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7年ぶりの台湾渡航記

美しく愛すべき土地台湾

仕事で台湾に行くことが決まったのは今年の6月だった。打診をされた際は二つ返事で承諾し、そこから指折り数えて渡航する日を待っていた。

周りには仕事だからとあくまで低い温度を醸していたが心情は躍り狂わんばかりの期待で胸が熱くなっていた。

初めて台湾に行ったのは2015年。もう10年近く前になる。その頃はまだ日本も豊かで台湾の物価の安さに驚いたのを覚えている。そこから2年後の2017年に個人的な観光で再訪。それがまた楽しかった。行きたいところをくまなく調べ上げ地下鉄を駆使してローカルな飲食店を周りまくった。妻と2人。見知らぬ地で台湾の人々の優しさに触れながら私はこの土地を心から愛し敬った。

余談だが台湾の地下鉄は安価で便利でありおまけに駅の名前は漢字で書いてあって我々でも路線図が容易に読めるのでぜひ使ってみてほしい。海外初心者でもちゃんと行きたい駅の場所さえわかれば日本くらいスムーズに乗り換えが可能だ。

地下鉄に乗る際はICカードの購入をオススメしたい。easy cardという名で大きめの駅なら割とどこでも自動販売機がある。日本語の対応はないがスマホの翻訳機能で事足りるので使わない手はない。デポジットで100台湾ドル(約500円)。販売機でのチャージは出来ないがすぐそばにチャージが出来る機械があるので心配ない。コンビニや駅構内の商業施設で決済方法として使えるので着いてすぐ1000台湾ドルくらい入れておけばまず使い切ることはない。

話を今回の台湾に戻す。

7年ぶりに到着した台湾だったが着いて早々、新幹線の時間をミスしてしまい大急ぎでチケットを取り直した挙げ句忙しない移動を重ねる事になってしまう。

台中市内から車で1時間ほどの場所

せっかく初めて台中という台湾第2の都市と呼ばれる地に降り立ったのにロクな写真も撮れず、とにかく移動移動で疲れ果てなんとか目的地について仕事を終わらせた頃には外は真っ暗になり台北に戻る新幹線の時間が迫っていた。

チケットを自動改札で購入しすぐさまコンビニへ。水を買ってコンビニの台湾おでんの匂いを嗅いだ瞬間に立ちくらみがした。そう言えば台湾に来てまだ何も食べていなかったことに気がつく。午後6時。私が台湾に到着したのは正午である。

近くにあった弁当屋さんで美味しそうな牛肉と野菜に弁当があったので購入。量は少なかったが優しい味付けと野菜が美味しくて大満足した。その味を噛み締めた時、やっぱり自分は台湾が好きなんだなとつくづく感じた。

夜市の付近で食べた牛肉麺 今回食べた牛肉麺で一番美味かった。

台湾の何がそこまで私を惹きつけるのか。ひと言で言い表せない魅力がこの土地にある。大きく分類すると4点になる。

⚫︎食事
⚫︎人
⚫︎利便性
⚫︎混沌さ

以上が私が思う台湾の魅力だろう。ではひとつずつ解説していこう。しかしこれはなんでもない男のあくまで私見に過ぎないのでそのつもりで読んでほしい。

日本人の味覚に合いやすい味付けと食材

台湾の食事ほど日本人の胃と舌に適している味付けはなかなかないだろう。全体的に刺激が少なく野菜が中心であり米や麺が主食となる。やや薄味傾向だが長旅や慣れない環境で疲れた胃にはちょうど良い。八角という味も香りも独特な香辛料が頻繁に使われているが、これは慣れてしまえばどうという事はないし、近年ではインバウンドを意識してか使われない料理も多く見受けられる。もちろん、変わった料理と食材は数多く存在するが小籠包や水餃子、炒飯など我々日本人にも慣れ親しんだ中華系の料理がどこに行ってもあるので味の良し悪しはさておき、どんなものが出てくるか分からないので何を食べていいか分からないという事態は避けられる。

とある豚肉水餃子



外食文化が盛んであるという点も我々海外からの観光客からすると魅力的な点だろう。台北市内はどこへ行っても食事をする場所に困らない。地元民溢れるローカル食堂から高級なレストランまで。夜市に出ている屋台飯から日本企業の見慣れたファーストフードまで様々な選択肢がある。

仮に初めての台湾でどうしても食事が合わないなんてことが起きても、吉野家やモスバーガーや丸亀製麺があるのでご安心いただきたい。ただ個人的にはせっかくの海外なので出来れば勇気と根性をもってローカル食堂に飛び込んで欲しい。

ただしひとつ注意点がある。とある有名な台湾のグルメを紹介するYoutuberが言っていたことだが台湾のローカル食堂は味がコロコロ変わる。ある意味個人経営の店ならではだが、せっかく口コミを調べて行ってみたのに全然美味しくなかった、なんて事はよくあるそうなのでその覚悟だけはもっていて欲しい。しかしこれは日本でもままある事なのでそういう意味では口コミというものはあくまで参考にしかならないのかもしれない。絶対に失敗したくないと思うなら店の雰囲気を見定める眼力を養う他ないと私は考える。

