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2018年8月の記事一覧
Poem)猫は曲がりの哲学を解く…
猫の世界がまるいのは
地球のせいでもある
しっぽもひげも
ほのかにカーブしている
猫は曲がりの哲学を解く
そもそも、
時間のベルトというのは
うらおもてのない、かのメビウスの輪さ
どこから初めて、さてどこで終わるのか
そもそも、
ここで終わりにしようということは
出来はしない
なぜなら地球は開店しているから
いや回転。
そこの角を曲がってごらん
すると世界は少し変わるものさ
太陽もまるい光
Poem)ホットミルクと…
ホットミルクと
ホットパイを
テーブルに置いておくね。
すると壁の向こうでコソコソ
音がして。
部屋の灯りを小さくするよ、
出ておいでね。
カチャカチャ、フォークがお皿に
当たる音
パシャパシャパイを食べる音
ごくごくミルクを飲む音。
そっとそっと。
大事に大事に。
人間以外の優しい者たちが
生活する時間があって。
それは部屋に置いてある植物だったり、
部屋の隅に眠る小さな虫だったり。
Poem)笑いながら
笑いながら歩いていると
笑いカワセミがやってきた
笑いながら歩いていると
笑い上戸のタヌキが出てきた
笑いながら歩いていると
笑いが止まらぬ猫が付いてきた
笑いながら歩いていると
笑いを忘れた子供が寄ってきた
笑いながら歩いていると
笑わぬ蕎麦屋の主が現れたので
あっと思い、
笑いの壺を落としてしまった
欠片をみんなで集めて
蕎麦つゆを入れて貰い
蕎麦を食べた
笑い壺の欠片を握りしめて
また、笑い
Poem)水の音を聞く
水の音を聞く
音の中に沈んで行きたまへと
言われるがまま
こんな日は人混みの中へ進み
自分の音を鳴らしてみる
寄り添う花は夜が来て色をなくした
地面を覆い尽くす緑葉も闇に溶けだした
寄る辺ない岸に立ちながら
音の中へ沈んでいくがいい
水の音を聞いている
するとメキメキと自分の手足から
茎が伸び
水中の記憶がはじまる
人の目の耳の口の
始まりへ
誰かが私の宇宙となり、
あの薄暗い金色の洞穴のような