イノベーションを起こすための手法とは何か?『トヨタの問題解決』【感想】
本書には、経験や勘に頼らないで、根本的に問題を解決する方法が書かれています。それが、そのままトヨタのイノベーションの基盤になっているというのです。
その「問題解決の8ステップ」のプロセスが、本書に具体的に書かれています。「問題解決の8つのステップの中で、客観的なデータや数字などにもとづいて論理的に思考や分析をすることによって、勘や経験による思い込みを排除し、効率的に問題を解決することができる」のです。(本書、65ページ。)
例えば、真因を考え抜くの章では、「問題を発生させた真因を追究し、抜本的な解決を図ること」の大切さが書かれています。本書には、なぜを「5回」繰り返せと書かれています。そして、本書によれば、この「なぜ」は真因が見つかるまで、続けなければなりません。5回という回数にこだわるのではありません。なぜを「10回繰り返してようやく真因にたどり着く場合もあります。」(本書、160ページ。)
真因を考え抜くことの大切さに気づかされました。
対策を立てるときも、「できるだけたくさんの対策を洗い出す」ことが大切です(本書192ページ)。「対策計画を立てたら、すばやく実行に移す。一気に実行することにより、環境変化の影響を最小限に抑えられる」と、スピードの大切さが説かれています。(本書、204ページ。)
対策を立てられても、すぐに実行しなくては意味がなくなってしまうのです。
本書は、トヨタの力の源泉が、よく分かる1冊でした。「問題解決の8ステップ」に基づいて、改善をする。これを繰り返していくことが、トヨタのイノベーションの基盤になっているというのです。本書には、その「問題解決の8ステップ」の、それぞれ1つ1つに詳しく分かりやすい解説が書かれてあります。
多くの組織にとって、どのようにしてイノベーションを実現するのかということは大きな課題になっているのではないでしょうか。そんな時、本書に書かれている「問題解決の8ステップ」が参考になるのではないでしょうか。