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『みんなの現代アート 大衆に媚を売る方法、あるいはアートがアートであるために』グレイソン・ペリー(2021)|読書感想文 

現代アートはお好きですか?アートを楽しむことができる場所は美術館だけでしょうか。様々なアーティストが、様々な形式でアート作品を発表していますが、価値のあるアートとは何でしょうか。アーティストとは、私たちが想像しているような人たちなのでしょうか。今回の本は、現役のアーティストがそんな疑問に答えてくれる本です。


感想

作品が評価されるために

最初の章は、アート作品が人々にどのように受け入れられていくのかの話で、アーティストだけでなく、たくさんの人たちによって、アートがアート作品になっていくことが分かりました。さて、力があるのは誰でしょうか。あまり考えたことがなかったことなので面白かったです。

アートかそうでないか

次の章では、作品と言えるのか否かについて、作者がたくさんのヒントを与えてくれます。私も、とても気になっていたところだったので、このように論点を整理してくれると助かります。もちろん、最後は自分で考えて判断すべきことですが。時々、とても物騒な話も混じっていますが、わかりやすい例えも多く示されていて、興味深くとても楽しい章でした。

最先端とは

私も少し絵をかくのですが、どこかで見たような絵だなと思うことが多々あるし、技法や表現方法、主題など一通り出尽くしているのではと思っていたのですが、最前線で活躍するアーティストからみてもそうだったとは。そんな中自分を信じて作品を作り続けるアーティストはやっぱりすごいです。

アーティストになるには

アーティストになるのも、アーティストでいるのも大変だなと思いました。ここで唐突にオズの魔法使いが登場するので、もし、オズの魔法使いを全く知らなかったら、多少予習をしたほうがいいかも知れません。

最後に

美術史や現代アートを詳しく解説した本というよりは、現代の美術界をざっくりと振り返ったうえで、作者の導きにより現代アートの見方を身につける本という感じでした。美術に関するいろいろな疑問が解決されたような、されていないような。イラスト付きで一見わかりやすいように見えても、語り口が多少ひねくれているので、わかりにくいところもあります。よくわからないところも含めて面白かったので、著作の他の本も読みたくなりました。

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