「サイエンスキャッスル研究費 アサヒ飲料賞2023」始動!
皆さんこんにちは!
当社では2019年より中高生を対象とした「サイエンスキャッスル研究費 アサヒ飲料賞」を創設し、未来を切り拓く若き研究者たちのチャレンジを応援してきました。
5年目を迎える本年度もいよいよ始動ということで、今回はプロジェクトにかける想いを当社と企画運営会社である株式会社リバネスの担当者に聞いてきました!
【プロフィール】
未来を明るくするための次世代育成の取り組み
―――早速ですが、「サイエンスキャッスル研究費 アサヒ飲料賞」とはどういったものなのでしょうか。
松本 アサヒ飲料賞は、リバネスさんが企画・運営する「サイエンスキャッスル研究費」の中に当社が設置している、中高生向けの研究支援プログラムです。当社のマテリアリティ(※)である「健康」「環境」「地域共創」 に関わる研究テーマを全国から募集し、採択されたチームには、研究費を助成し、当社の研究員がアドバイザーとなり半年間の伴走支援を行います。また、研究発表の場を設けることで、研究者としての成長を支援しています。毎年5件程度のテーマを採択しており、これまで22件の研究テーマを応援してきました。
※マテリアリティ:当社が特に重要と考える活動領域のこと。
「サイエンスキャッスル研究費 アサヒ飲料賞」について詳しくはこちらもチェック↓
このプロジェクトの一番のきっかけは2019年の「カルピス®ブランド100周年」でした。次の100年につなげていける取り組みを検討していた際、当社の研究のノウハウを活かし、次世代を担う中高生の課題解決力を育むことを応援したいと考えました。それが社会課題の解決や未来を明るくすることにつながるのではと思ったのです。通常の学校教育だけでは得られない経験を通して中高生の「研究者としての第一歩を踏み出す場」になればうれしいですね。
―――「サイエンスキャッスル研究費」はどんな社会課題に着目したプログラムなのか、また、リバネスさんが始められた経緯や想いについて教えてください。
吉川 リバネスでは「科学技術の発展と地球貢献を実現する」仲間を増やすため、約20年前から全国の中学校、高等学校で出前の実験教室を行ってきました。そして、活動を進めていく中で、科学に興味を持った学生が活動するには学校現場は研究設備が不十分で、金銭面や専門知識を学べる場が不足しているという課題に気づきました。そこで、「同じ思いを持つ仲間と共に学校ではできない研究の場所を作ろう」と考え、サイエンスキャッスル研究費を立ち上げました。
―――アサヒ飲料賞に関しては当社の研究員がアドバイザーとして研究に伴走する点が特徴の一つかと思いますが、どのように学生の皆さんに関わられるのでしょうか。
松本 リバネスさんにアシストしていただきながら、まず研究テーマの精査や成果発表会までのスケジュール整理など研究計画のサポートから始まります。その後は月1回程度、オンライン面談を行い、アドバイス等を行います。研究に没頭すると、目的を見失ったり、結果をどのように整理したらよいかわからなくなったりすることもありますので、一緒に振り返りながら思考の整理に役立てていただきます。最終的に最後の発表会まで応援していきます。
―――近年ではどのようなテーマが扱われてきたのでしょうか。
松本 第4期(2022年)では、秋田県の枝豆の皮の再利用、落花生の殻の再利用、植物のアレロパシー(植物が放出する化学物質が与える影響)、ビタミンCを多く含むドライフルーツづくり、生分解性プラスチック(※)などに関するテーマがありました。テーマは多様ですが、食品、微生物に関するものが多い印象です。
※生分解性プラスチック:微生物による分解によって性質が変化するプラスチックのこと
吉川 生分解性プラスチックについて研究されていたチームはクレヨンには折れやすいものと折れにくいものがあることに疑問を抱き、研究がスタートしていましたよね。その後も「なぜ折れるのか?」「色素でプラスチックの性質が変わるのか?」と、どんどん発想が膨らみ、研究が進んでいきました。学生の皆さんの素朴な疑問からスタートしていることも多いですね。
過去のテーマ一覧はこちらをチェック↓
大人も刺激を受ける学生の皆さんの姿勢
―――これまで4年進めてきたなかで印象に残っていることはありますか。
松本 何もかもが印象的というのが本音ですが(笑)、学生の皆さんのみずみずしい感性、常識に捕らわれない発想に感動します。特に20-21年のコロナ禍の期間は研究が進めづらいことがあったと思いますが、好奇心や熱意を失わず精力的に取り組んでいたことは印象的でした。また、修了後に学生の皆さんが希望大学に入学したり、学会で賞を受賞したりと、次のステップに進む様子を知ることはうれしいです。いつかアサヒ飲料で一緒に働けたら最高ですね。
吉川 アサヒ飲料賞で誕生したテーマが学校内で後輩世代まで引き継がれている事例があります。修了後も続けられた研究が大きくなって他のイベントで賞を取ったり、サイエンスキャッスルにて発表していたりしますね。アサヒ飲料賞で誕生した次世代研究者が生み出した研究テーマが世界を変える一歩となっているのです。
―――学生さんとは修了後もやり取りがあるのですか。
松本 現状、仕組みとしてはありません。ただ、修了生と継続的に交流して、その後注目している社会課題が何で、一緒にできることは何かということについても話をしてみたいですね。修了生と共創していけないか考えていきたいです。
―――リバネスさんはプロジェクトを通して当社に対してどんな印象をお持ちですか。
吉川 バイオサイエンスや生物の分野は情報を積極的に開示しようとする企業が少ない印象ですが、アサヒ飲料さんはこの取り組みを通じて積極的に学生さんに情報提供し、研究を支援されています。それは中高生にとってとても貴重で、実際の研究所や企業に行って見て得られる価値は大きいと思います。
5年目始動!新しい価値を共に創る!
