ちょっと性別不明の友人がいます -3-
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3. 一緒に寝たけど寝れなかった話
恥ずかしい話をしましょう。
10代後半。
あの頃、私は狂っていた。
そして自由奔放に生きていた。
親元から離れ、ひとり暮らし。
まわりもだいたいみんなひとり暮らし。
ついでに私は人よりちょっと可愛くて、
人よりちょっと調子に乗っていた。
そんな女子大生がどんな生活をしていたかは
想像にお任せするし、私は想像もしたくない。
そのくらいめちゃくちゃで思い出すのも少し憚られるけど、あの日のことを思い出してみる。
あの日。
サワと私が一線を・・・
いつもみたいにサークルのミーティングが終わり、同期でだらだらと話していた。私たち同期は仲が良く、4年間一緒に過ごす時間も長かった。
大学からの帰り道、仲良く一緒のバスに乗った。
私とサワは家が同じ方向でバスでは隣に座った。
同じバス停で降りて、なりゆきでサワの家に行くことになった。
サワは昔から気に入ったものや面白いものがあると嬉しそうに教えてくれて、その日は面白い本があるから貸すよ、と言ってくれた。
私とサワはどことなく気が合って、話す時はとことん話すし、気が済めばずっと黙ったまま。その頃はもう無言のままずっと一緒にいても居心地がいいくらいだった。
部屋に着くと、サワの彼女はいなかった。
たしかバイトに行っていたんだっけ。
サワと彼女が借りていた部屋は2DKの造りで、玄関からリビングに入るとその先に隣り合わせでサワと彼女の部屋がそれぞれあった。
彼女の部屋は扉が閉まっていたが、サワの部屋は開けっぱなしだった。
私はリビングに座って、サワのおすすめの本を借りた。
なんと言って勧められたか忘れたが、黄色くて分厚いビジネス書だった。
「え、こんなに重い本よく買ったね」
と私は頭が悪そうな感想を言いつつ開いてみると、意外と中は物語調でいつの間にか読み入ってしまった。
その間サワが何をしていたか知らないほど、読むのに没頭していた。
良い意味でサワは私をほったらかしにしてくれた。
3時間くらい経っていたと思う。
外はもちろん真っ暗だった。
サワがおすすめしてくれた本は面白かった。
3時間かけて一気に読んでしまうくらい面白かった。
そして満足して、私はサワのベッドに横になった。
その日は朝からサークルのミーティングで頭をこき使い、
同期で散々楽しい時間を過ごし、
サワの家で3時間ぶっ続けで本を読んだ私は
単純に眠かった。
単純に眠くて、何も考えず、サワのベッドがあったからサワのベッドで寝ようかな、とそれだけだった。自由奔放に生きていた私はなんの抵抗もなく誰のベッドでもお構いなしに寝ていた。どうかしている。
そんな感じでどうかしていたので、サワもどうかしてしまったらしい。
先にサワの弁解を書いておくと、サワの家に着くまでに私がサワをその気にさせるようなちょっかいをちょこちょこ出していたらしい。
こんなことを書けばサワが怒るかもしれないが、あの時私はサワを試していたのかもしれない。男とも女ともわからないサワに、ちょっと可愛い私がちょっかいかけたらどんな反応するの、って。どうかしている。心から謝りたい。
それで、コトは起こった。
いや、起こらなかったのだけど、起こりかけた。
私はいろいろ考えていながら、頭の中は「なんでサワが私に?」と思った。
サワにも聞いた。
「なんで?」って。
サワは「え、なんでって、そっちが先に・・・」と言いながら、やめる気はなさそうだった。
私はぜんぜんわからなかった。
私はサワを男の人だと思っていなかった。
思っていなかったんだなって気付かされた。
でもサワは私を女として見ていた。
友情が一瞬揺らいだ。
私はなんとかサワを制止して
「これは違うよ」って
そんなんじゃサワは納得してくれないとわかりつつ
どうかわかってほしいという最後の望みで
振り絞るようにそう言ってコトは止まって
私は帰ることにした。
それから先はよく覚えていない。
よく覚えていないけど、私たちの日常は変わらなかった。
そもそもサワには彼女がいたし、私なんかいてもいなくてもそんなのどうでもよかった。あの日たまたま私が手の届くところにいて、興味本位で手を出してみて。若気の至り、と言ってしまえばそれまでだが、きっとそれだけだった。
それからまたサークルで顔を合わせ、ミーティングで延々と議論をし、濃厚な4年間を過ごした。さっきの話の後で、“濃厚”なんて言ったら誤解されるかもしれないが、私とサワは気が合うから授業が被ることもよくあったし、一緒に講義を受けることもあった。
でもそれだけ。
あの時以上に近づかず、でも意識して離れるわけでもなく、仲のいい同期のうちの1人だった。
ただそれだけ。
本当にそれだけで過ごしてきた。
でもサワも私も忘れなかった。
忘れていなかった。
あの日のこと。
この13年間、お互いに一度も話したことはなかった。
でも「サワわた」の構想を送って、この回のタイトルを見たサワには全部伝わっていた。
「あぁ、あの日ね」って。
やっぱりまたLINEだったけど、サワがどんな顔をしているかわかる気がした。
きっと少し困った顔で少し笑っていたと思う。
それであれはもう過去だからって同じ認識で、ここに書くことを許してくれた。
ただお互いのためにフィクションは盛り込もう、と固く誓った。
(というわけで、フィクション盛り盛りのぼんやりとした表現が多かったことをここに明記しておきます。)
あの時の私は、サワに対してどういう感情なのか、まだ何もわかっていなかった。わかるはずもなかった。
男と女しかいない世界で生きていたから。
いろんな自分の渇きを潤したくて異性に抱く感情でも、
楽しい時間を過ごしたくて共感してほしくて同性に求める感情でも、
どちらでもない感情に今もまだ名前はないけれど
自分が気付くずっと前から自分の中に作られていた。
私がサワに抱く感情。
でも、はっきり気付いたのは最近だから
その話はまた今度ね。
次回は何の話にしようかな。
ちょっとまだ考え中。
ねぇサワ、何の話がいいと思う?
「サワと私の13年間」
愛を込めて「サワわた」!!!
ここまで読んでいただきありがとうございました。
本当に次は何を書くか迷っています。
たくさん書きたいことはあるのだけど
どれがいいかな〜って迷っているというか。
ぜひ次回もお楽しみに。
★☆★
創作大賞2023狙って全力を尽くします。
応援よろしくお願いします!
★☆★
たまにサイドストーリーも書けたらいいなと思っています。
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コメントも嬉しいです。もしかしたサワも見てるかも!
(サワへの直接の質問、コメントは嬉しいですが
サワからのお返事は難しいです。ごめんなさい。)
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