読書感想文(295)梨木香歩『家守綺譚』

はじめに

こんにちは、笛の人です。
読んでくださってありがとうございます。

今回は以前読んだ『西の魔女が死んだ』の著者の作品です。
読んだきっかけは恋人が読んでいてたまたま借りたことです。

感想

とても良かったです。
まさに、最近探し求めていたのはこのような小説でした。
最近探し求めていたのがどのような小説かというと、岡潔が言う夏目漱石のような小説、即ちインパクトが強い物語ではなくて丁寧な物語です。
思えば『西の魔女が死んだ』もこれに該当する気がするのですが、そちらは有名な作品という先入観を持ってしまったので、感じづらかったのかもしれません。
今回は有名な著者だと思いつつ、タイトルは聞いたことがなかったのですんなりと心に入ってきました。

全体としては、各章の名前が植物の名前になっており、『西の魔女が死んだ』を思い出しつつ、作者らしいのかなぁと思ったりしました。
不思議な世界観ですが、穏やかに丁寧に綴られていく所がとても好きです。

これには心が動いた。しかし、百足やマムシが出るたびに頭の中で金勘定するようになる気がして、それはあまり高等な習慣のようにも思えなかった。第一、文筆に勤しんでいるとき、やれ百足が出たからといって、全ての思考を中断して百足採りに血道を上げるというのは本末転倒でなないか。

P30

この本から教訓めいた事を読み取るのは少し抵抗があるのですが、この部分は確かにそうだよなぁと共感しました。
一見お得に見えることは世の中にたくさんありますが、自分が本当にやりたいこととそれに合わせた環境作りという視点は忘れずにいたいです。

今パラパラめくり返してみると、結構ストーリーが頭から抜けてしまっています。
短編集を読んだ時などもよくこれが起こるのですが、今回は短編連作のような形だったので同じようになったのだと思います。
ただ、この本はわからないなりに心にしっかり残したいので、これから何度も読み返したいと思いました。

おわりに

今回この本は借りて読んだのですが、何度も読み返すために自分で買おうと思いました。
また、梨木香歩さんの他の作品ももっと読みたくなりました。

ということで、最後まで読んでくださってありがとうございました。


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