―――5年目に向けての想いを聞かせてください。
松本 4年間を通して良い流れができてきましたので、まずは丁寧な研究支援を継続していきたいです。初年度よりも研究員は問いかけの質が向上し、社会実装を意識したアドバイスが生まれるようになってきていると思います。新しい構想としては学生の皆さんを研究所に招待するなど、企業の研究の様子も伝えていきたいです。微力ながら将来を考えるきっかけや、研究者の仕事のイメージが伝わると良いなと思います。なお、当社の社員もアドバイザーを経験することで研究の面白さを再発見したり、キャリアを見直すきっかけになったりしているので、関わる社員ももっと増やしていきたいです。
吉川 私はアサヒ飲料賞の修了生を対象とした企画もやりたいですね!採択者が先輩研究者と話し、自分の研究の話だけでなく、地域や環境がより良くなるような未来をここから作れるようになるとうれしいです。
―――この取り組みが100年先にどのようにつながってほしいですか。
松本 いろいろな人と新しい価値を創り出していくことにつなげていきたいです。この活動は当社のマテリアリティの中だと「地域共創」の取り組みの一つに位置付けられます。
「地域共創」とは様々なステークホルダーの方と知恵を出し合って新しい価値を作っていくことだと思います。それは中高生が将来的に研究者になっていくことも含まれますし、刺激を受けた社員が新しいことを始めてみようと考えることなども共創にあたると考えます。この活動が先輩や後輩や周りの人に伝播して、その次の研究者を応援していくというように、次の100年につながっていくことが理想です。そういったつながりのなかで少しでも社会が良くなればと夢見ています。
吉川 プロジェクトという枠組みを飛び越えて、アサヒ飲料の社員さんや中高生が大きな目標に対し共に挑戦できる巨大研究所ができたらいいなと思います。自分の興味や関心に向き合いながら、社会のために研究ができる場所ができているといいなと妄想しています(笑)。
松本 その妄想素敵ですね。その巨大研究所は物理的なものである必要はなくて、コミュミュニティや人のつながりのようなものでもいいかもしれませんね。一緒に価値を共有できる仲間作りをしていきたいと思いました!
―――学生の皆さんや読者の方へのメッセージをお願いします。
松本 理科に限らず、「疑問を追及したい」「身近な課題を解決したい」という気持ちを大切にしてもらいたいです。これまでも最初は自信がなさそうだった学生の方が、時間がたつにつれてとても生き生きと活動し始める様子を目にしてきました。熱意や真剣さがある人には必ず仲間が現れると思うので、ぜひ一歩を踏み出していただきたいです!
吉川 私は「人生やったもん勝ち」という言葉をポリシーに面白そうと感じたことにはチャレンジしてきました。時には失敗も経験しましたが、やったからこそ得られる価値があります。研究で言うと、データだけでなく、やってきた経験も残るという感覚です。多くの方に「まずやってみようという考え方」や「自分が楽しくなる行動」をしてほしいですし、その先に研究やアサヒ飲料賞があったらさらにうれしいです。
―――ありがとうございました!
リアルな研究員!アドバイザー社員にもいろいろ聞いてみた!
アドバイザーを務める社員が普段どのような仕事をしているか、2022年度のアドバイザーを務めた社員に話を聞いてみました!
【プロフィール】
―――普段はどのようなお仕事をされているのですか。
商品コンセプトをもとに飲料を設計する仕事をしています。おいしさや見ためなどを考慮しながら原材料を組み合わせ、安全・安心にお客様にお届けできるように飲料の中身を設計します。私は、チームメンバーが設計した処方をチェックし、更に品質を向上させられないか、効率よく作れないかなど様々な視点でアドバイスをして一緒に設計する業務をしています。また、品質を強化するための技術開発についても多くのテーマを掲げて推進しており、時には発明的な技術について、特許として出願することもあります。
――-研究者を志したきっかけや実際に感じる魅力はどんなことですか。
小学生の頃、当時夢の技術として「バイオテクノロジー」などの言葉が飛び交っており、まるで魔法のような印象を持っていました。中高生になると、特に生物や化学に興味が沸き始め、漠然と将来は研究者となることをイメージするようになりました。結果的に企業の研究開発者となりましたが、新しいアイデアや技術を取り込み、チームメンバーと一緒にハードルを乗り越えて具現化し、商品をお客様に届ける起点となっているところは大きな魅力だと感じています。
―――昨年度サイエンスキャッスルのアドバイザーとして参加した感想を教えてください。
仮説検証や考察のプロセスもしっかり踏んで情熱を持って取り組んでおり、毎回の討議ではいつもパワーをいただきながら、楽しんで参加することができました。
―――企業での研究に興味がある学生の皆さんや読者の方へのメッセージをお願いいたします。
皆さんが普段手に取っていらっしゃる飲料には、多くの技術が詰まっており、常に進化しています。おいしく、健康によい飲み物などを作り出すため、我々開発研究者は新しいトレンドや技術情報を把握し、創造性とチームワークを重視して、日々研究開発に邁進しています。こういった研究開発活動は、単に飲料を作るだけでなく未来を創る活動でもあると思っていますので、興味を持っていただけたらうれしいです!
――――ありがとうございました!
学生の皆さんの未来への一歩を後押しする活動を目指して、本年も始動いたします!次回は7月生まれのブランドがテーマの回です!お楽しみに!