アニカ・イーと学際視点
アニカ・イーと学際視点
アニカ・イー(Anicka Yi,1971- /NYのコンセプチュアルアーティスト)
視覚アートの世界の*認識論的(Epistemology)や、感覚的用語を再構成する手段として、当初は、香り、触覚、そして、腐りやすさ(脆さ)を表象している。それは、マチエール(素材)のちぐはぐなミックス性が寓話のように作品化されているのだ。
(註)*認識論的(Epistemology):知識の内在化した性質、その起源、範囲、認識論的正当化性や、その信念の合理性のリサーチを行う。倫理、論理、形而上学などの哲学的なサブフィールド。
そして、それらの作品は、学際的(知の共有)に生物学者や化学者とのコラボレーションが行われている。
その嗅覚に訴える作品の香りは、料理、科学、そして、フェミニズムが交差している。
現在形の現代アートの作家だ。
by Anicka Yi
略歴とアートワーク - Anicka Yi
1971年、ソウル(韓国)生まれる。ハンターカレッジ(Hunter College/ニューヨーク市立大学ハンター校)を卒業後、ロンドンで、ファッション・スタイリストとコピーライターをフリーランスで行う。
そして、2000年以降、香水と科学のアートへの実験的な試みを開始した。そして、Circular file(Artist Collective/アートグループ)に参加している。そこでは、ジョシュ・クライン(Josh Kline,1979- /アメリカのアーティスト)たちと共に展示等の行動している。
アニカ・イーとジョシュ・クラインがコラボレーションした作品は・・
47 CANAL | GRAND STREET(マンハッタンにある現代アートギャラリー)
291 Grand Street 2nd Floor April 9–May 3, 2010
View of “Loveless Marriages” 2010. - Josh Kline and Anicka Yi
その「Loveless Marriages」は、良い創造的な絆を悪くするような和解できない違いをジョークで示唆している様相だ。
それら、アニカ・イーのアートワークは、学際的であり、例えば、魚油の丸薬、天ぷら油で揚げた花、リコールされた粉ミルクで煮た細断されたTevaサンダル(Deckers Outdoor Corporation)、石鹸で作ったキャンバス、そして、バクテリアなど、作品の非正統的で生鮮で腐りやすい(脆い)素材を使用している。
ヒューゴボス-2016
"Life is Cheap" at the Guggenheim Museum - 2016年にヒューゴボス賞を得ている。(隔年のグレートな賞だ)
ヒューゴボス賞2016:Life is Cheap
2017年、アニカ・イーは、そのグッゲンハイムで"Life is Cheap"展でデビューした。
そして、その2017ホイットニービエンナーレ(Whitney Biennial )で、映像作品「The Flavor Genome」(22minの3D-Video)で、化学者がブラジルのアマゾンで特別な植物を探し、物語では、この植物は薬効がある様相であり、製薬業界に魅力的なシーンが存在する。この映画は、生物学の周辺(生物工学)から、国家のあり方まで、広範囲のテーマだ。
ANICKA YI IN LOVE WITH THE WORLD 2021
2021年、Tate Modern(London)で展示 - ANICKA YI IN LOVE WITH THE WORLD 2021
(概要)アニカ・イーのインスタレーションは、自律的でインテリジェントなシステムを使用して、TATEの観る側の頭上に浮かぶエコシステムを制作した。 彼女は、生物学とテクノロジーがどのように融合できるかを探求したいと考えており、観る側に、機械がどのように進化して独立した生命体になることができるかについて、質問(思考)してもらいたいと考えている。
そして、現在、アニカ・イーは、コロンビア大学やMITなどの大学の研究者と連携している。
最後に、現在形のアニカ・イー
アニカ・イー女史が、嗅覚とフェミニストとして、男性の視点から制作された作品もあるが、そこにとどまらず、その範囲は現在、広範囲だ。そのアニカ・イーは、現在形の作家で、多くの展示と賞を得ている。今後、期待したい作家だ。
(追記)「アニカ・イーと嗅覚作品とフェミニズム」に続きます。お時間の許す折に・・・
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