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クリスマス・正月であるのに、ある性暴力事件での逆転無罪判決きっかけの騒動に、光市母子殺害事件と同じような「ナチスの手口」を感じ・恐怖も止まない件について。

割引あり

 さて、クリスマス・正月となりましたが、如何お過ごしでしょうか。


年の瀬に出た、性暴力事件での「逆転無罪」判決が大きな物議を醸している。

 こんな年の瀬だと言うのに、ある事件の裁判で、どう考えても有罪だとされる被告に巻き込まれる形で、雑に有罪だとされた被告が無罪にされた。ということに対して、自称フェミニスト達が怒り狂って裁判官辞めさせろだなんだという署名を立ち上げ、猛烈な勢いで署名者が増えてることが、先週の金曜・12月20日の昼からTwitter(X)などで物議を醸し続けています。

 事件自体は、今の不同意性交罪が強制性交罪であった時に、女性が三人の男性を相手にしたこと(ただし、そのうち1人は行為に及ぶ前に自宅に帰ってしまってた)について、そのときは勢いに押されたのかノリノリだったのかはわからないですがとにかく前向きに応じていたのに、後から、酒を飲まされて無理やりさせられた。と訴えたことから始まってるようです。

 そして、女性と一緒にいたとして、三人の男性が起訴されたのですが、ここには、行為が始まる前に自宅に帰ったというアリバイがある男性も含まれてた。

 この行為自体は録画がされていて(そういう趣味が参加した誰かにあったのか・自衛目的だったのかは私は知らないですけど)、それの中身を巡っても一審・大津地裁で争ったのですが…

一審では、被告三名とも、有罪。その中でアリバイがある男性も共謀したとして、有罪。

 三名とも、有罪。アリバイがある男性も、有罪
 と言う、なんか冤罪バリバリじゃないか?というしかないような判決を出されたんですよね。

あまりに不当な有罪判決であると、被告二人が控訴し、逆転無罪を勝ち取る。

 当然、そんな無茶苦茶な判決を許すわけには行かないから、被告達は控訴して、大阪高裁で裁判が争われました。

そうしたら、

  1. 被害者女性が、被告男性三人を有罪にできなくなるかも知れないという理由で、重大な証言を隠していたことがわかった。

  2. 録画されてた行為の流れ的に、本当に女性が拒否するのを無理やりしていたのかが非常に怪しいことが認定された。
    ただし、今の「令和の治安維持法」である不同意性交罪では、お酒を飲んでノリで行為をした場合でもこうなったら男性側が問答無用に有罪にされる事に注意

  3. 被告男性の内の一人には、明確なアリバイがあると認定された。

とかとか、典型的な冤罪じゃないか。という話が表面化して、

 当然ながら、大阪高裁の飯島裁判長以下三名の裁判官(男性2名・女性1名)は、被告/容疑者三人の内二人を無罪にしたわけです。経緯から見て、ましてや旧強制性交罪が適用されなきゃいけない時代の事件なんだから、そりゃそうだろう…と思ったわけですが。

冤罪に近いから無罪とされたことを危険視した、自称フェミニストや自称リベラルたち。

 これが、自称フェミニストや自称リベラルたちにとっては非常に危険視された。

  •  今の不同意性交罪なら三人とも有罪のはずだろ!

  •  録画の内容が公開の法廷で流れされた(この辺り、今の性犯罪事件の法廷での証拠の扱われ方を踏まえると本当なのか胡散臭い)だけではなく、被告を無罪にするなんて、セカンドレイプを重ねてる!

  •  裁判長は男性だから、AVを見慣れていて女性蔑視の判決を出したんだ!

⇛ 裁判長を弾劾にかけろ!首を飛ばせ!こんな判決が二度と出されないように裁判所や国会などに圧力をかけないといけない!!!

「法の不遡及」「疑わしきは被疑者の利益に」をブッチして、裁判長を狙い撃ちにする署名が立ち上がり、急激に伸びる。

 そういう感じで、突然のようにchange.orgに署名が立ち上がり、「レイプされた可哀想な女性が、女性蔑視の男性裁判長によって不当な判決を出されて差別されてるのを許すな!!」とネットの各所で呼びかけが集まり、名だたる左派インフルエンサーや著名人が署名したと表明し、どんどん署名が膨れ上がってる

裁判官に圧力を掛けるやり方は危険だと、弁護士などが諌めてはいるものの、多くの「正義の人々」が暴走し続けてる。

 ただ、こういう真似をしてるというのは、事実を捻じ曲げたり見ないで、女性も含まれてる三人の裁判官が出した判決について裁判長だけをやり玉に挙げて「責任を取らせ」ようとするような、裁判官や裁判所に対するテロリズムに近いような攻撃だと、多くの弁護士たちや一部の左派の人々ですら受け止めて、「こんな無茶苦茶な内容の署名はまずい」と、批判をした訳です。裁判官に圧力を掛けるにしても、いくらなんでも危険なやり方にもほどがあるからやめるべきだ。と。

 そして、まだ公開されてないはずの判決文を根拠にして、こんな女性差別な内容で・しかも性暴力にお墨付きを与える酷い判決が出たんですよ!許せませんよね!!!と、Twitterなどで呼びかけを始める自称フェミニスト達が出てきて、人々の怒りに油を注ぎだすわ・署名を批判するやつは女性差別者だ・性暴力を許すようなとんでもない悪党だ!!と話を盛りに盛って攻撃を煽り始めて、多くの人たちがそういうのに乗っかってる。

