生きるということ【エッセイ#1】

気がついたときには、生きていた。
生きることとは何かも知らず、
ただこの世に存在していた。

これは私が願ったことなのか。
誰かのイタズラなのか。

幼きわたしは生きているとも知らずに、
毎日を誰よりも本気で生きていた。

あの時がいちばん、
生きることが上手だったんだ。

(いつから生きることを嫌うようになったんだろう)

生きること。
これはおそらく、
言葉も知らないあの頃のわたしの方がよく知っている。そんな気がする。

あれでよかったんだ。

食欲をよく満たし、しっかり眠る。
そして存在し続ける。

それだけでよかったんだ。

それなのに。
なぜ。今わたしはこんな単純なことに悩んでいるのだろう。

(誰がわたしの生きるを邪魔するの?)

あの時できていた全力で生きる、
今のわたしには到底できない。

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