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不耕起栽培について語らせてくれ
実家が農家でもない限り、だいたい素人が百姓を始めようとする時は、まあ大体無農薬とか無肥料の自然栽培でできたらステキ!なんて思うものです。私がそうでした。それで、まずは書籍とかから入って、感銘を受けて、実際の農法講習なんかに顔をだす人は多いと思います。私がそうでした。
長野で開催されている不耕起栽培の農法講習を受けに行ったのは4年前の2014年。
百姓を始めようと思っている人に言いたいことがひとつだけあります。それは、色んなやり方があるけど、自分のライフスタイルに合ったもの、地域の慣習、気候に合う方法でやりましょう。ということです。
この不耕起栽培のやり方は元は千葉県の佐倉市で岩澤信夫さんが始めたやり方で、今は全国にいくつか農法講習を開催している場所があります。
この動画を見たとき、ホント、胸が熱くなっちゃって「よし!ワシもやるぞ~生き物いっぱいの田んぼを作るぞ~」って、心に誓いました。
「耕さない」農法は長野の高山村というとことでも講習をしているとのこと。それで、2014年、2015年と2年かけで通って学びました。
ただ、この不耕起栽培という農法は、冬場でも田んぼに水を張っておけることがとても大事で、私の田んぼはそれができません。うちは田んぼに水が来ているのは4月~8月の間だけ。けど、せっかく学んだ技術。自分でもやってみないと気が済まないのが性分。それで、去年やってみたんですけどね。
見て下さい。これが去年の5月18日の田んぼの様子。ちなみに緑の草でいっぱいだけど、これは稲の苗ではありません。すべて
雑草
です。
では、通常ならどんな感じなのでしょう。
これがみなさん、ご存知の田んぼの風景ですね。これを見比べただけでも、どんだけ去年が異例だったか分かっていただけると思います。なお、この草を抜く作業を5月と6月で
150時間
やりました。通常の労働に換算すると…8時間労働で19日分くらいですね。もちろん、報酬はありません。お米があるだろ?って思われるかもしれませんが、この年は例年の半分以下しか取れなかったので、まあ、報酬どころか、労働的に完全に赤字ですね。
次に、植えてから約1ヶ月後の様子を見てみましょう。
これが去年の今頃の写真。左側はまだたくさん草が残っていますが、ずいぶんキレイになっています。では、今年はどうでしょうか。
これが今年の写真。
いやー!キレイ!すごいキレイ!これが普通の田んぼですよ。ちゃんと育ってますよ。
しかし、これを見て「なんだ、不耕起栽培ってダメやん」って思わないで下さい。この不耕起栽培が適している地域や田んぼがあるのです。条件が整っていれば、全然不耕起栽培でもちゃんと作れます。
私がエラいのは、
ちゃんと失敗した
ってところです。ものすごい回りの田んぼの人から好機の白い目で見られました。だって、こんな田んぼ普通じゃないもんね。私は、まあまあ失敗するとわかってるようなこともわざわざ失敗しに行って、
「やっぱ失敗したわ~」
って言うんです。そうしないと身をもってわからない性質みたいで、これはいいような、悪いようななんですが、でも、スキルの面で言うと「こうやると失敗する、なぜなら…」って言う思考回路が身に付く。机上の理論で失敗することが分かるのと、実際にやってみたことで「このやり方はダメだな」って分かるのとでは、多分全然違うと思うんです。
この農法の場合、地域的に適していなかった。田んぼの条件が合っていなかったことが分かりました。まあ、賢い人は「そんなのやる前から分かってることやん」って言うかも知れないですけど。
一方、百姓になりたての人って、どうしても農法に対して正否を付けたがる傾向があります。ええ、私もそうでした。最初不耕起栽培を学んでいる時は、やっぱり「耕すのってダメやん。自然に反してるやん」って思ってたんです。けど、やっていくうちに、地域や風土にあったやり方があると分かってきました。つまり、日本って南北に長いし、台風も多い。山間地や海辺もある。火山もあるし、日照時間の長いところ、短いところ、標高もあるじゃないですか。それらを諸々含めて、自分のいる地域にある農法って、あるんです。
それを周囲の人から聞いたり、自分で実践して、何年もかけて自分なりのやり方を発見して行くほうが、実は楽しい。教えられた方法だけど信じ込んでやってたんじゃダメなんです。ただし、自分の方法を見つけるには、大事な柱が必要です。それは基準のやり方ですね。思想ではなく、一貫したやり方を2年くらい続けないと原因がわかりません。また、常に観察も必要です。
とにかく試行錯誤の連続で、失敗の連続です。でも、やっていくと必ずスキルになります。それが百姓の面白さです。今年はうまくいくといいなぁ。ああ!もうゴマの種を撒かなくちゃ!
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