1999年にあった「光市母子殺害事件」が辿った流れとの共通点を感じた。

 さて、この件は多くの面で批判されないといけないのですが、理屈っぽい話は後にして、似たようなことが、26年ほど前・1999年にありました。

 光市母子殺害事件。と言う事件です。

 この事件では、当時18歳で少年法の範囲であった少年が、母子を殺害した後、母親の方を性的に犯した。という事件であったものの、犯人が未成年で少年法の対象内であることや、行為があまりに異常で精神的・発達面的に問題も見受けられて責任能力でも疑問が見られたので、死刑にはできない。無期懲役だ。と、山口地裁と控訴審の広島高裁では、判決が出されたんです。

被告の「発達の遅れ」を強調した弁護側へのバッシングをも含めて、死刑にしろ!というメディアスクラムが起こった。

 ところが、これを遺族である父親の人が納得できないだけではなく、当時の右派・保守側が遺族を担ぎ上げて、被告少年は死刑にすべきだ!!と騒ぎ立てて行った訳です。
 当時はネットが発達してなかったので、主に話が煽られるのは、週刊誌などのゴシップ記事やテレビであったのですが。

 被告少年の弁護士達は、被告が受ける刑罰を少しでも軽くしないといけないですから、当然ながら、少年であることで死刑は無理だ。とか、行為の異常さや接見した時・取り調べ時の言動などから、精神的・発達的に問題があって責任能力がないのではないか。などとやっていった訳ですが、それ自体も攻撃の対象になった。

異常だった・おぞましかったという記憶を、光市母子殺害事件当時に事件を扱ったテレビの報道姿勢に対して持っている。

 当時のテレビ、私も覚えていますが、遺族の本村氏が毎日のようにテレビの夜のニュースや夜の情報番組で取り上げられ、こんな酷い扱いを娘と妻にした被告少年が許せない!死刑が当然だ!少年法を改正しろ!!などと、感情に訴えてくるような感じで、無理を通すことに必死になる姿を、お涙頂戴もいいところで流してたんですよね。

事件を利用しのし上がり、日本のディストピア化や野望実現に利用する動きが活発だった。

 その上、後に大阪市長や大阪府知事を務め・大阪維新の会を立ち上げもした橋下徹弁護士が、こんな酷い事件で少年を弁護してる弁護士達はおかしい。被告少年の精神的問題を取り上げて死刑でなくそうとするような弁護士は道徳的におかしいから、懲戒請求を出してクビにすべきだ!みんなで弁護士会に懲戒請求を出そう!と、テレビ番組で煽りに煽って、当時(2007年)はネットが発達しつつあった時期でもあったので、それがネットを通じて爆発的に広まり、懲戒請求が被告少年を弁護してる弁護士の所属する弁護士会に殺到したり、最高裁や国会に対しての圧力も半端なく掛けられた。

BPO「Ⅱ 光市母子殺害事件――差戻控訴審までの経緯と報道側の変化」(2008年4月付)
https://www.bpo.gr.jp/wordpress/wp-content/themes/codex/pdf/kensyo/determination/2008/04/dec/2.pdf

 こういう流れの中で、少年法が改悪され、色々厳しくされた上に死刑も認められるようになりました。少年法は刑法と違って社会復帰のための再教育などに重きが置かれてるので、重罰よりは教育だ。と言う姿勢だったのですが、それがひっくり返っていった

 この裁判は、10年以上かかりました。高裁判決の後、00年代後半の「少年だろうと犯罪者は厳罰に処せ!事実認定なんて半分どうでもいいからとにかく厳罰に処せ!」という世論に押されて、最高裁が広島高裁に差し戻し・被告少年に対して死刑判決を出させた上で、被告側が再度最高裁に上告、2012年3月14日に最高裁が上告を棄却して、死刑が確定しました。

 事件発生・被告逮捕から、約13年の時間がかかりました。

集団パニックを起こして、都合よく動かす。いわゆる「ショック・ドクトリン」。

 こういう流れの中で色々な法律が厳罰化し、些細なことまで法律や条例で犯罪にされ・取り締まるようにされていき、どんどん息苦しく・何もできない社会へと日本が「アップデート」される中で、あの311・東日本大震災と福島第一原発のメルトダウン事故、それらに伴う大津波と広範囲かつ深刻な放射能汚染などで沢山の人達がパニックに陥り、尚更、法律でガチガチに生活や心を縛る方向に社会が向かっていったんですよね。

 そして、前回取り上げた「碧志摩メグ」やその前の人工知能学会誌の表紙に対するいちゃもん問題を皮切りにするかのようにして、自称フェミニズム運動がこういうギチギチに人の心と行動を重罰な法律で縛って、その上で特定の人たちには甘くするが特定の人たちには非常に厳しくするような法律の運用がされるように裁判所やお役所や議会に介入することを堂々とやっていくようになった。

『草津町議、Colabo…「謝れない女たち」の ウラに肥大化した 男女共同参画』(2023年1月6日, 示現舎)

https://jigensha.info/2023/01/06/colabo-5/

※執筆時点でサーバが落ちてるので、web.archive.orgで保存されているリンクも貼っておきます:


「民主主義の勝利」といえば聞こえがいいのだろうけど、実際に起きてるのは、人々を不当に苦しめる形での、民主主義の破壊、ショック・ドクトリン。

 その一つの行き先が、強姦罪が強制性交罪とされ、そこでは飽き足らず、「疑わしきは罰せよ!」(ただし、男性が加害者疑いの場合だけ)と言う、”令和の治安維持法”・不同意性交罪へと繋がっていく、性犯罪などを巡る刑法の改悪であった訳です。

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