余剰9年



【余剰】
     ーーーーー必要量を越えた余り。剰余。


わたしの人生に20歳以降は存在しない

はずだった。
埃にまみれて埋まっていた、忘れかけていた言葉がひょっこり戻ってきた。
だから20歳以降を「余剰」と呼ぶことにした。

死にたいわけじゃない
でも
生きることに執着もない

とても贅沢なことだ。
ならず者と言われても返す言葉もない。
だけどこの余剰は、

たった20年を簡単に超えてしまう

という恐らくほぼ正確な事実に漠然とした喪失感は否めない
虚無を掴んでただ、呼吸する。
生活をするためにそれとなく労働する
呼吸を続けるために鎧で武装する
人間は存外、どうやったって生きづらい
手から溢れるものを全ては拾えない
正しさは鋭利な凶器に、憧れは呪いに
首は自分が1番に絞める

共有できないもどかしさは
いつか誰かとその話をするための傷
薄くて淡くて消えそうで
だけど鋭利で赤く滲むそんな傷

じんわり雪解けをまち、溶けて消化されていく

ハリボテの生活術
感情は野放し乱打戦
簡単じゃない日日
それでも日は巡り夜は幾度も明けていく

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