見出し画像

世界の現代アートが箱根に続々✨ポーラ美術館のビッグな新収蔵品達にWow!

「2020年に約30億円で落札されたゲルハルト・リヒターの作品が初公開される」という話題性も手伝って、多くの期待を集めてスタートしたポーラ美術館の「モネからリヒターへ ― 新収蔵作品を中心に」展。あまり期待が大きすぎるとあらら。。。となってしまう場合もあるのですが、今回は、期待を上回るサプライズがバシバシ飛び出してきましたよ!

開館20周年を迎える当美術館ですが、良く知っている方々は、そのコレクションのイメチェンぶりに驚きも大きそうです。
例えば、イギリスのキャサリン妃のような雰囲気だったのに、久しぶりに会ったらレディーガガのようになっていた!みたいなイメージでしょうか?!

そうは言っても、パツッと断絶してるのでは全くなく、むしろポーラ創業家二代目の鈴木常司さんが戦後約40年をかけて収集したコレクションを、スムーズに現代アートシーンにつなげるコレクションが仲間入りしてきた感じです。 

展覧会は、全館から屋外の遊歩道まで広がる壮大な規模。構成は常司さんのコレクションと新収蔵品を組み合わせた「第1部」と、ほぼ新収蔵品だけが並ぶ「第2部」とシンプル。 

何はともあれ、まずは第2部の衝撃。 「これ全部新しくコレクションしたの?」

展示風景より、中央は難波田龍起《生命体の集合》(1970) 制御不能になった噴水から噴き出した 水しぶきのようなのだけど美しい。 勢いよく成長するコレクションの象徴?

国内外のそうそうたるアーティストの作品オンパレード。
しかも、自分より大きな作品も続々。 光り輝くように溢れる色彩とエネルギッシュな筆の勢に囲まれてテンション急上昇。

展示風景より、左から 白髪一雄《泥錫》(1987)、《波濤》(1987) こちらは、大量の絵の具を、道具で動かすのがまどろっこしくなったのか、素足で描くようになった白髪さんの作品。そのエネルギーが会場に飛び出してくる勢い。 それにしてもこう並べられると巨大化した「白髪」 と 「黒髪」ペアにも 見えませんか?

そしてお待ちかね、 展覧会タイトルにもなっているゲルハルト・リヒターとクロード・モネの代表作が揃ってご登場。

展示風景より
ゲルハルト・リヒター《抽象絵画(649-2)》(1987)とクロード・モネ《睡蓮の池》(1899)

リヒターの抽象画の奥にあるものは?

「えっ、こんなに大きさが違うの?」。リヒターの作品がモネのそれの4倍くらい大きかったのでまずそこに驚いてしまいました。 いきなり表面的なところですみません。。。
でもリヒターのこの作品は、 落札された時のニュースなど画像ではたびたび見ていたのですが、実物は初めてでしたし。。。 それに、 ウェブサイトなどでこの二つの作品画像だけがアップされていると同じ大きさに見えていたのです。 やっぱり実物を目の前にするって大事なのですね~。

ゲルハルト・リヒター《抽象絵画(649-2)》(1987)(c) Gerhard Richter 2021 (20102021)
ゲルハルト・リヒター《抽象絵画(649-2)》(1987)部分 (c) Gerhard Richter 2021 (20102021)
クロード・モネ《睡蓮の池》(1899)

さてこの2点が繋がってるなあと思うのは、 鏡面のように艶やかな池の水面。 まるで同じ太陽に照らされているかのような輝きと、 奥の方まで続いている感覚。もちろんリヒターがそれを意識していたかはわかりませんが、ポーラ美術館がこの作品を落札した時に、脳内でこの池をピタッと接続していたのだったらすごいな~。
それにしても30億円! 『美術手帖』の Web 記事によると

この作品は同セールにおけるハイライトであり、当初の予想落札価格は16億〜19億円だった。サザビーズによると、10分間もの入札合戦が繰り広げられたという。

2020.10.7の『美術手帖』の Web 記事より

とのこと。 競ったお相手にはどのような思いがあったのでしょう?
もしかしてこの作品は単なる絵画ではなく実は、いつでもジヴェルニーの庭に飛べるタイムマシーンなのでは?なんて機能を求めてしまう私って庶民感覚💦

