解析学(微分積分)の深掘り 〜3〜
数学の中でも「解析学」は個人的に使用頻度が高い内容でした。解析学とは「微分積分」を軸とする計算の分野です。今回はそんな微分積分について、様々な視点から書いていくシリーズです。
前回は微分積分の知識を利用して、空間図形の体積の公式を導出してみました。
今回は解析学の中でも実用的に使う頻度が多い「微分方程式」について話をしていきます。
微分方程式とは
今回のテーマである「微分方程式」はあくまで方程式のひとつ。1次方程式や2次方程式は中学校で見聞きしていると思いますが、方程式なので何かしら解が存在するという点は同じです。
では、これまでの方程式とは何が違うのか。決定的な違いは、解が定数ではなく何かしらの変数で表現されることです。
例えば、独立変数xと従属変数yによる微分方程式を解いてみます。
ここでのポイントのひとつは不定積分を扱うことであり、不定積分には積分定数が必要です。これは解となる従属変数yを微分をした際に、定数項がゼロになることに由来します。
この積分定数が含まれる状態での解は「一般解」と呼ばれます。数値条件を与えることで積分定数が一意に求まりますが、これを加味した状態の解は「特殊解」と呼ばれます。
微分方程式の用途
微分方程式が数学以外の場面で登場することは多いにありますが、最も登場する機会が多いのは物理学だと思います。最も単純な力学の話である、質点(質量のある仮想的な点のこと)の運動論で見てみます。
物体の運動を求める際に用いられる「運動方程式」ですが、その実態は微分方程式です。そこから物体の運動を求めていく訳ですが、それは微分積分の作業に他なりません。
実際に、加速度が定数(ここでは定数aとします)である「等加速度直線運動」を考えてみます。加速度を2回積分することで変位(移動量)が求められるので、実際に積分してみると、次のようになります。
$${v={\int a(t)dt}=at+C_1}$$
$${x={\int v(t)dt}=\frac{1}{2}at^2+C_1t+C_2}$$
Cは積分定数です。この形は一般解なので、数値条件を与えて積分定数Cを一意に求めてみます。
数値条件:$${t=0}$$で$${x=0, v=0}$$とする。
すると2種類の積分定数Cはいずれもゼロであることが分かります。以上より、加速度aの等加速度直線運動に対する速度と変位は、次のようになります。
$${v(t)=at, x(t)=\frac{1}{2}at^2}$$
この形は高校物理で習う公式に他なりません。こうして公式を微分積分から導き出すことは、解析学の重要な役割のひとつと言えます。
おわりに
今回は解析学の本場と言える「微分方程式」の話を書きました。
物理学を深く知るには、微分方程式の知識が欠かせません。この事実は学生時代に数学を得意とする私には喜ばしいことでした。無理矢理に公式を覚えることをしなくて済んだので。
今後はこの微分方程式をさらに深掘りしていきたいと思います。
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