方に読者をひやっとさせるようなところのある腕利きです。

それぞれが作画と原作、得意な仕事に集中したおかげでメリハリもあって楽しく読めます。

ヒロインの自己肯定感が低い

お話は、ヒモの恋人に出ていかれたフリーター草開ひろ野が、売れているラノベ作家有末諒の家の離れに住んで取材対象となり、有末はなにごとも「人のため」と思って行動するひろ野に「我慢して何になる」「強欲な人間になるように」変われと促す…というものです。

自己肯定感がすごく低いヒロインというのは、女性向けまんがの定石だったりします。そこでヒーローに出会って…というほど話は単純ではなく、自分が読み始めた4話は、バイト先で知り合った友ちゃんがいつも古い服を着ているひろ野に服を選ぼうとするのですが、ひろ野が「せっかく選んでくれて悪いんだけど…」と断ってしまうという回でした。ひろ野の中では謙虚さが優先されて、好意を断るのが悪いことだとは思っていないのです。

その心理を有末が、

染みのあるくたびれた服に執着するのは
自分の価値がそのくらいだと思っているからで

「ギブギブの悪魔」1巻 153頁 エイタツ/四ツ原フリコ 新書館

と分析します。

たまに身だしなみにまったく構わない人がいますが、セルフネグレクト感があってつらい。モヤモヤしていたものが言語化された感じで、さすがはラノベ作家、いや原作付きです。

そうそう、ひろ野のTシャツはカレーや醤油のしみが目立つらしいんですが、洗う前に中性洗剤をつけるとキレイになるはず。

悪魔はどっち?

で、タイトルの悪魔ですが、どちらが悪魔なのかは未だわかりません。強欲が悪魔なのか謙虚真面目がときに悪魔なのか、先の展開が気になります。



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