屋内外で一貫している光のテーマ

そして、今回の展覧会のテーマは「光」。
作品そのものが発光しているようなニューフェイスたちも多くあり、目を奪われます。

例えば、ヴィルヘルム・ハマスホイ。薄暗い室内と後ろ姿の女性をたくさん描いている画家ですが、 これほどまでに陽光の明るさを感じた作品は初めて。

ヴィルヘルム・ハマスホイ《陽光の中で読書する女性、ストランゲーゼ30番地》

 そしてこの展示室は、 ハマスホイの他にもう一点 しか飾られていない贅沢な空間なのですが、 なんとその一点が先ほどモネと一緒に抽象画が展示されていたリヒターの作品なのです。

展示風景より、ヴィルヘルム・ハマスホイ《陽光の中で読書する女性、ストランゲーゼ30番地》(1899)とリヒター《グレイ・ハウス》(1966) Photo (C)Ken KATO

こちらは、《抽象絵画(649-2)》が描かれた20年ほど前の1966年に制作されたフォトペインティング。新聞や雑誌の写真を大きくカンバスに描き写し、画面全体をぼかすという手法です。ポーラ美術館のことですから、このフォトペインティングからどのようにして彼の抽象絵画が生まれたかを伝えてくれるようなコレクションを増やしてくれそうな気がします。

リヒターのフォトペインティング:《グレイ・ハウス》(1966)
(c) Gerhard Richter 2021 (20102021)

また、 光のプリズムそのものを画材にしたような作品たちにも出会いました。杉本博司さんの最新シリーズ「Opticks」です。

展示風景より、杉本博司「Opticks」シリーズ(2018)Photo (C)Ken KATO
こんな風に色と光、 影と自分、 写真の効果で遊ぶこともできました!
展示風景より、杉本博司「Opticks」シリーズ(2018)
2色展開の境界線は、 杉本さんの写真「海景シリーズ」 の水平線と同じ位置にあるような。。。 何か繋がっている!

光に導かれて自然の中へ!アートも自然もボーダーレス

ポーラ美術館に来たからには、屋外アートを散策しないと完結しません。私には、屋内のアートがボーダーレスに自然の中のアートとつながり、全体が作品になっていると感じられるのです。

あっ、林の向こうに白く発光する物体は何?

ロニ・ホーン《鳥葬(箱根)》2017–2018年 鋳放しの鋳造ガラス ポーラ美術館 (c)Roni Horn

ロニ・ホーンのガラスの彫刻でした!
ずっと会いたかった!
ヴェネチアのプンタ・デッラ・ドガーナでこのミステリアスで究極に美しいガラスの作品群を見てから惚れていたのです。

駆け寄ってみると想像したよりずっと大きかった。
表面の本当に薄い部分にだけ水が湛えられていて、 自然を写し陽光を集め、体全体で発光している。表情も常に揺られていて生きてるんですよ。

ロニ・ホーン《鳥葬(箱根)》2017–2018年 鋳放しの鋳造ガラス ポーラ美術館 (c)Roni Horn

太陽の光を浴びてたくさん歩いたら、のどが渇いちゃった。
レストランアレイでオリジナルのドリンクをいただきます。

さわやか~♪
一瞬ロニ・ホーンの透明感を感じそうになったのですが、 実はこのドリンク、これまた新収蔵品のベルト・モリゾ《ベランダにて》をモチーフにしているのです。

展示風景より、ベルト・モリゾ《ベランダにて》(1884)

マネのミューズ、ベルト・モリゾが一人娘を見つめる優しい眼差しそのものがこの絵。夏の陽光に包まれて、お花を触る女の子。
ガラスの水差しの清涼感をちょっと分けてもらいましょう。
わ~、モリゾの絵の味がする!

ということで、印象派など、従来のポーラ美術館コレクションらしい作品達も新しく増えています。美術史から見ても、なめらかに現代につながるコレクションの道ってステキ♪

そして、昔と今、 屋内と自然をボーダーレスにつなげる新しいコレクションの旅はまだ始まったばかり!これからも一緒に体験していきたいものですね。

【展覧会基本情報】
「ポーラ美術館開館20周年記念展
モネからリヒターへ ― 新収蔵作品を中心に」

会期:2022年4月9日~9月6日
会場:ポーラ美術館
住所:神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285
電話番号:0460-84-2111 
開館時間:9:00~17:00 ※入館は16:30まで 
休館日:会期中無休 ※最新情報は公式ウェブサイトにて確認 
料金:一般 1800円 / 大学・高校生 1300円 / 中学生以下無料

#ポーラ美術館 #モネからリヒターへ #polamuseum #RoniHorn #ロニホーン
#ゲルハルトリヒター #GerhardRichter



この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?