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「オレたちはどうして日本じゃダメなの?」
ここに戻ってきてから息子が毎日、涙目でこう訴えてくる。
「オレ、日本の方がいい。日本に戻りたい・・・」
ニュージーランドで肩を組みながら再会を喜びあえる友達に恵まれていても、たくさんの「好き」に囲まれた暮らしがあっても、それでも日本の方が良いと確信してしまったらしい。
よくよく理由を聞いてみると、大好きなおじいちゃんとおばあちゃんがいるから、とのこと。今回の一時帰国の際には、誕生日とクリスマスとお正月とハロウィンと子どもの日が一気に訪れたかのような歓迎のされ方をして、余計に思いが強くなったところもあると思う。
息子がぐすんぐすんと泣きながら日本を懐かしんでいる横で、娘の方は能天気に
「お兄ちゃんはなんでそんなに泣いてるの??何がそんなに悲しいの?」
と発言をし、息子を苛立たせている。
そんな子どもたちのやりとりを、まあまあとなだめながら見ている私自身も、涙目にこそならなくても、正直日本が恋しく感じている。
会いたい人がたくさんいる場所。
細かやかな心遣いにあふれている国。
空港に着いた瞬間から凛とした空気になり、神々の存在を至るところに感じられる神聖な地。
おしゃれなお洋服も、美味しい料理も、素敵な温泉も、綺麗なトイレもなんでも揃っていて。
何より日本語の響きがとても穏やかでホッとする。
加えて私たちが日本を去った時のようにみんなマスクをしていて神経質になっているわけじゃない、あたたかい日常が戻っていた。
「お客様」として久しぶりに戻った日本は今まで以上に輝いて見えた。
日本、いいなー
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ニュージーランドに来るときは、ここで広がる未知の世界へのワクワクがとまらなかったし、この新しい場所に自分たちが求める全てへの「答え」があると期待をしていた。
でも改めて日本に戻ってみると、自分たちがそれまで当たり前だと思っていたたくさんのことへのありがたみをひしと感じて私だって切ない気分になる。これを「人魚姫症候群」と名付けたら良いのではなかろうか。
ニュージーランドという土地で歩いていくことを決めた「マーメイドファミリー」の私たちは、それぞれ程度の差こそあれ、やっぱり今まで慣れ親しんだ海も良かったなーと、日本を去る日が訪れることを寂しく感じていた。(娘だけが一日も早くニュージーランドに戻りたくて仕方なかった)
それでもやっぱりその日は容赦なく訪れた。
ニュージーランドで暮らすということ。
今までとにかく子どもたちの目の前に立ちはだかる一つ一つの課題を乗り越えていくことに必死になっていた。
改めてこの場所にいる理由を自分たちに問いただす余裕なんか皆無だった。
ようやく日々の生活で心配事が少なくなり、自分たちの「ここでの暮らし」が築かれ始めたタイミングで日本に戻るというのは、なかなか酷なことだったと今更ながら分かる。
知らなければ幸せだったのに。
そのままだったら安泰だったのに。
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息子も夫がニュージーランドの大学院で博士号を頑張っているということを理解しているからこそ、どうしてオレたちはニュージーランドにいるの?と口には出さない。
でも彼が日本を恋しく思って涙でいっぱいになる時に、彼から無言の問いが私たちに発せられる。
オレたちはどうして日本にいちゃダメなの?と。
ニュージーランドという場所は日本とは違う形で穏やかさにあふれている。
私の電池交換をしたばかりの腕時計がなぜかニュージーランドに来て以来、毎日5分ずつくらい必ず遅れていくのだけど、時間の流れはとびきりゆっくりと感じられる。
生粋のニュージーランド人という存在の方がレアで、みんな色々な場所からこの場所に移り住んできているから、人と話し始めると、多様な文化に触れられて楽しかったりする。
みんなが違う背景や考えを持っているからこそ、適度な塩梅の妥協点でみんなが納得して協調しあっている様子はのどかさを感じる。
日本の田舎では腐るほど見かけた自然を切り拓いて設置されたソーラーパネルなんかここでは殆ど見ない。その代わりに自然を丁寧に保護して行こうという意識がそこかしこで感じられて嬉しくなる。
この場所が好きな理由を挙げれば、日本を好きな理由と同じくらいの数、考えつくのだ。
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なんでオレたちは日本じゃない場所で暮らしているの?
その息子からの無言の問いへの答えは、単純に日本以外の場所で暮らすことでの経験をみんなで積みたいから、に他ならない気がする。
その経験の方が日本より「良い」とかそんなことを語るつもりはさらさらない。
日本じゃない場所で、
「日本人」ではない感覚を持っている人たちに囲まれる中で
生活をしていくということを、
五感をフルに使って思い切り楽しみ尽くすこと、その経験がしたくて私たち家族はここにいるのだ。
そしてそうした経験の先に、得られることに「◯◯力」とか名付けて、ここでの経験にあえて意味づけをしようとする行為自体は、私は俗っぽくて、白ける気分になる。
それでも強いていうのであれば、自分たちにとって「異国」と呼ばれる地で一瞬一瞬に心を込めて味わい尽くす中で、新しいものやあり方を受け入れられるようになり、結果として自分たちが今まで見えていなかったものが見えるようになるのだと信じたい。
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とりあえず息子については、日本の素晴らしさを今まで以上に感じられているではないか。
そういえば昨日は息子がしんみりした感じでつぶやいていた。
「離れていると、おばあちゃんの家にいる可愛い犬を、ぎゅーって抱っこできないのが寂しい」
と。
彼はデジタルの世界にはない、リアルな世界にだけ存在する「あたたかみ」を感じている。それもそれで貴重な素晴らしい学びだと思う。
もう少し、
もう少しだけ・・・
ここの場所で自分たちの目で見て、自分たちの足で歩いて、自分たちの心で感じながら冒険をしていこう。
大好きな日本をいつも思いながら。
【フィジー弾丸2時間の旅!】1年8ヶ月ぶりの日本、今回はニュージーランド航空の半額の金額でいける(!!)というフィジー航空に乗って、日本に帰ることに。初めて降り立つフィジー、どんなところだろう?とワクワクしていたら、もう想像以上に感動体験。
ニュージーランドと同じような道路標識だったりするのに、全然雰囲気が違うというのも新鮮。
今回はフィジーにおりたった弾丸2時間の旅をお届けします☺️
楽しすぎたので、またいつかフィジーにちゃんと長い時間いくのが楽しみです。
https://youtu.be/aEwph6ixjZI