未来のためにできること〜つらい現実を生きている子どもたちへ〜
鬱病を繰り返す知人と、その子どもたちについての話。
彼女には子どもが2人いたが、その子どもたちが小・中学生のときにかなりひどい鬱状態になった。
彼女の夫は海外赴任でなかなか家に帰ってこられず、その間に彼女の鬱病は悪化した。
そして小・中学生の子どもを残して彼女は実家に帰り、引きこもってしまった。
置き去りにされた子どもたちは自分たちでご飯を作り、掃除洗濯をして学校に通った。
そんな状況下で思春期を向かえた子どもたちは、いつグレて横道にそれてしまってもおかしくないだろう。そうなっても責められないし、そんな家庭はたくさんあるだろう。
ところが、まず最初に上の子が何に逃げたか。
勉強だ。
現実逃避のためにひたすら勉強し始めた。
その結果、今まで中くらいの成績だったその子は県内トップの高校に進学した。
塾にも通わず、自力でだ。
そして、難関大学のこれまた難関学部に進学した。
現在はキャリア官僚だ。
下の子はちょっと横道をそれた時期もあったが、高校受験の頃には知人も鬱病が回復し、平穏な日々が訪れていた。
そして無事、高校、大学と進学した。
でもその頃からまた、彼女の鬱病が再発した。
毎日毎日掃除も洗濯も山のようになった家で、母親の世話をしながら大学に通う日々。
すると、その子は大学を転部して士業の勉強を始めた。
勉強に没頭して現実から逃避したのだ。
そして、かなり難関と言われる国家試験に一発で合格した。
子どもたちにとっては、とても苦しい青春時代だったと思う。
何の心配も苦労もなく親に面倒を見てもらい、塾に通わせてもらい、それを当たり前のように思って生きているような同級生ばかりだったろう。
親に対する恨みつらみで心が張り裂けたっておかしくない。
でも横道にそれてグレてしまったら、それで一番苦しむのは結局自分自身だ。親に仕返しができるわけじゃない。
もちろん正気を取り戻した母親は、自責の念に駆られるだろう。でも、それだけだ。自分の人生を変えてもらえるわけじゃない。
やけになったところで、ずっとずっとそれを引きずって生きていくのは自分自身だ。
結局、現実逃避として勉強を選択した結果、子どもたちは大きな未来を手に入れた。
どんな境遇であっても、誰かのせいにして幸せがやってくるわけじゃない。
結局は『自分のために何をするか』なんだと思う。
知人の子どもたちから学んだ話でした。