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『森は知っている』吉田修一(2017)|読書感想文
【本の紹介】
産業スパイ、鷹野の高校時代の仕事をたんたんとこなす日々や仲間であり親友の柳の失踪。誰が敵で誰が味方なのか。
鷹野の幼少期
身寄りがなく、戸籍も持たないからこそ産業スパイとなった鷹野であるが、その幼少期は、読んでいるだけでも辛くなってしまうようなものでした。保育の仕事をしている身としては特に。精神的虐待にはなるのかも知れないですが、虐待の描写が苦手な人はもしかしたら注意が必要かも知れません。
川の流れのように
川は好きですか?私は、今住んでいるところは2本の川の間の町で、通勤で自転車で橋を渡るので、帰り道、休憩がてら川を眺めます。だから、鷹野が運河を見て生きていることを感じているシーンがとても印象に残りました。川は常に色を変え、形を変え、絶え間なく流れていきます。海は、波や海岸や船など、魅力がたくさんありますが、川もいいなとしみじみ思いました。
スパイと言えば…
鷹野が、任務で赴いた先は香港でした。香港に旅行に行ってから、やたらと香港が出てくる本に当たります。スパイやビジネスの場として、香港はとてもよく登場するのですね。多分、想定されているのは今の香港ではなく、20〜30年前の姿だとは思いますが。旅行に行ってよかったと思いました。行ったところが出てきたり、なんとなく雰囲気が想像できたりするので。
最後に
シリーズものと知らずに読み始めましたが、1作目の『太陽は動かない』を読んだのかよく覚えていなくて困りました。単体でも十分面白かったですが。シリーズや作者をまとめて読んでいないとこういう時に困りますね。いつもランダムに読む本を決めていますが、テーマや作者を決めた読書もしたいです。