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秋の花束

先日、母が還暦を迎えた。

私が結婚するまでは、家族の誕生日になると私が実家にケーキを持って祝っていたが、結婚してからはLINEで伝えるだけにしている。今回もいつものように、おめでとうLINEを入れると「還暦やで」と母の方から伝えてきた。そんなん、母の歳なんて覚えてへんよ。何かをしてあげないとという雰囲気になる。憎めない母である。

何をあげるか悩んだが、残るものと華やかなものが良いと思い、お皿と花束を贈ることにした。お皿は、六古窯、丹波焼のお皿にしようと、丹波篠山まで買いに行った。実用的だし、文化的なものが好きな母は喜ぶだろうといった算段である。

そして花束を買いに、実家への道中の花屋さんへ入った。花屋さんには、季節ものである秋の花が所狭しと並んでいた。散歩していてもなかなかお目にかかれない花もあり、花好きの私は狂喜乱舞した。

秋の花は色鮮やかで美しいが、夏の終わりを感じさせるためなのか、どこか儚い。秋明菊やススキが咲き始めると、ああ、今年の花盛りももう終わりだなと感じる。影のある笑いをこちらに向けているような、涼しくなってきた風に揺れる秋の花が、大好きである。

店員さんにあれも欲しい、これも欲しいと言い、最終的には6000円の大きい花束となってしまった。メインがダリア、サブに千日紅、竜胆、ケイトウ各種である。こんな花束をもらえるなんて、母は良いなあ。内心渡したくなかったことは内緒にして、おめでとうという言葉と一緒に手渡した。

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