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部下の自主性を引き出すテクニック:考える力を育む方法

とある人から、従業員の教育をしていく中で、自主的に行動できる人材に育てようと取り組んでいるのだけど、理解力の低い人や指示待ちの人にはどう指導したら良いのかな?と聞かれた。

確かに、自主的に行動できる人材を育てるのって多くの職場で課題になるよね。

特に「理解力が低い」と感じる人や「指示待ち」のタイプの人に対しては、指導側が少し工夫をする必要があると思う。

まず、「理解力が低い」とか「言われたことしかやらない」と感じるのは、その人の特性や成長段階が違うだけかもしれない

育成しようと思う全員が自主的にバリバリ動くタイプになるのは現実的に難しいですが、それでもその人たちの良いところや得意分野を見つけて伸ばすのは教育の一環ですよね。

自主性を引き出すアプローチ

1. 具体的な目標を設定する
 曖昧な指示だと動きづらい人もいるから、「このタスクを〇時までに終わらせよう」「まずこれをして、それからこれを進めてみて」という風に、明確なゴールを示してあげるといいかも。

人は「ゴールが明確」であれば、そこに向かって動きやすくなるもの。特に、指示待ち傾向がある人や経験が浅い人にとっては、曖昧な指示は不要な混乱や不安を生んでしまう

一方で注意すべき点は、何もわからない状態は別として、明確すぎる目標が「型にはまる作業」だけに繋がり、本人の創造性や自主性を損ねる可能性があることです。

過剰に細かい指示の例

・完全に手順を固定する
 「この仕事では、まずAというファイルを開いて、Bというツールを使い、この順番で入力してね。絶対にこの順番を変えないで。」
 → 相手が「どうすれば効率が良いか」や「他のやり方はないか」を考える余地がなくなる

・タイミングまで細かく指定する
 「10時から11時までこれをやって、11時になったら必ずここを確認して、11時半から次の作業を始めて。」
 → 自分でスケジュールを調整する力が育たない

・詳細な行動まで制御する
 「電話を取るときは、必ずこの言葉を使って、声のトーンはこれくらいにして、こういう言い回しをしてね。」
 → 状況や相手に合わせて柔軟に対応する力を奪う。

最初は「誰が見ても分かりやすい目標」を示しつつ、慣れてきたらあえて曖昧な部分を残して、「この部分は自分で考えてみて」と自由度を与える

改善例
「このタスクを〇時までに終わらせよう。ただし、やり方は君が考えてみてね」といった感じで、少し自由度を残しておくのがコツ。

2. タスクを細分化する
 「理解力が低い」と感じる場合は、いきなり大きな仕事を任せるのではなく、簡単なステップに分けて、ひとつずつクリアしていくようにするといい。

細分化することで「一度に処理すべき情報量」を減らし、ハードルを下げることができる。

例:
「まずこの部分をやってみて。次は全体をまとめる方法を考えてみようか」など、徐々にステップアップさせる。

この手法は特に、スキルが未熟な人や過去の失敗で自信を失っている人に有効。

ただし、あまりにも細分化しすぎると、成長につながらない「単純作業」になりやすい。

【簡単すぎるタスクの具体例】

・単純なコピー&ペースト作業
 「このリストの内容を、ただ別の表にコピーして貼り付けておいて。」
 → 手順も結果も明らかで、考える余地が全くない。

・ただのルーティン作業
 「今日も昨日と同じデータ入力だけをお願いします。」
 → 新しい挑戦や工夫の必要がない作業が延々と続く。

・明らかに結果が分かる作業
 「これをここの箱に仕分けして、何も考えず同じ場所に置いておくだけでいいよ。」
 → 結果が単純で、判断や工夫を求められない。

・他者に完全に頼られた仕事
 「Aさんが作ったマニュアルをそのまま確認して、チェックリストに✓をつけるだけでいいよ。」
 → 相手の考えやスキルを必要としない作業。

細分化したタスクの背景や意味も伝えることで、「なぜこの作業をしているのか」を実感させ、次は自分でタスクを細分化してみようか」と促すことで、徐々に自分で考える習慣につながる

3. 自分で考えさせる為の質問をする
 「自分で考える力」を育てるには、質問を通じて考えさせるアプローチが有効。

注意点として追い詰めないようにすることが重要で、質問の仕方やタイミングを間違えると、相手にとってはプレッシャーやストレスになりかねない

考える力を促すために、「なんでできないの?」とか「自分で考えなきゃダメでしょ」といった追及の仕方だと逆効果。あくまでサポートする姿勢が大事。

特に、経験の浅い人には「どこから考え始めればいいか分からない」という壁があるので、最初はヒントを含んだ質問から始めて、少しずつ主体性を引き出す。

 例:「Aを達成するために、まずやるべきことは何だと思う?」

「もし自分がこれをやるなら、どうする?」とか、「どうやったらもっとスムーズに進むと思う?」といった質問を投げかけることで、考える習慣を作れる

もし間違った答えでも否定せず、「いい視点だね。ただ、ここを考えるとさらに良い答えが出そうだよ」と導く。

質問攻めにならないよう、相手の表情や反応を見ながら進める。いきなり完璧な答えを求めなくても、「考えてみた」という経験が成長に繋がる

4.フィードバックの工夫
「褒められることでモチベーションが上がる」というのは多くの人に当てはまるけど、単に「褒めればいい」というわけではない。

相手が本当に努力したポイントや過程を認める具体的なフィードバックが重要。表面的な言葉だけでは信頼感が薄れ、「お世辞」と受け取られる場合もある。

人は結果だけを評価されるよりも、【プロセス+結果】の1セットを評価される方が成長を実感しやすい

「この様にしてやったのは良いやり方だったね。」という形でその人の取り組みを評価していくのも一つの方法です。

具体性を持たせることで、相手に「自分の何が評価されたか」が伝わる。

 例:「自分で進め方を工夫してくれてありがとう!その工夫がチームの効率アップにつながったよ」

・失敗した場合も、「この部分のやり方は良かったから、次はここを改善してみよう」と伝えてみる。

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