AQSimが見る課題 CEOに聞いてみた#2
Q.なぜ、AQSimを起業したのでしょう。
インタビュアー:
AQSimは北海道大学発の水産ベンチャーですね。
基盤となっている技術を活かすのであれば、大学でも水産業の課題解決に向けた研究はできるのではと思いますが。なぜ起業という決断に至ったのでしょうか。
倉橋CEO:
確かに、私たちは大学の技術を活用しています。
ですが、
その技術と現場の間にはまだまだ乖離があります。
本当に水産業の課題を解決していくためには、架け橋となる存在が不可欠でした。実際のところ、水産業の課題をもっとも鋭く捉えられるのは、研究をしている人間よりも現場の方々ですから。
だから私は、現場と技術を結びつける存在であるためにAQSimという会社を起こすことにしたのです。
私たちは事業として、バラバラになっている現場と技術を繋いでいきます。そうすれば、繋がれば解決するはずの課題を、確実に解決していくことができると考えているのです。
インタビュアー:
大学研究と現場の乖離は、大本の目的が異なることにも由来しているかもしれませんね。
大学では、学術的な価値や、知見が一般に積み重ねられることが重視されることも多いです。
一方で、現場はいかに収益があげられるか、競合に対して優位が獲れるかという視点も考えなければなりません。
この間にあるミスマッチが課題解決を滞らせているのであれば、自らが事業体として関わっていくことで繋いでいくことが必要なのかもしれません。
Q.AQSimが解決したい課題とは?
インタビュアー:
現場と技術が繋がれば、解決できるはずの課題がある。
では、倉橋CEOが今解決を目指すべきと捉えている課題とはどんなものでしょうか?
倉橋CEO:
私は現状の水産業にある2つの課題を解決したいと考えています。
1.養殖技術の属人化
現状、養殖技術は事業者の経験や企業のノウハウとして秘匿されています。
そのため、何が正しくて、何が間違っているのかが明確になっていません。
すると、必然的に技術開発速度が水産先進国と比べて遅くなります。
私は、弊社の技術を用いることで誰もが情報にアクセスできるようにし、日本の養殖業を大きく発展させていきたいのです。
そして、もう一つの課題は…
2.漁村地域の衰退
天然魚の漁獲量が減少することで、漁業者の収益は低下しています。
気候変動や資源の枯渇など、
人間の力ではどうにもならない要因が収益を左右することもありますから、今後も衰退が止まらない恐れがあると見ています。
私は、陸上養殖を含む先端漁業の普及により各漁業者の経営が安定化することで、日本に蓄積された水産文化・既存の漁船漁業の存続にもつながっていくのでは?と考えています。
インタビュアー:
ありがとうございました。AQSimと同じ課題観を持った自治体・企業・人材がつながり、集まり、解決に向けて動き出すことをぜひ目指していきたいですね。
そんな課題が解決された将来像とはどんなものなのでしょう。
次回はAQSimのMVV
ミッション・ビジョン・バリューを伺っていきたいと思います。
> #3へ続く。