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暗闇も雨など降るもいとをかし

大河ドラマ光る君へ21旅立ちを観ました。枕草子まくらのそうしが始まる場面にとても感動しました。

画面に映された紙の『春はあけぼの……』と『夏は夜……』は、一枚に一編ずつ、ゆったりと書かれていました。筆の繊細な文字が美しくて、書道をやってみたくなりました。

あの方の痛みをおもい墨をる春はあけぼのどうか生きてて

それらは一枚ずつ、時を空けて中宮ちゅうぐう(天皇の妻)に届けられました。

あの方のために今宵も墨をる月のないも雨降るよる


政争に傷つき生きる気力をなくした中宮ちゅうぐう が、臥せたまま目蓋まぶたを上げ、やがて起き上がり、ついに枕草子の一枚を手に取りました。

「春は、あけぼの」

ナレーションの声は中宮ちゅうぐうのものでした。清少納言から中宮への『元気になってほしい』という気持ちが、まるで空気砲が顔に直撃したかのように伝わってきました。同時に、『中宮が読んでくれた』という清少納言の歓喜が画面に映されました。その流れの中で、夏の夜の清少納言の後ろ姿とたくさんの蛍が舞う場面は、一時停止を押して見入ってしまいました。


少し調べてわかったことですが、春のあけぼのや夏の蛍は枕草子以前の和歌にほとんど使用されていないそうです。定説ではない事柄を書いて、なんとか中宮の気を惹こうとしたのでしょう。そして、暗闇も雨が降るのもいとをかし・・・・・(とてもおもむきがあっていいものですよ)とつづります。その才気と優しさ、私は清少納言が大好きになりました。

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