第22回『寿司職人への道①』
あけましておめでとうございます。と言うのも躊躇ってしまうような…
災害や不安の多い年始でしたが、今年も『あさい兄妹の散歩のつづき』をどうぞよろしくお願いいたします。
今年は寿司職人を目指している私が経験したこと、感じたことを書きたいと思います!嬉しいことに『あさい兄妹の散歩のつづき』を読んでくださる方が増えてきたため、今回は私が“寿司職人を目指すまで”を整理しながらお話しします。
⚫︎IT業界にいた頃のはなし
まだお寿司の「お」の字も浮かんでいない頃。
コロナで在宅ワークに切り替わり、通勤ラッシュからも解放され、家で穏やかに過ごす日々。
しかし、そんな在宅ワークが何年も続くと、直接顔を合わせないことで誰かが大変そうなときに声をかけたり、気遣うことが難しい部分もあると実感する。また、入院をきっかけに「人にもっと感謝して生きなくては。言葉やプレゼント以外で感謝を伝えるには何ができるだろう。」と今後の生き方と転職について意識し始める。
⚫︎やりたいことが見つからない
「せっかくなら新しいことに挑戦しよう!」と意気込み、転職サイトや日本仕事百貨を覗いてみる。しかし、都合の良くないことばかりが頭に浮かんで、出来ない理由を探してしまう自分に落ち込む…。
子供に関わる仕事に興味を持ち、一度応募したこともあったが、第4面接(最終)で面接官から出産に関する質問をされ、出産予定がないことを伝えても何故かなかなか信じてもらえなかった。面接が終わった後、どう答えればよかったのか全く分からず1人悔し泣き。けど、それは初めて“会社側からみた自分の年齢”について考えさせられる出来事でもあった。
人は無理に何かになろうなんてしなくていい。けど、なにか殻を破りたくて焦っていた時に救ってくれたのは、友人の一言でした。
「やりたいこと見つけたら、すぐ動ける人じゃん!大丈夫だよ!」
肩の力がふっと抜けて、それから無理に考えるのを辞めた。
⚫︎考えることから離れてみる
【 焦る→ やりたいこと探す→ 見つからなくて落ち込む 】
このループを永遠と繰り返していた私は、一度考えることから離れることにした。それから休日は、懐かしいこと、童心に戻るようなことを積極的に取り組んだ。
・思い出の場所へ足を運ぶ
・しばらく会っていなかった友人に会いに行く
・キャンプをする
・野球に挑戦する
など…
過去の自分に会いに行くことで、今まで自分がどのように感じて生きてきたか再確認することができた。
⚫︎やりたいことが降ってきた
アサイ兄と浅草でぶらり散歩をした日。←ちなみに交換noteはここから始まった
山口屋のラーメンを食べながら、アサイ兄から色んな話を聞いた。
初めてお弁当販売に挑戦した話は、コロナ渦でみんなが正解を模索している中、アサイ兄の行動力にはとても勇気をもらえる話だった。
(いくつになっても、初めてに挑戦していいんだなぁ…。)
そう思った翌朝。
目が覚めてふと「そうだ、寿司職人になろう」と突然思った。
元々、日本の文化やお寿司が大好きで、手に職をつけることに憧れがあった。お寿司なら言葉やプレゼント以外で感謝を伝えられるかもしれない。
現代アートのような寝癖をつけたまま、夫に報告すると一言「いいじゃん。」と言ってくれた。悩んでいた時間が不思議なくらい、もうそこには迷いはなかった。
⚫︎飲食業の経験
飲食業の経験はほぼゼロ。これはあるあるな話だが、学生の頃に友人の居酒屋を少し手伝ったとき、酔った男性から外見について色々言われたり、絡まれたことがあった。人と話すことも得意ではないため、飲食業はずっと避けて通っていた道だった。これから立ち仕事だし、手も荒れるだろう。けど、そんな不安も応援してくれる家族や友人、職場の人の存在のほうが心強かった。
もしかしたら自分という人間は“個”ではなく、環境や周りの人も含め”自分”なのかもしれない。こうして目標ができたことも周りのおかげだと思う。
⚫︎お店探し
グルメキャリーという飲食業界専門の求人サイトがある。検索してみると、お寿司屋さんは未経験でも受け入れてくれるお店が多いと感じた。とはいっても【飯炊き3年、握り8年】と言われる世界。長い修行は必要だと理解はしていたが、年齢を考え、なるべく短期間でお寿司を握れるお店を探すことにした。(ちなみにこの考えは後にガラリと変わる)
最近では、長い修行は古い!という考えのお寿司屋さんも増えているため、自分の条件に合うお店はすぐに見つけることができた。
私は以前にも食べに行ったことがある、味も、お店の雰囲気も好印象だったお店に応募した。しかし、数日経っても返事は来なかった。確認のためお店に直接電話をしてみても、引き継ぎのその引き継ぎ…を繰り返し、担当者と連絡を取るまでに時間がかかってしまった。
なんだろう、このスムーズにいかない感じ…。
それは、これまでの転職で一度も感じたことのない不安だった。
このときは状況を理解できなかったが、今振り返ってみると、お店は営業が優先。人が足りず、とにかく忙しいのだ。
⚫︎面接
なんとか担当の方と連絡がついて、面接が決まった。私の場合、体力と出産予定の有無が不安要素になるだろうと考え、その辺は答えられるよう予め準備した。万が一聞かれなくても、出産の予定がないことは自ら伝えるつもりで、とにかく会社を辞めてここまで来たのだから、絶対にこのお店で決めるぞ。と意気込んだ。
面接はお寿司屋さんらしく、私の前には大きな湯呑みの緑茶が置かれた。
そして、想像していたよりも明るく、ノリのいい感じで進んでいった。
「本当にうちに入りたいの?」
「スパイじゃない?」
「大きな声出せる?」
「ハイ!!!!!」(大きな声)
やる気を買ってもらい、その場で採用された。
面接終わりに感じたのは、清潔感、やる気、笑顔、明るい雰囲気、素直であることが大きなポイントになるのかなと感じた。
(入社後、少しでもヒゲが生えていると厳しく注意されている場面を何度も見かけたので、これから面接を受ける方はお気をつけて。)
そしてここから、3ヶ月間の寿司職人見習いが始まる。
つづく
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アサイ兄へ
最近「緊急でまわしてます」と言いながら
洗濯機をまわすのにハマってます。
あさい妹より
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