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妥協すること
私の周りにはクリエイターが多い。一応コスプレをしている身なので、そりゃあそうなのだが、クリエイターの中でも妥協しない人が多いように思う。仕事で仲の良い後輩氏もクリエイターだ。彼女は看板やチラシのデザインをしたり、広報的な仕事をしている。部署は違うが席が隣で、相談を聞いたり無茶振りする彼女の上司の愚痴を言い合ったりしている。最近私も広報の手伝いを少ししているのだが、彼女の「妥協しなさ」「高みを目指す姿勢」が今まで出会った人の中で一番高いと思う。
「いつも妥協しないね。すごいね」と言うと「妥協してますよ。ほんとはもっとやりたいんですけど、締め切りが来るからやめてるだけでほんとはもっとやりたいです。自分から妥協ってすることあります?なくないですか?」と返ってきた。めちゃくちゃダメージを受けた。たしかに締め切りが来るからと諦めることもあるが、基本的には「まぁ、こんなもんか」と終わらせてしまう。同じ作業をもう一度するのが嫌なので、あとから同じものの改訂版を作ることはほとんどない。唯一改訂し続けているのは仕事のマニュアルぐらいのものだ。
「メイクとか、何か作ったりとか好きなんじゃないんですか?妥協します?」とも言われた。好きであって、プロになりたいわけではない。現状で出せる全力は出し、動画をみたり人に聞いたりして研究はする。でもメイクが上手くいかなかった日に一からやり直しはしないし、コスプレの自作小道具が納得いかなかったときはとりあえず今回はこれでいって次回撮影があれば作り直すかも。ぐらいのものだ。妥協せずにやっていたら専門学校に通っているだろう。
後輩氏は全く納得がいかない顔をしていたので「妥協するしないのラインが違うんじゃない?」と言うと「あ〜人種が違う感じがありますね」ときた。心臓と胃と心が痛い。傷心も傷心。彼女にとって「妥協する人」は「人種」まで違うのだ。職人気質の彼女と、下手の横好きでやっている私ではそもそも流れる血が違うのだ。そう言われてしまうと、もう私の妥協精神は一生改善されないのかと思ってしまう。いや、改善する気でやれよと言われればごもっともなご意見なのだが、できていないからこそダメージ受けている。家だったら大声で叫んでいたところだ。残念ながら職場だったのでこのあとそっとトイレに立ち、10分ほど引きこもった。
別に、彼女の発言が厳しすぎる訳では無い。彼女はずっと趣味で絵を描いていて、周りの友達も同じく妥協しないのが当たり前の環境だったらしい。一方私は……いや、家族も絵を描く友達もみんな妥協しない人達だった。やはり人種が違うのかもしれない。そう思うと不甲斐ない。人種が違うなりにもうちょっと妥協のラインを引き上げてみようかしら。