メディアリテラシーを高めよう!心理学で解き明かす情報との上手な付き合い方
みなさん、日々たくさんの情報に囲まれていませんか?スマホやテレビ、インターネットからいろんな情報が飛び込んできます。この情報を正しく理解し、適切に活用する力を「メディアリテラシー」と呼びます。今回は、心理学の視点から、メディアリテラシーを高める方法をお伝えします。
1. 私たちの頭の中のクセ
私たちの頭には、情報を早く理解しようとする「クセ」があります。これを心理学では「認知バイアス」と呼びます。このクセを知ることで、情報をより正確に理解できるようになります。
【専門用語解説】
認知バイアス
人間の認知や判断が偏ってしまう傾向のこと。効率的に情報処理をするために脳が無意識に行う「近道思考」が原因で起こります。
例1
「確証バイアス」という、自分の考えに合う情報だけ信じてしまうクセ
状況
ダイエット中のAさんが「チョコレートは健康にいい」という記事を見つけた
問題点
自分の食べたい気持ちに合う情報だけを信じてしまう
対策
反対の意見(「チョコレートの過剰摂取は健康に悪影響」など)も積極的に探してみる
例2
「バンドワゴン効果」という、みんなが言ってるから正しいはずというクセ
状況
SNSで「〇〇が効く!」という情報が大量にシェアされている
問題点
多くの人が信じているから自分も信じてしまう
対策
その情報の出どころを確認し、専門家の意見も調べてみる
【専門用語解説】
確証バイアス
自分の既存の信念や仮説に合致する情報を重視し、反する情報を無視または過小評価する傾向。
バンドワゴン効果
多くの人が支持している意見や行動に同調しやすくなる心理現象。「バンドワゴン」は「人気のある側に乗る」という意味です。
2. 気持ちが情報の受け取り方を左右する
私たちの気持ちも、情報の理解に大きく影響します。これを「感情バイアス」と呼びます。イライラしているときと、リラックスしているときでは、同じ情報でも受け取り方が変わってきます。
【専門用語解説】
感情バイアス
その時の感情状態によって、判断や意思決定が影響を受けてしまう傾向。
例
恐怖による判断の歪み
状況
犯罪のニュースを見て怖くなり、「世の中は危険だらけ」と思ってしまう
問題点
怖い気持ちが冷静な判断を妨げる
対策
1. 深呼吸をして落ち着く
2. 犯罪統計など、客観的なデータも確認する
3. 身近な安全な出来事も思い出してみる
3. みんなの意見に流されないために
私たちは社会の中で生きているので、周りの人の意見に影響されやすいものです。これを「社会的影響」と呼びます。時にはそれが正しい判断の妨げになることも。
【専門用語解説】
社会的影響
他者や集団が個人の行動、態度、信念に与える影響のこと。
例
権威への服従
状況
有名な専門家が「〇〇が絶対正しい」と言っている
問題点
権威ある人の意見だからと、疑問を持たずに信じてしまう
対策
1. その専門家の意見だけでなく、他の専門家の意見も調べてみる
2. 「なぜそう言えるのか」の根拠を確認する
3. 自分なりに考えて、疑問点があれば質問してみる
【専門用語解説】
権威への服従
権威を持つ人や組織の指示や意見を、批判的に考えることなく受け入れてしまう傾向。
4. メディアリテラシーを高めるコツ
では、どうすればメディアリテラシーを高められるでしょうか?いくつかのコツをご紹介します。
1. クリティカルシンキングを実践する
情報を見たら「なぜそう言えるの?」と考える習慣をつけましょう
例
「この商品が人気です!」→「なぜ人気なの?誰が言ってるの?」
2. メタ認知を活用する
情報を見て、どんな気持ちになったか確認しましょう
例
怒りを感じたら、冷静になってから再度その情報を見直す
3. 多様性への露出を増やす
自分と違う意見や背景を持つ人の話を聞いてみましょう
例
普段見ないニュースサイトや、違う世代の人の意見を聞いてみる
4. デジタルデトックスを実践する
常に情報を追いかけるのではなく、時には離れる時間も大切です
例
週末は新聞やSNSを見ない日を作ってみる
【専門用語解説】
クリティカルシンキング
物事を客観的に分析し、多角的に考える思考法。
メタ認知
自分の思考や行動を客観的に観察し、分析する能力。
デジタルデトックス
デジタル機器やオンライン活動から意図的に距離を置く行為。
まとめ
メディアリテラシーを高めることは、現代を生きる私たちにとってとても大切なスキルです。自分の頭の中のクセや気持ちの動きを知り、時には立ち止まって考えることで、情報をより正確に理解し、適切に活用できるようになります。
一度にすべてを完璧にする必要はありません。少しずつ、これらのコツを日常生活に取り入れていくことで、情報に振り回されず、自分らしい判断ができるようになっていくはずです。
メディアリテラシーを学ぶことは、自分自身を知ることにもつながります。それは、より豊かで自信を持った生活への第一歩なのです。