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ビジャープル(インド)2018


Bijapur ビジャープル

 インドに行くと日本ではガイドブックにさえ乗らない無名でも時々予想外にとんでもなく素晴らしい建築物に出くわすことがある。事前にネットで一応外観は分かってはいたけど実物を見ると予想をはるかに超えてしまい見とれてしまうような。そんな歴史的建築物に出会える一つの街がカルナータカ州のビジャープルである。ここはビジャープル王国の首都であったところで、様々な独特の歴史的建築物が街中に散らばっている。しかしおそらく日本でこのビジャープルに行ったことがある人なんてかなりの少数派であろう。日本人観光客どころか欧米人観光客さえもほとんどやってこないようなこの町には知られざる魅力がいっぱい詰まっている。カルナータカ州には世界遺産として有名なハンピとパッタダカルがあるせいだろうか、多くの遺跡好きはこちらに流れると思われるので、とても素晴らしいのだけれども知名度ではどうしても劣ってしまう。ハンピやパッタダカルは確かにとても広大な敷地に王朝の歴史遺産がちりばめられているのに対しビジャープルの場合は個性的な建築物がいくつか存在している。つまりボリューム的な部分では完全にカルナータカの二大世界遺産に劣ってはいる。しかしビジャープルの建築物は唯一無二の一回見たら忘れることのないユニーク性では前二遺跡を凌駕しているようにも感じるのだ。ビジャープルの誇る、ゴール・グンバズ(Gol Gumbaz)とイブラーヒーム・ラウザ(Ibrahim Roza) この二大建築物を見るだけでもここに来る価値がある。

 

 

Gol Gumbaz ゴール・グンバズ

 ビジャープルと言ったら先ず真っ先に出てくるイスラム建造物。霊廟なのだが特徴的なのは四隅に多数階の楼のようなものが付いている。これの中は階段になっている。これがあるのとないのとではかなり印象がかわる。この巨大な霊廟は中が驚くほどエコー状態になっていて特に上の階だと対角にいる人の声がちゃんと反響するような構造になっている。私が行ったときは小学校の女生徒が大勢いた。(なぜか男生徒は少ない)そしてもちろん中ではみんなで騒いでエコーを楽しむというお約束。なおこのタイプのドームをもつ霊廟はキャノピー・トゥーム(天蓋墓)と呼ばれるらしく、このゴール・グンバズが世界最大(モスクは別)という。


Ibrahim Roza イブラーヒーム・ラウザ

 あのタージマハルを作るときに参考にしたといわれる霊廟。つまりタージマハルよりもこちらの方が歴史がある。中央に門があり、その向こうに霊廟とモスクが向かい合っている。一見対象のようだが、霊廟とモスクなので構造上に違いがあり左右対称を目指して作ってあるわけではないと思われる。特徴的なのは上に突出した玉ねぎ型のドームと見た目に刺々しい疑似ミナレット群。美しさというよりもユニークさで傑出している。


Jod Gumbad  

Jod Gumbad(Jod Gumbaj Tombs)というはイスラムの聖者Abdul Razak とKhan Muhammad の霊廟といわれている。私が訪れた日はちょうど、その聖者の命日を偲ぶ祭り Urs-e-Quadri だった。信者には食事が振舞われ、夜には霊廟にイルミネーションが灯る。周囲には屋台や移動式人力遊園地までも出てくる。異教徒はモスク内に入れないのが残念だが、なかなか興味深いものであった。こちらの方は動画を見てもらった方が分かりやすいと思う。途中でアルミに包まれたものが配られているが、これはビリヤニだという。


Bara Kaman

その他色々あるけれど、写真撮影という意味ではBara Kamanもおすすめ。未完成の霊廟でどうして建設途中で放棄されたのかは正確には分かっていないらしい。いくつにも交差するアーチがとても印象的で遺跡観光としての魅力という意味では未完成すぎてもの足りないだろうが、このようなアーチをシルエット的に活かして造形的な写真として撮りたくなってくる。ちょうどアーチが多く残されていたのが幸いだが、もししっかり屋根まで残されていたのなら私個人の写真的魅力というものはやや落ちていたのかもしれない。

 インドには無名ではあるが実に素晴らしいものが眠っている。富の極端な一極集中システムによるインドの諸王朝は驚くべき建造物を世界に残した。知られざる素晴らしいものがいまだ多数残されているインドという国は底知れぬ魅力がまだ残されている。


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ホムペ
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