『現代思想入門』について。読書メモ
現代思想に精通している訳ではないが、僕自身興味のある分野ではあった。
だが、難解なものというイメージが先行する。彼ら古代とか近代の理論を前提知識として出してきそうじゃない、、といった認識であった。
千葉先生の書籍は以前軽く目を遠した経験があり(勉強の哲学)、好きなタイプの文章であったため、今回手に取るに至った。
現代はクリーン化が進んでいる
冒頭から中々熱い展開だ。現代はコンプラや、規律、暗黙のルールが渦めいて、世の中がクリーン化に進んでいる。
世の中は整えられる方向に進んでいるが、かえってそれが身動きが取れない苦しみになっているのではないかと、考察している。
確かに、僕自身それは感じていて、以前炎上を嫌う記事を出したが、生きづらさを感じる社会の目があるように感じる。
こういう現代だからこそ、現代思想の考え方が必要という訳だ。
現代思想は差異の哲学、そして脱構築
ではどのような哲学であるか。現代思想は大まかに言うと差異の哲学。差異に注目する哲学と言えるようだ。
差異⇆同一性
差異、つまりズレに着目するということ。世の中からはみ出すズレについて注目することが、大事ではないかといった考えが根本にあることが分かる。
世の中には何か議論になる際、二項対立が存在する。それらにどちらの主張はあっても、一方が優れていて、一方は劣っていると終着するだろう。
現代思想はそうした二項対立で劣っている、マイナスに捉えられるものが、本当にマイナスなのかを疑っていくことが基本的スタンスだ。
つまり先程書いたようにズレに着目している。このようにマイナスに目を向け、疑い、二項対立の外に出る。そのことを脱構築と言う。
個人的に、脱構築は物事を俯瞰して見るような。そんな気がしている。その立ち位置から考えることが物事を深く考え直し、検討することができるのだろう。用は現代はそのくらい複雑だと言う訳だ。
正常と異常とは
世の中には正常と異常といった言葉がある。昔は変わった人くらいに考えられた人が、現代では、発達障害やコミュニケーション障害、社不のように表される。
社会に不適合である。それはつまり、現代は皆、社会に合うようにしなければならない意識が根底にあることになる。そのように見て取れるであろう。
社会に合わないといけないといった、焦燥感で個性を持った人は窮屈に、そして精神を病んでいく。
最近は政府からケアを受けられるようなこともある。それは皆が生活できて良いことだ。確かに良いことなのだが、それは本当にそうだろうか。
その背景には主流派が作った世界で主流派に合わせた生活をするのが当然だといった考えがある。そのような示唆を与えてくれるのが現代思想の思考だ。
無理に合わせてる訳だから、自分自身を押さえつけている感は否定できないであろう。
17世紀には監獄というシステムができた。その他病院も含め、異常とされる人々は隔離されていく。
過去には普通に生活してた人々を治療して社会に戻す流れだ。それをフーコーは統治が巧妙になったと表現している。
その流れを規律訓練とフーコーは述べている。
それはベンサムが考えた、パノプティコンという監獄システムが例になる。
この監獄は、今監視されているかどうか分からないといった特徴がある。
ここに収監された囚人達は、いつ監視されているか分からないから、何もしなくなる。自分で自分を監視している状態になるといったところだ。
これらは権力の歴史として説明されたものだが、すごく納得させられる内容である。現代も自分を自分で監視する状態と言えるはずだ。
それらは宗教観も関係しているかもしれない。現代に生きる我々には不思議に思わないが、政治、国の統治によりそのような人間像を作った側面があるのだろう。
どのように解決していくのか
マイナスの価値観を疑い、二項対立を脱構築する。俯瞰した先でどう解決していくのか。
頭が硬い僕には考えに辿り着くことが難しい。そう感じていたが、人間の思考自体にそのような悩ましいことがあるみたいだ。
これは意味付けを追求していかなければいけないという意味で、果てしなく有限的なものがそこにあるという訳だ。
そこでフーコーは古代に回帰し、
メイヤスーは数学を使い解決しようとした。
ここではフーコーの例を使用する。
無限に続く有限性がない状態。失敗や反省をその都度考えていく。
そのような個別的解決の姿勢が果てしない有限性の1つの解決かもしれないということだろうか。
まとめ
現代は複雑な時代だ。確かに昔に比べて豊かにはなったけれどなにか不幸せを感じる。
その原因を考える上で、一つの考え方として現代思想は有効だと感じた。
物事は複雑に絡み合っている。現代の背景には、政治や歴史、宗教観、人間関係含め複雑な絡みがある。そのなかで人間とは何かを改めて考えてみることが重要ではないだろうか。
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