養殖界の希望の光は何色か?
育てるを育てる。AQSimです。
緑色の光を浴びせると、
ヒラメがグングン成長する!
青色光で、魚の子どもの動きを操れる!
そんな話があったら、皆さんは信じますか?
まるで魔法のような話ですが、これらは科学的な検証から示されてきています。本記事では近年急速に発展が進んでいる「魚と光」のお話しを紹介していきましょう。
光の色って?
私たちが普段目にする光の中には、たくさんの波長をもった光が混ざっています。たとえば太陽光は様々な色の光が重なり合ってできています。
こちらのリンクがわかりやすいです
スペクトルとはなにか(1)|ニュートンのプリズム実験とスペクトルの語源: 光と色と (cocolog-nifty.com)
プリズムをつかったり、空気の状態によっては「虹」のように各色の光が目で見えるように現れますね。
光の色は生き物に影響を与える
特定の色(波長)の光だけを当てることで、生き物は様々な反応を示すことが知られています。
私たち人間も例外ではありません。
たとえば青色の光。
馴染みのある言い方をすればブルーライトを浴びると、注意力や覚醒度を高める効果があるとされています。そのため、パソコンやスマホの画面から発せられるブルーライトは、実は昼間の作業効率を上げている可能性があります。
ただ、夜にブルーライトを浴びると、メラトニン(睡眠ホルモン)の分泌を抑制し、睡眠の質を低下させる可能性があるので、夜遅くのブルーライトの曝露は避けたほうが良いと言われていますね。
魚に与える影響は養殖業にも利益
そんな光の影響は魚に対しても研究が進んでいます。
主な実験方法はシンプルです。飼育中の照明の色を変えて魚の様子を比較するというもの。この研究が盛んに行われるようになったのは2000年頃からであり、2020年代になってからも活発に進められています。
蛍光灯のような白色光、赤色LED、青色LED、紫外線…。様々な波長の光を当てるための技術が進歩したことも影響しているのではないでしょうか。
いくつか例を挙げてみていきましょう!
カレイ・ヒラメ類が緑色光で成長促進される!?
こちらの文献や記事に詳しく記載されているものをポイントだけ抜き出します。
緑色の光を浴びせて育てると、
ヒラメの養殖の出荷までの期間を3か月も短縮できる!
光熱費やエサ代がその分かからなくて済むということは、養殖業としてとてもプラスのことですね。
なぜそんなに早く育つのか?という理由については、食欲を刺激するホルモンが緑色の光を受けることでたくさん生じるからという分析がされました。
つまり、普通よりもたくさん食べてくれるようになるので大きくなるのも早まった!と言えます。
とはいえ、すべての魚が緑色で成長促進するとは限らないようです。
ヒラメやカレイなど板鰓類のほかにも、マダイなど養殖で多く生産される魚種での研究も進んでいます。マダイの場合は青色や紫外線の光で摂餌量が増えたという報告もあります。
あなたが飼育している魚でも実験してみると大発見につながるかもしれませんね。
魚の子どもの行動を青色光でコントロールできる!?
例えばこちらの文献など、光は魚の動きを誘導することもできると言われています。
色々な光を設置した水槽で実験をした結果、
ハタハタやアユの稚魚は青色のLED光に90%以上の個体が出現したのだとか。
特定の光の色で誘導できるということは、水槽などで魚を特定の箇所に移動させる必要がある場合に人間が触れずに行動をコントロールできるということ。
まだ子どもな稚魚にとって、小さな傷も後々命取りになりかねませんから、触れずに誘導できる技術は損失を減らすことにつながる可能性があります。
ただ、同じ実験でマダイは緑色に集まる傾向があったそうなので、やはり青色光ならどんな魚も集められる!というわけではありません。
繰り返しますが、やはり飼育魚の光への反応に研究例が無ければ自分たちから実験してみるということも重要ですね。
まとめ
光には様々な波長(色)のものがある。
特定の波長は生物に様々な影響を及ぼす。
食欲に働きかければ生産スピードが上がる!
行動に働きかければ魚へのダメージを減らせる!
ということを紹介してきました。技術の進歩にともない、まだまだ養殖に活かせそうな知見が発掘されるだろうホットな分野です!目が離せませんね。
他にもこんな光がこんな影響を与えるという話などあるかと思います。よければコメントで教えてください!
育てるを育てる。AQSimがお届けしました。
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