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メンタルが安定している人(時)こそ読んで欲しい 漫画「Shrink〜精神科医ヨワイ〜」

「僕はこの国に、もっと精神病患者が増えればいいと思っています」

こんにちは。

先日、漫画「Shrink〜精神科医ヨワイ〜」13巻が発売されました。


こちらの漫画は少し変わり者の精神科医「弱井先生」を中心に、様々な精神病患者の背景や治療の過程が描かれています。
時には辛くて苦しい心理面も描写されますが、絵柄や弱井先生の優しさ、登場人物たちが悩みながらも希望をみつけていく姿に癒される作品です。

冒頭のセリフは弱井先生の「願い」なんですが、わたしがこの漫画を読むきっかけでもあります。

【このセリフにはこめられた願い】
外国に比べて「精神科」へのハードルが高い「隠れ精神病大国・日本」
この現状を変えて、一人でも多くの「心」を救いたい。

わたしもまさにそうでした。
一度心療内科を受診したことがあるんですが、本当にハードルが高いし、受診前の数ヶ月は何度も何度も行くか悩みました。

⚫︎「これぐらい(程度)で受診してもいいのか」
⚫︎「精神科とか心療内科とかメンタルクリニックって何か違うの?」
⚫︎「なに話せばいいんだろう」
⚫︎「なんかこわい」
⚫︎「一度行ってしまえば「精神病」のレッテルが一生つきまとうのでは」

そんな頃に弱井先生のセリフをみて、

「受診してもいいんだ」

と、思ったのを覚えています。

でも現実は甘くなく。
実際に受診した結果、逆に心をバキバキに折られました。
(詳細は下の記事参照)


精神疾患は明るくて元気な人でも、いつ誰がなるかはわからない。
自分かもしれないし、家族や友達、職場など身近な存在かもしれない。

だからこそ、ある程度考える力・元気(余力)がある時に漫画で楽しみつつも知識や情報を蓄えておく。これって大切なことだと思います。


わたしの失敗も含めて、メンタルが安定している人(時)にこそ読んでほしい理由を簡単にまとめてみます。


自分と向き合う時間が増える


本作では、パニック障害や発達障害、アンガーマネジメントなど割と身近なものから、薬物依存症やアルコール依存症、パーソナリティ障害など普段関わりが低いような症例も題材になっています。

そこで登場人物たちはそれぞれに悩み、苦しみ、先生や周囲と関わり、その中で自分の心と向き合っていきます。

「嫌だ」「苦しい」「辛い」「逃げたい」「消えたい」

辛い時はこんな気持ちでいっぱいになり、目の前のことから目を逸らしても苦しい気持ちだけが残ることが多いのではないでしょうか。
わたしはそうでした。

そんな時、本の中では様々な方法で登場人物たちは「自分の心」と向き合います。
例えば「精神障害者雇用」のお話では『コラム法』という手法が使われていました。

【コラム法】
自分を落ち込ませている考えをつかまえることでモヤモヤした気持ちをやわらげ、物事を柔軟に捉えられるようになることを目指す心理療法の手法の一つ

[状況]
いつ、どこで、誰と、どんな時

[気分]
その時の感情(不安、怒りなど)をパーセント(%)で

[自動思考]
その時思ったこと、感情

[根拠]
自動思考を裏付ける客観的事実(感情は書かない)

[反証]
自動思考と矛盾すると思われる事実

[バランス思考]
「根拠」と「反証」を『でも』『しかし』で繋ぐ

詳しくは8巻参照

簡単に言うと、嫌なことや辛いことがあった時に

こんなことが起こってこう思った

客観的に見るとこう

実はこうだったのかも…?

と言うように、自分の感情はもちろん、「客観的視点」から振り返ることで自身の思考の偏りや視野の狭さに気付き、思考を柔軟にするトレーニングという感じです。

漫画を読む中で自然と自分のことも振り返ることになりましたし、ふとした時に「客観的にはこうだったかも…?」と別の視点で考えることが増えてきました。

つまり、「漫画を通して自分も自分自身を治療している、癒されている」ということです。

コラム法以外にも「過去の自分」と向き合う、受け入れてあげるお話や感情のコントロールなど参考になるお話がたくさん出てきます。

本当にメンタルが落ちた時には情報を集める余裕もない


これは本当にそうです。

少し前、「お風呂キャンセル界隈」なんて言葉が話題になっていました。
うつ病などの精神疾患のなかにはお風呂などの「日常生活」を送ることさえ困難になってしま人もいる。
ここまでではなくても、精神的に追い詰められて余裕のない時は余計なことを考える余裕はありません。たとえボーッとしているように見えても、頭の中はどうしようもないモヤモヤや悲しみ、後悔、怒りなど様々な感情にとらわれて冷静に情報収集できる人は少ないでしょう。

だからこそ、元気な時に知識を増やしておくことが大切です!

たとえ病院にかかったとしても、「先生」との相性もあります。
わたしは最後の砦(だと思っていた)の病院で失敗し、余計に「自分はダメな人間だ」という思いが強くなり、回復に時間がかかりました。

しかし、知識があれば「自分が病院に求めるもの」が明確になり、もっとうまく伝えることができただろうし、別の選択肢(カウンセリングなど)を選ぶこともできたと思います。

また、漫画の中では社会復帰の様子や「精神障害者雇用」の話もあります。

「正社員は無理でも生きる道が残っている」

これを知っているだけでも安心できるし、いざという時に「焦って無理をする→余計調子が悪くなる」という負のループも防げるのではないかと思います。

また、上記の「自分と向き合う」ということも本当に落ち込んでしまった時にはその気力もなくなってしまいます…。
こちらも余力がある時に「思考の癖」を見直していくことが肝心です。


知識を増やして「偏見」を減らす


上記でもお話ししたように、この漫画ではさまざまな精神疾患や境遇の方を題材にお話が描かれています。

そのなかで、登場人物たちはときに周囲からの「偏見」に苦しめられることがあります。
そしてその「偏見」は少なからずわたしも持っていたものでした。

わかりやすい例でいうと、「アルコール依存症」や「薬物依存症」

芸能人なんかでも事件や再犯でニュースになることがあります。
このようなニュースを見た時、わたしは心のどこかで「依存症」という病気というよりも「個人の性格」や「人間性」の問題では?と思っていました。

もちろん問題がある人もいるのでしょうが、あくまで「依存症」に関しては適切な治療がいること、周囲のサポートが必須なこと、時に「偏見」からの「孤独」がさらに当事者を追い詰めてしまうことなどを学びました。

これは「誰か」だけでなく「自分」にも当てはまります。
正しい知識がないことで「自分」で「自分」を苦しめてしまう。
他にも、励ましたつもりが相手をさらに追い詰めることもあるなど…。

精神疾患では「人との関わりの中で苦しむ人」が大勢いる。
だからこそ、「自分」のためにも、「誰か」のためにも、正しい知識をもっていることは大切だと思います。


まとめ


長々書いてしまいましたが、前提としてシンプルに漫画としても読みごたえがあって面白い作品です!

メンタルが安定している時にはもちろん、少し落ち込んだり、悩んでいる時にも助けになる本だと思います。

最終的に自分を癒すのは「自分自身」なので、自身と向き合う「きっかけ」としてぜひおすすめしたい一冊です。


[2024/09/14 ]までは3巻、4巻が無料で読めるみたいです。

Amazon kindle unlimitedでは1巻が読めます。

心の中に「弱井先生」がいてくれるとなんだか少し安心します☺️


※本ページではアフィリエイトリンク(PR)が含まれています

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