出会い2~不倶戴天の敵
私は影
お館様の眼光に射ぬかれ、生きたまま心を失った。家族とももう会うことはない。
「おい、お前」お館様の異母弟にあたる克 徳勝様である。彼ほど名が体を表さない人はいまい。
「はっ」私は訛りを隠すためあまりしゃべらない。
「お前か百軒先のハエを落とすと言うのは」ニヤニヤと嫌らしい顔つきに噂は違わないだろうと確信する。
今の地位に着くために、騙したり裏切ったり悪い噂しかなかった。
「ならば、後ろから狙えば確実だな」やっぱりとしか思わない。後ろからなんて、卑怯過ぎる。
だが、私が断れば他の誰かがお館様の命を狙うやも知れない。悔しいが致し方無い。受けるふりをしよう。
決行は、次の戦に紛れてとのこと。
何か企んでいるようだ。寝首を欠かれぬように十分に注意しなくてはならない。調べてみたら、他にも数人声をかけているようだ。
これでは、暗殺じゃない。ただの謀叛でしかない。きっと、お館様もご存知だろう。
あ~せめても、謀叛に関わる人数だけでもお伝えしたいが、最近お側につく機会がない。
どうしたものか、あんなくそ忌々しい異母弟なぞ、早く葬ってしまいたい。だが、私にも立場がある。
お館様の保証により、居させて頂く身の自分が何かすれば、お館様の御威光に傷がつく。
どうしたものか、悩むうちに夜が明けてしまった。
出陣は明後日それまでにあやつを何とかせねば・・・
ここまで
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