今回、7年前に妻と行った水餃子の店に再訪した。ローカルな店で英語が少し、日本語は通じないというところでなかなか今回も苦心したがなんとかお目当ての品にありついた。7年前のあの日、あまりの美味しさに感動し妻と必ず次も絶対に来ようと誓った店。今回は1人で来てしまった後ろめたさを背負いつつ金属でできた席で中国語が飛び交う中で待つ。店内はほぼ満席。地元民か中国人。以前も今回も日本人はいなかった。

海老入り水餃子と豚の水餃子。

結論から言うと、前ほどの感動はなかった。アレ?こんなもんか?という感じである。店には前回中央に鎮座ましましていたいかにも気の強そうな姐さんが客を捌いていて、最初に私を見た時に顔をしかめぶっきらぼうな英語でオーダーを確認されたが妻の顔を見た途端に信じられない笑顔で「アレ?日本人?」と言われた。どうやら私は彼女の好きではない別の国の人に間違われていたらしい。妻はテーブルで笑いを押し殺していた。

そんな思い出の水餃子が思い出補正がかかっていただけなのか、それとも姐さんの不在(今回は見かけなかった)による緊張感の緩みなのか。わざわざ日本から食べに来る味ではないと思ってしまった。私はなんだかノスタルジーな気持ちになり店を後にした。

それでもやはり今回の渡航ではホテルの近くにあるフラッと入った朝食のお店で食べた小籠包がびっくりするほど美味しいというミラクルもあった。ティエントウジャンという甘い豆乳の飲み物も今まで飲んだなかで最高峰の美味さであった。正直期待していなかっただけにかなり驚いたし嬉しかった。

激ウマ小籠包と甘くて冷たい豆乳。最高の朝ごはん


その翌日に調べていった台北の超有名な朝ごはんのお店でも同じメニューを食べたが、不思議なことにこちらはそうでもないというか「まあこんなもんか」というレベルであった。その有名店はローカル民と日本人観光客で溢れて大変な活気だったし、かなり安価でコスパに優れてはいたものの味としてはまあ並の上くらいであった。Googleの口コミもYoutuberもオススメの店だっただけに残念である。

極端な例を紹介したがこんな事で一喜一憂していては身が持たない。何しろ飲食店は星の数より多い台北。少しずつ色々な店で食べて気に入ったお店に滞在中に再訪するのが良いと個人的には思う。

個人的には小籠包より水餃子の方が食べ応えがあって好きなのだが割とどこの店でも往々にしてミニマムが10個からという注文形態なので色々食べたいひとり旅ではいささかキツいメニューでもある(小籠包はミニマム5個などが多い)。また小籠包には針生姜が必ず付いてくるので万が一ハズレの店で食べてしまってもなんとか誤魔化せる可能性がある。ある意味安心して食べれるメニューかもしれない。そもそも小籠包で不味いと思った事はない。

小籠包はどこでも外さない


あまり行かない方が良いタイプの店も紹介しておく。今回の渡航で分かったのだが「大手日本食チェーンを除く台湾料理以外の店」は避けるべきだと公言しておく。

今回は仕事の途中、どうしてもその場所に手頃なローカル食堂がなかったので仕方なく仕事仲間の人たちとステーキショップに入った。そこはメインでステーキや魚のソテーなんかを頼めばご飯とスープとドリンク、そしてルーローハンが食べ放題という店だった(ルーローハンは台湾版の豚の角煮丼だと思って欲しい)。私は肉、仕事仲間は各自魚、イカ、麺というバラバラのメニューで挑んだ。結果は燦々たるものであった。私の場合、まず肉のソースが不味い。ソースは選べるのだがオリジナルかキノコソースかソース無しかの3択。これはオリジナルだろと頼んでみるとそのソースが胡椒まみれで辛くて食べれない。味もボヤけてしまって肉の質は悪くないのに非常に残念な気持ちになった。イカも魚も決して良い品質ではなくキノコソースはマシな味だったがマシなだけで美味しくはないと仲間は眉をしかめていた。一番酷かったのは麺である。うどんに似たクタクタの麺が鉄板の上で胡椒のソースまみれになって出て来ていて、頼んだ仲間は「この味が続くのは正直しんどい」と半分以上残していた。

所謂、伝統的な台湾料理ではないこのステーキショップ。台湾人好みにアメリカンステーキをアレンジした結果こうなったのだろう。とにかく胡椒ソースが不味過ぎてトラウマレベルだった。

ちなみに食べ放題のルーローハンがびっくりするほど美味しかったのでコスパは悪かったがメインを残しても満足する事は出来た。

食はその人の主観がどうしても入ってしまうのでどこまで参考にすべきか悩むところだが少なくとも私にとっての台湾のローカル食堂はまあまあ美味しい店と美味しい店とかなり美味しい店の3タイプしか存在しないと言っても過言ではない。

この台湾が持っている食文化の多様性が私を惹きつけて離さない理由のひとつである。

次回は台湾の人についてもう少し短めに。


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