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ショパンのスケルツォ2番

こんにちは、Mariaです。

今日はクラシック音楽の話です。

● ピアノレッスンへご招待

今日はこのビデオとともにお話しします。

これはジャン・マルク・ルイサダ、という主にフランスに拠点を置くピアニストのレッスンの動画です。彼は非常に聡明な音楽家で、私も学生時代、彼が新進気鋭と呼ばれた頃の彼のピアノをたくさん聴きました。日本の音楽大学でも教えているようですね。

感情だけに囚われないしっかり理由付けのあるピアノテクニックは、ピアノを弾かない私にも非常に参考になります。

ピアノやクラシック音楽に興味がない方でも、3分ほどご覧になってみてください、優しい彼の物言いの中に、妥協のない正統的な演奏法を教授しようという熱意を感じることができます。

●  ショパンのスケルツォ2番

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実は、このレッスンに取り上げられているショパンのスケルツォ2番はとても有名で、リサイタルやコンクールのレパートリーにもなる曲です。

なので、長年様々な演奏家のパフォーマンスを聞いてきましたが、どうも個人的に腑に落ちないところがあったのです。

それはテンポと拍子です。

ショパンの曲は出だしが肝心で、どれも印象深く耳に残りやすいものが多いです。子犬のワルツ、ラ・カンパネラなど表題のつくものも多いですが、そのイメージを即座に聴衆に届けるアイデア、工夫に溢れています。

特にこの2番は、特別な表題はないのですが、妙にゾクゾクっとしたイメージを沸かせる変わった始まり方をします。

楽譜を一見見ると、何にも難しいところがないように思えるのですが、この3拍子には人が苦手とする裏拍のカウントに大事な音やハーモニーが置かれていて、そこを外すと流麗にメロディーが進まず一気につまらなくなる難しいトリックがあります。

● ずっと解せなかったリズムのトリック

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そもそも3拍子は2で割り切れないのでとても難しいのですが、これを肌に身につけている人の演奏は実に軽妙かつ深く心を揺さぶられます。

ショパンはマズルカやワルツ、そしてスケルツォで3拍子の楽曲を山ほど作曲しました。よって「ショパン弾き」と呼ばれる彼の世界を網羅した人は、同時に3拍子を制したとも言えます。

そして、このスケルツォの2番では、ショパンが表現しかったのであろう3拍子の中の変則的なリズムの妙をきちんと聴衆の耳に届けることができている演奏家は少ないような気が私はしていました。

とにかく冒頭の音符の長さやテンポが人によってまちまちだったりするのです。

クラシックは全てロマンチック、という印象を持たれがちです。しかし、演奏家個人が感じた印象や演奏に向ける感情を先頭に演奏するとエゴイスティックな演奏となります。また、曲には文章と同じく段落があり、小さいフレーズ毎に呼吸を置いていてはその物語性も失われます。

この曲の難しさは、冒頭からそレラの危険性を含んでいて、さらに休符が多いのでその間にテンポがずれるケースが多いのです。

● あらためて検証してみる

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なんか変だ変だ、と思いつつも、怠け者の私は今日まで楽譜を見て検証を怠っていました。が、ついに楽譜を見つけ、そして「うむ?」と思った演奏家のパフォーマンスと照らし合わせてみました。

そこには、楽譜にない余計なものや、付けるべきダイナミクスが足りないものばかりでした。非常にベーシックなところで、楽曲への忠実さに欠いていたのです。

ちなみに私が聴いた演奏は全てがプロのピアニストのものでした。

● クラシックは人の歴史を手繰るもの

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もちろん、楽譜通り、杓子定規な演奏は非常につまらないものです。しかし個人的に言えばそれも楽曲に忠実ではないと考えます。楽譜を読むということは必ずしもおたまじゃくしを読むことだけではないからです。

クラシックはほとんど作曲家は故人です。ですので、作曲の意図を電話して訊くわけにはいきません。しかし、作曲家の持つ個性を辿るヒントの一つとして「歴史」があります。

その当時流行していた文化に沿って作曲をすることは、商業音楽家には重要なノルマでした。ウケないと儲からないからです。また、当時の楽器の構造や演奏される環境にも音の強弱やテンポが反映されました。

その作曲家の話す言語にもヒントが隠されています。生まれや作曲当初どこで何語を話しているか、訛りはどんなものかでも大きくフレーズの作り方は他の同時代の作曲家と異なったりもします。

当時を再現すること、それが現代演奏家に課されるごくベーシックな宿題なのです。

前述のルイサダ氏のレッスンには、そこら辺を追及せんとするご自身の熱意を感じます。彼自身も主にショパンを弾く演奏家、と呼ばれる一人ですが、それだけの魅力的なテクニックと楽曲の解釈を持ってるな、とあらためて感じました。

明日も良い1日を。





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