物理数学の世界 #14 〜テイラー展開〜
物理数学の世界。始まります!
前回は物理学(機械力学)のコンテンツとして、2自由度系の振動を扱いました。行列などの数学の知識を総動員した内容になりました。
今回は再び数学の話に戻ります。タイトルの通り「テイラー展開」について。近似値の計算の際に威力を発揮する便利なツールです。物理学でも数式展開の際に活用することが多いので、しっかり押さえていただけたらと思います。
整理したノートを公開
実際にノートにまとめてみました。テイラー展開はあくまで近似計算なので、元の関数との乖離が問題になります。そのため、剰余項がゼロに収束することが、テイラー展開を使うための条件になります。
途中から「マクローリン展開」という名称が出てきますが、これはaの部分をゼロにした場合のテイラー展開という意味です。
テイラー展開を利用することで証明できる公式のひとつに「オイラーの公式」があります。その過程は右側に書いていますが、級数に展開することで、式として一致することが分かります。
テイラー展開の意義
テイラー展開の意義というのは、関数がべき級数によって表されるという点に集約されます。べき級数で表すことのメリットは、関数の挙動をある程度ラクに、かつ細かく見ることができる点です。
物理学においては、大抵は2次近似まで使うことが多いです。工学的な視点からすると、理屈はともかくとして答えが欲しい時があるので、そんな時にテイラー展開は威力を発揮します。
少し用語を挟みますが、このようにべき級数で表すことのできる関数を「解析関数」と言います。特に、べきが実数の場合は実解析関数と呼びます。
ちなみに、この手法は複素数(複素関数)にも適用可能です。過程の説明は飛ばしますが「正則である複素関数は解析関数になる」ということです(複素関数の話はまた後々にしたいと思います)。
おわりに
今回は再び数学に話を戻しまして、近似値計算の手法であるテイラー展開について扱いました。
表舞台に登場することが少ない話ではありますが、工学の分野では近似としてテイラー展開を使うことが多々あるので、いきなり出てきても戸惑わないようにしたいところです。
実験など実用的な場面でも登場することがあるので、覚えておいて損はないかと思います。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。実際は非定期ですが、毎日更新する気持ちで取り組んでいます。あなたの人生の新たな1ページに添えるように頑張ります。何卒よろしくお願いいたします。
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