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天才のチャールダーシュ

一瞬にして 会場をジャックした

こんなにも 繊細かつ優美な
チャールダーシュを聴いたのは
初めてだ

まるで 天命を受けた魂が
その音に乗り移ったかのように

その指揮者、いや
ヴァイオリン奏者は
世界一に上り詰めたそのパッションを
信じられない程なめらかに
弦に乗せて 解き放っていた

目が離せない
鼓動が早くなる
胸が締め付けられる

神秘的とも言える
二人の天才が生むその音楽は
あっという間に 過ぎ去っていった

会場は
破れんばかりの拍手に包まれた

時は平等ではない

至高の芸術というものは
時空感覚を 麻痺させる

その感動が冷めぬよう
人々の会話が耳に入り
現実へと引き戻される前に

そっと静かに
タクシーに身を委ね
私は会場を後にした



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※補足
本日の詩は、先日仕事終わりに訪れた、辻井伸行さん(ピアノ)と三浦文彰さん(指揮)のコンサートで受けた感銘を言葉にしたものです。
(辻井伸行さんの素晴らしさについては、有名なのであえて補足しません。)

三浦文彰さんは、丹精な指揮者でありながら、天才的・世界的なヴァイオリニストでもあります。

その日は、三浦文彰さんは指揮者としてヴェートーベンの協奏曲二曲を、(控えめに言って)完璧に終え、終始辻井伸行さんの美しいピアノ演奏をリードし、引き立てておられました。

しかし、最後のアンコール曲では、指揮者としての三浦文彰さんが、辻井伸行さんの前奏により一瞬にしてヴァイオリニストに変貌しました。彼のヴァイオリンをはじめて聴いた私は、その美しい響きと技巧に一気に心を奪われてしまいました。

因みに、チャールダーシュは、20世紀のイタリアの作曲家モンティによる作品で、ヴァイオリン奏者にとってはパガニーニ等とともに超絶技巧を要する難曲として知られています。

(ご参考)
その日、辻井伸行さんと三浦文彰さんが演奏されていたチャールダーシュに、イメージが近い動画を見つけたので、以下シェア致します。

A tribute to: 辻井伸行×三浦文彰ARKシンフォニスタ Tour2022

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