読書感想文(390)苫野一徳『ルソー 社会契約論』(別冊NHK100分 de 名著)
はじめに
こんにちは、笛の人です。
読んでくださってありがとうございます。
今回は久々の読書感想文です。
最近少しずつ生活リズムを取り戻せてきて、ついでに読書感想文を書く習慣も復活させてしまおう!と思ったので、久々に書くことにしました。
あんまり長々と書くとまたやらなくなってしまうので、しばらくは手短に行きたいと思います。
感想
全人類がこれを読んだら、もうちょっと世の中良くなるんじゃないかなぁと思いました。
選挙率もきっと上がるはずです。
この本では、第一章で「哲学書の読み方」のポイントを提示してくれました。
以下の三つです。
言われたら当たり前のようですが、こうやって整理しておくと、この思考で読みやすくなります。
私のような初心者にはとても有り難いです。哲学書ってどうしても理解が難しいイメージがあるので。
そして、『社会契約論』の場合は次のようになります。
少し難しいので咀嚼すると、一般意志とは「皆の利益になる合意」です。
そして、この本はとても面白い指摘をしています。
政治の話って、勉強したくても何を信じて良いのかわからなくて困っていたのですが、この本のおかげで一つ大きな基準を得ることができました。
現代の政治が一般意志を目指そうとしているかは甚だ疑問ですが、ここで誰でも思いつくような批判を私も思いつきました。それはいわゆる「衆愚政治」です。
一般意志は多数決ではありませんが、現実的にはある程度多数決が一般意志に近いものとして見なされるはずです。
しかし、一般意志の主体、つまり国民が馬鹿だったら、一般意志は思惑通り利益をもたらしてくれません。
だから、少しでも一般意志が、本当に皆に利益をもたらしてくれるように、一人ひとりが勉強をしなければなりません。
またこの本でも述べられていますが、ルソーの思想を直接具現化すると、直接民主制になります。
これは規模的に難しいように思われますが、ネットがここまで発達した今なら、実現も不可能ではないのではないかと思います。セキュリティの問題が難しいでしょうが。
また、最近の選挙は「落としたい人を落とすためにそれ以外の人に入れる」みたいな話をよく見ますが、これは現在の政治が一般意志の実現からほど遠いことを示していると思います。
それこそ、政治家や政党に投票するのではなく、法律に投票するシステムになったら嬉しいのですが、これも抜け目なく実現するのは難しそうな気がします。
そういうことから考えても、やはり倫理の教育にもっと力を入れて、倫理的な問題に対する法律を整備することが大切だと思います。でもまあ法律を作る側が倫理に欠けているとどうしようもありません。どうすれば実現するのか、そんなことを一個人が考えて意味があるのか、と思ってしまいますが、考えるのをやめたら負けですね。
これも、その通りだと思いつつ、ため息が出ますね。
そうそう、この引用にありますが、一般意志を具現化したものが法律、という考えは覚えておきたいです。
加えて、政治家はあくまでも一般意志を遂行する人に過ぎないことも覚えておきたいです。それなのに今のような世の中になっているのは、資本という権力が猛威を奮っているからですが、これについては第四章で触れられていました。
そして資本主義の話は当然世界規模の話でもあります。
これまで、経済については何度も勉強したいと思いつつ何からすればいいのかわかりませんでしたが、この本のおかげで経済学の一つの目標が見えました。
すなわち、より良い社会を築くためのより良い世界経済を構想し、社会契約を結ぶ(実現する)こと、です。
これを一つの指針として、今後経済学の勉強もしていきたいと思いました。
最後に補足として、この本を読んで読みたいと思った本が二つあるのでメモを残しておきます。
一つ目はルソーの自伝『告白』です。
もう一つはカントの『永遠平和のために』です。
どちらも内容が重いと思うので、気が向いた時に読んでみたいです。
おわりに
思っていたより長くなってしまいましたが、まあ良しとします。
今後、読書感想文をまた継続できたら嬉しいです。
ということで、最後まで読んでくださってありがとうございました。